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2018年9月1日土曜日

(1348)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(1-2)(解説 1) / 100分de名著

 
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第1回  3日放送/ 5日再放送
  タイトル: 修道士は名探偵?
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 

ここでは、二つのテーマを取り上げます。

A)   記号
B)   閉ざされた知と開かれた知
 


【展開】
 
A)   記号

===== 引用はじめ
 … 実は「記号」という装置を導入することによって、そのすべてに同じように対峙できるようになると気づくのです。

 … コミックスを記号として読む、音楽を記号として聴く、絵画を記号として見る。 … エーコは、記号こそが、人類の知をかたちづくる「巨大な穹窿(ドーム)」であると見極めたのだと言ってかまいません。
===== 引用おわり
 
 エーコは、世界的な記号学者になった。

===== 引用はじめ


 … エーコは、自分がなぜこの小説を書いたかについて、こう記しています――「理論化できないことは物語らなければなければならない」 …
 つまり記号論の泰斗であるウンベルト・エーコという人間が、学術論文では書ききれない、あるいは論じきれないことに突き当たった。それをどのようなかたちで読者に向けて伝えればよいか――。そのとき出てきたのが、物語をつくるということ、すなわち小説を書くということだったのです。
===== 引用おわり
 
 『薔薇の名前』には、記号に関するものが散りばめられている。それを気にせず読み進めるのが経験的読者、関係づけながら読むのがモデル読書となる。
 
 


B)   閉ざされた知と開かれた知

===== 引用はじめ
 図書館の本の閲覧の仕組み(すなわち、修道僧はまず希望する本の題名を図書館長に伝え、閲覧の意図が「正当かつ敬虔なものであると判断された場合」のみ、図書館長が上階の文書庫からそれを取ってくる)
===== 引用おわり
 
 すなわち、この図書館は、知を閉ざす仕組みで運営される。しかるに、
 
===== 引用はじめ
 ここでわたしたちが注目すべきは、ヴェナンツィオが翻訳家であるということです。かれはアラビア語とギリシャ語に通じていて、それらの言語で書かれた書物の翻訳をしていました。つまりヴェナンツィオは、開かれた知というものを手に入れようとした、あるいは手に入れかけていた人物なのです。そしてアリストテレスは、開かれた知の格好の道しるべになっていました。
===== 引用おわり
 
 閉ざされた知と開かれた知との対立を背景にして物語が進んでいく。最後に、謎であった<アフリカの果て>にウィリアムたちが踏み込み、閉ざされた知があばかれ、事件の全容が明らかになる。モデル読者たちは、このような観点からも物語を読み進めていく。
 


出典
和田忠彦(2018/9)ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
このテキストから、主要登場人物の説明を、添付する。


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