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=====(K0286) 三つの寿命、三つの課題、三つの新課題 <研究所・体制>
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第2回 2月12日放送/2月14日再放送
月曜日 午後 10:25~10:50
(再)水曜日 午前 05:30~05:55
午後 00:00~00:25
【第2回 目次】
1.
クロードとカジモド
2.
学問と心 建築と書物
3.
残酷さと哀れみ
4.
クモとハエ
5.
「嫉妬」のテーマ
ここでは、嫉妬を取り上げる。性欲と禁欲という相矛盾するものを突き上げられながら、嫉妬心を募らせるという根本的な葛藤。『ノートル=ダム・ド・パリ』の著者であるユゴーと主人公の一人であるクロードが二重写しになる。クロードを描きながら、ユゴー自身を描いている。
【ユゴー】
(1) <出生> 父は任地で愛人を囲い、母はヴィクトル・ラ・オリー大佐という愛人をつくった。身ごもった子に、愛人と同じヴィクトルという名前をつけた。ユゴーは長い間、自分はラ・オリーの子ではないかと疑っていた(P.15)
(2) <資質> ユゴーは、父からは強い性欲、母からはと厳格な禁欲という矛盾した資質を受け継いでいる(P.16)
(3) <禁欲生活> ユゴーは性的に早熟で人一倍強い欲望の持ち主だったが、20歳で幼ななじみのアデル・フーシェと結婚するまで、禁欲生活を貫き通した(P.16)
(4) <新婚> 結婚を反対していた母が亡くなり、結婚は成就した。新婚の夜、ユゴーは抑えていた性欲を爆発させて一晩に18回も愛し合ったと後に回想している(P.17)
(5) <兄の嫉妬> 結婚式の翌日、ユゴーと同じくアデルに恋していた次兄ウージェーヌが、弟への嫉妬と絶望のあまり精神を病んでしまうという悲劇も起こった(P.17)
(6) <妻の密通> 妻のアデルが、ユゴーの友人であるサント=ブーヴと密通し、不倫関係になる(P.63)。しかもサント=ブーヴは友人の妻を奪ったことを小説や詩の中でも自慢した。ユゴーは必死に屈辱に耐え、人生で初めて味わうような嫉妬の激しい苦しみを体験した(P.64)
(7) <同棲> ユゴーはやがてジュリエット・ドゥルーエという美貌の女優に出合い、結婚しようとしたが妻のアデルが離婚に応じなかったので、同棲を始めた(P.64)
(8) <軟禁> 強烈な嫉妬心の持ち主であったユゴーは、ジュリエットを独占しようと、与えたアパルトマンから許可なしに一歩も外出してはならぬと難く命じた(P.64)
【クロード・フロロ】
(1) <一目ぼれ> 大勢の見物人に囲まれてタンバリンを叩きながら踊っているエスメラルダ。そのまばゆいばかりの姿に、クロードは魅せられてしまった(P.37)
(2) <誘拐未遂> クロードに命じられたカジモド(クロードの養子・鐘番)がエスメラルダを攫おうとしたが、フェビュスに捕縛されてしまった。エスメラルダは若く逞しいフェビュス隊長にすっかり心を奪われた(P.38)
(3) <宿命> エスメラルドのことが気にかかり悶々としていたクロードは、突然、壁にギリシャ語の大文字で「宿命」という言葉を彫りつけた(P.58)。 … 『げに、嫉妬こそは、ユゴーにとっての「宿命」にほかならなかったのです』(P.65)
(4) <殺人未遂> エスメラルダを誘惑したフェビュスの背中に、クロードは短剣を振り下ろした(P.63)
(5) <ストーカー> この後、クロードは、エスメラルドを魔女裁判にかけ有罪に導く。その上で牢獄を尋ね、自分なら命を助けることができると関係を迫るが拒否される<第3回>
(6) <三すくみの嫉妬> さらに、エスメラルダをめぐって、クロード、カジモド、フェビュスの三すくみの嫉妬が展開していく<第3回>
妻を寝取られたユゴー:
===== 引用はじめ (P.64)
いずれにせよ、クロードを襲った嫉妬による強烈な殺意はユゴー自身のものでもあり、自分もクロードと同じように嫉妬に駆られて殺人を犯してしまうかもしれないという恐怖が常にユゴーにあったことは疑いいれません===== 引用おわり
出典
鹿島茂(2018/2)、ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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