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2018年9月17日月曜日

(1362)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(3-2)(解説 3) / 100分de名著

 
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http://kagayakiken.blogspot.com/2018/09/k0503-55.html
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第3回  17日放送/19日再放送
  タイトル: 「異端」はつくられる
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 

ここでは、三つのテーマを取り上げます。

A)   図書館の平面図

B)   表象、記号、コード

C)   二重コード化
 
 

【展開】
 
A)   図書館の平面図

 ウィリアムとアドソが図書館侵入を繰り返して文書庫の平面図を作成し、実際の部屋の枠札の文言の頭文字を記録して作成したのが、添付図である。その結果、文書庫の各部屋は世界地図になぞらえ配置されていることをつかんだ。

  北:ANGLIA(イギリス)GERMANIA(ゲルマニア)
  西:HIBERNIA(アイルランド)
  東:IDUAEA(ユダヤ)
  南:LEONES(獅子) … アフリカに対応する … この区域の部屋には、コーランなどの異教徒の本、そして一角獣や怪物などの「虚偽」の空想上の事物に関する本が収められていた

 「アフリカ」にたどり着いたウィリアムとアドソは、あるはずの部屋がないことに気づいた。その部屋こそが<アフリカの果て>であり、その部屋へ入る入り口が見つからなかった。
 <アフリカの果て>への扉は鏡であり、その鏡を開けるに至った経緯は、既に紹介した。
(1355)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(2-2)(解説 2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2018/09/1355-2-2-2100de.html
 


B)   表象、記号、コード

  「表象」を解釈するにあたってわたしたちがしなければならないことは、それを「記号」としてとらえ、それを読み解くための「コード」を手に入れること
  「表象」とは、人が表現して生み出すもの、表現されたあらゆるもののこと
  「コード」とは、読解のための規則、あるいは手がかりになるもののこと。たとえば、言語の分野において読解の規則(=コード)は文法になる
 

C)   二重のコード化

 記号論の主眼であるコードについて、とりわけこの『薔薇の名前』で重要なことは、二重のコード化(ダブルコーティング)が多用されているという点です。

  ウィリアムとアドソという設定は「シャーロック・ホームズ」のホームズとワトソンからの借用である(ウィリアムとアドソの子弟コンビが探偵役となり、謎解きに挑んでいく)
  ウィリアムに関しては、ロジャーベーコン(イギリスのスコラ学者・自然科学者。観察と実験に基づく経験論を重視)、あるいはオッカムのウィリアム(イギリスのスコラ学者。清貧論争に巻まれ、異端とされた。「オッカムの剃刀」は彼に由来する)という、同時代に生きた実在の人物のイメージも重ね合わされている

 つまり、

  現代のミステリー小説のパロディとして読む方法、
  そして舞台となった中世における実在の人物のイメージを投影して読む方法

という二重のコードが設定されている。

 

<出典>
和田忠彦(2018/9)、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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