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(K0850) 望ましい死に方としての「老衰死」 <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/08/k0850.html
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【はじめに】 魂を揺り動かす物語
大江作品には前期と後期とがあり、後期の作品群では、障害を持った息子の共生と、作家自身の故郷の四国の森のなかの土地の神話や伝承という二つの主題が、作品ごとにていねいに深められています。
今回、取り上げる『燃えあがる緑の木』は、その後期の作品のなかでもっとも重要な作品の一つです。そこで作家は「魂のこと」に取り組んでいます。人間の魂は死後どうなるのか、人間にとって「祈り」とはどのような行為なのか、ということが、「救い主」とされた「ギー兄さん」という男性の受難に満ちた生涯を通して語られます。そしてそれを語るのは、彼をそばから支えた特殊な身体的な特徴を持つ「サッチャン」という女性です。
「燃えあがる緑の木」という神秘的なイメージは、イェーツの詩「梢の枝から半ばはすべてきらめく炎であり/半ばはすべて緑の/露に濡れた豊かな茂りである一本の樹木」に喚起されたものです。
大江健三郎は、彼自身が現実生活をフィクション化し、そうやってできた小説が今度は現実生活に深い影響を及ぼすという書き方を長いあいだ続けてきた人です。
信仰のない者は、何に対して、どのように祈ることができるのか。『燃えあがる緑の木』は、悩み苦しみながらも、そのような問いにまっすぐ向かいあった人物たちの、つまりは作家自身の魂の軌跡でもあるのです。
「100分de名著」 大江健三郎『燃えあがる緑の木』が、9月2日(月)から始まります。Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
講師は、小野正嗣(作家・早稲田大学教授)
<全4回のシリーズ> いずれも9月
【はじめに】 魂を揺り動かす物語
第1回 2日放送/ 4日再放送
タイトル: 「四国の森」と神話の力
第2回 9日放送/ 11日再放送
タイトル: 世界文学の水脈とつながる
第3回 16日放送/ 18日再放送
タイトル: 信仰なき「祈り」は可能か?
第4回 23日放送/ 25日再放送
タイトル: 一滴の水が地面にしみとおるように
<出典>
小野正嗣(2019/9)、大江健三郎『燃えあがる緑の木』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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