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(K0293) 「看取りで」での経験を語る会 <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/02/k0293.html
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第3回 2月19日放送/2月21日再放送
月曜日 午後 10:25~10:50
(再)水曜日 午前 05:30~05:55
午後 00:00~00:25
男の悲しい性(サガ)。前回は「オタクの元祖」、今回は「新たなる嫉妬」。
ジプシーの踊り子エメスメラルダ(16歳)を巡り、ノートルダム大聖堂の司教補佐クロード、ノートルダム大聖堂の鐘番カジモド、王室射手隊の隊長フェビュスの3人の男が、愛と嫉妬に翻弄されている。
各々のキャラ
(1) エメスメラルダは、本人にはその自覚はないが、男たちを身もだえさせ、恋した男たちはみな身を滅ぼすという宿命の美女(ファム・ファタル)の原型でもある
(2) クロードは、映画などでは悪役キャラとして描かれているが、実は作者自身の抱える矛盾がかなり投影された、陰影に富む複雑な主人公(アンチ・ヒーロー)である。
(3) カジモドは、ユゴー好みの怪物的なキャラである。ユゴーをはじめとするロマン派には、このような異形の存在をフィーチャーする特徴がある
(4) フェビュスは、「女という女はみんな、いいふらふらとなるタイプの美男子」だが、内容は空っぽで虚栄心が強いだけの洒落者である
エメラルダへの情熱
(1) クロードは、聖職者の身でありながらエスメラルダに肉欲を覚え、手を尽くしてエスメラルダをわがものにしようとするが、ことごとく失敗した。エスメラルダから戻ってくるのは嫌悪だけだった
(2) カジモドは、エスメラルダに純愛をささげる。処刑されようとしたエスメラルダを救い出し、守っている。エスメラルダは「いい人」だとは思うが、それ以上のものではない
(3) フェビュスは、誘拐されそうになったエスメラルダを救い出したことがある。エスメラルダは一途な思いを寄せた。フェビュスには婚約者がおり、浮気心で抱こうとしたがクロードに襲われて未遂に終わる。エスメラルダは片思いをつらぬきとおす
3人の男の嫉妬
(1) クロードは、フェビュスに嫉妬した
(2) カジモドも、フェビュスに嫉妬した
(3) クロードはやがて、自らに服従するカジモドにさえ嫉妬した
===== 引用はじめ
ある夜、耐えきれなくなったクロードはついに修道院の自室を飛び出し、エスメラルダの眠っている大聖堂の小屋に侵入すると、いきなり背後から抱きつこうとします。暴れて抵抗するエスメラルダに向かって「わたしがどんなにおまえを愛しているかわかってくれ!」と叫び、「わたしを卑しんでくれ、叩いてくれ、意地悪をしてくれ!(中略)だが、お願いだ!わたしを愛してくれ!」と再び哀願するのです。これを聞いたエスメラルダが「あっちへ行け、悪魔!」と叫んでも、男の腕力にはかないません。押さえ込まれてしだいに力尽き、淫らな手に体をまさぐられますが、いくら叫んでも助けは来ません。そのときふとカジモドの笛を思い出し、力をふりしぼって吹き鳴らします。
すると短刀をひらめかせてカジモドが飛び込んできます。クロードは投げ倒され、外へと引きずられていきます。ところが月明かりで、相手がクロードだと気づいた瞬間、カジモドは手を放すと後ずさりします。急に立場が変わってクロードが居尺高になると、うなだれて哀願します。「どうぞお好きなようになすってください。だが、まず、わたしを殺してください」と言いながら、クロードに短刀を差し出したのでした。
しかし、そのときエスメラルダが素早くカジモドの短刀を奪い取り、クロードに向かって大きく振りかざして「わたしはフェビュスさまが死んでいないのを知っているんだよ!」と、敢えて相手の心を突き刺すような残酷な言葉を口にします。
クロードはカジモドを蹴飛ばすと、怒りに身を震わせながら去ります。…
ユゴーは第九編の最後にこう書いています。
もうおしまいだった。クロード師はカジモドに嫉妬した!
フェビュスに嫉妬するならまだしも、とうとうカジモドに対してまで嫉妬するほどに、クロードの心は追い詰められていたのです。
「誰にもあの女は渡すものか!」と、クロードは独り、嫉妬に燃えるのでした。
===== 引用おわり
出典
鹿島茂(2018/2)、ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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