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2018年9月8日土曜日

(1355)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(2-2)(解説 2) / 100分de名著

 
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(K0496)  認知症予防における相関関係と因果関係 <脳の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/09/k0496.html
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第2回  10日放送/12日再放送
  タイトル: 知の迷宮への旅
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 

ここでは、二つのテーマを取り上げます。

A)   黄褐色の黒ずんだ記号
B)   異端とは
 


【展開】

A)   黄褐色の黒ずんだ記号

   殺害されたヴェナンツィオの机から目当てのギリシャ語の本がなくなっていたが、机のそばには一枚の羊皮紙が落ちていました。そこには「黄褐色の黒ずんだ記号」(添付図参照)が書かれていました。ウィリアムはすぐに、これが<アフリカの果て>に入るための鍵だと見抜きます

   ウィリアムは記号を解読しました。「偶像ノ上ニ手ヲ働カセヨ四ツノ第一と第七デ…」。その意味するところはしかし、依然として謎のままでした

   ウィリアムは「偶像」は鏡に映った像のこと(一回目の侵入でアドソが亡霊と間違えたもの)と読み解きました。つまり<アフリカの果て>への扉は鏡であり、そのむこう側に隠された部屋がある。しかし、こじあけようとした鏡は、びくともしません

   「四つの第一と第七で」とは、四つのうちの第一と第七とではなく、四の、つまり四という言葉(quatuor)の、第一と第七のことだ!」とウィリアムは気づきます

   鏡のある部屋の枠札の上に書かれた ”Super thronos viginti quatuor !”、その ”quator”(四)の一つ目の文字qと七つ目の文字rを押すと、鏡が開きました
 

 物語の進行とともにこの謎解きが進み、最後の段階で⑤の謎が解けます。本来はあらすじのなかで紹介すべきものですが、そうするとあらすじが複雑になりすぎるので、ここでまとめて書きました。
 


B)   異端とは
 
 アドソは …、そもそも異端とは何かがわからなくなったと訴えます。平信徒とは何なのか。なぜ教皇権力は異端を名指しし、かれらを指弾するのか――。
 
 ウィリアムは懇切丁寧にアドソに説明するなかで、はじめに異端思想があってそこに平信徒が参加するのではなく、まず平信徒がいて、かれらに異端の烙印が押されるのだと話します。教会が教義を厳格にすればするほど、そこから追い出される者が出てくる。追い出される者の数が増えると、教会はかれらが結集すると自分たちにとって危険であると承知していたため、かれらに異端の烙印を押した。「それこそが異端の幻想なのだ」とウィリアムは言います。

 … ウィリアムは、正統と異端を決めるのは信仰ではなく、権力の掌握をめぐる力学なのだと言います。
 
 「[ローマの教会]はだからこそ自分の統率力の内に引き戻せるかもしれない異端を、あるいは、度を越えて強力になったがゆえにその存在を認めざるをえないような異端を、正統として認めるというわけだ。だが、それを決める明確な基準などない。そしてそれは、王も都市国家も同じことだ」
 

私の感想: 現在でもこの原理が働いている。
 
 

<出典>
和田忠彦(2018/9)、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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