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2018年8月31日金曜日

(1347)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(1-1)(あらすじ 1) / 100分de名著

 
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(K0488)  行動する時間が価値を生む。無駄と思えることにも時間を費やす <定年後>
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第1回  3日放送/ 5日再放送
  タイトル: 修道士は名探偵?


【テキストの項目とあらすじ】

(1)  ファシズムとアヴァンギャルド

 
(2)  記号から小説へ

 
(3)  物語の歴史的背景

 舞台はアヴィニョン教皇庁の時代、フリードリヒ美王の特使としてバスカヴィルのウィリアム修道士が北イタリアの某所にあるベネディクト会修道院を訪れます。ウィリアムはかつて異端審問官としてそのバランスのとれた判断が高く評価されていました。物語の語り手である見習修道士メルクのアドソは、見聞を広めてほしいという父親メルク男爵の意向によってこのウィリアムと共に旅をしています。
 ウィリアムの本来の目的は、当時「清貧論争」と呼ばれた、フランシスコ会とアヴィニョン教皇庁のあいだの論争に決着を付ける会談を調停し、手配することにありました。
 
(4)  【第1日】修道院の威容

 修道院の描写が過剰といえるほど克明に、長々と続きます。
 
(5)  記号を読み抜くウィリアムの名推理

 ウィリアムは、逃げた馬を探していることを見抜き、馬の特徴・名前を言い当て、逃げた方向も名推理で明らかにします。
 ウィリアムが飛びぬけて明晰な頭脳と鋭い推理力を持っていること、世界の痕跡、すなわち「記号」を読み抜く卓抜な能力を持った人物であることが強く印象づけられます。
 
(6)  第一の事件――アデルモの死

 修道院長アッボーネは、細密画家のアデルもが死体になって発見された(第一の)事件を説明し、ウィリアムに解決に向けての協力を依頼します。
 この修道院の図書館はキリスト教世界最大の図書館で、いわば「神の御言葉の護り手」です。図書館には異教徒の書や虚偽の書も収められ、見るべきでない者の目に触れないように厳重に管理されています。その秘密は図書館長(現在はマラキーア)だけが知っているが、万一の不慮の死に備えて、館長の存命中に図書館長補佐(現在はベレンガーリオ)にもその秘密が伝えられます。
 
(7)  聖堂の彫像、サルヴァトーレ、ウベルティーノ

 
(8)  写字室の机の妖しく滑稽な細密画

 死んだアデルモが生前作業をしていた写本を見せてもらいました。文字の周囲には滑稽な細密画が施されていました。描かれていたのは「野兎を前にして逃げだす猟犬、獅子を狩る牡鹿」などさまざまな「逆立ちした生きもの」たちでした。
 
(9)  笑をめぐるウィリアムとホルヘの論争

 ウィリアムスは、この細密画らは笑いを誘われるが、その目的は教化にあるだろうと述べます。対する盲目の老修道士ホルヘは、こうした絵は神の教えに反すると言います。
 
(10)【第2日】 第二の死体と笑いをめぐって

 二日目の朝。第二の事件が起こります。豚の生き血の甕に逆さに突っ込まれた死体が発見されました。ギリシャ語とアラビア語の翻訳家でアリストテレスの研究家でもあるヴェナンツィオでした。
 修道院内には笑いをめぐって明らかに相反する二つの立場がありました。ホルヘは笑いに対して徹底的に不寛容です。一方、ヴェナンツィオは笑いを支持していました。「アリストテレスは『詩学』の第二部を笑いに充てた。あれほど偉大な哲学者が一巻(『詩学』第二部)のすべてを笑いに捧げたのだから、笑とはさぞかし重要なものだったに違いない」とヴェナンツィオは言ったそうです。
 また、学僧ベンチョからの聞き取りにより、修道院で起きた二つの死の謎を解くには、図書館の中にある「アフリカの果て」と呼ばれる秘密の部屋に足を踏み入れる必要があるということが浮上してきます。
 

(11)アリストテレス『詩学』のエーコへの影響

 

出典
和田忠彦(2018/9)ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付しているのは、表紙。

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