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2018年9月14日金曜日

(1360)  ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」(3-1)(あらすじ 3) / 100分de名著

 
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第3回  17日放送/19日再放送
  タイトル: 異端」はつくられる
 


【テキストの項目とあらすじ】
 
第3回 「異端」はつくられる

(1)  『薔薇の名前』と現実の事件との類似



(2)  【第4日】 指先と舌の黒い死体

 ウィリアムは、薬学僧セヴェリーノとともにベレンガーリオの死体を検分します。そこで二人は、死体の右手の指先の内側と舌が黒ずんでいることを発見。毒殺の可能性が浮上します。セヴェリーノはヴェナンツィオの死体にも同様の特徴が認められたことを思いだし、ウィリアムは、亡くなったふたりは何かを、自分の意思で、指先でつかみ、それを口に入れたために死にいたったと推理します。
 

(3)  書物は書物のことを語る

 <アフリカの果て>の文書庫から持ち出した本を読んで注目すべき箇所を書き写していたヴェナンツィオに何かが起こり、本とメモを机の下に仕舞った。しかし、その本がいまは持ち去られて行方が知れない。犯人はその書物の秘密を何としても独占したかったにちがいない、とウィリアムは述べます。
 

(4)  使節団の到着

 皇帝側・フランチェスコ使節団(総長はミケーレ・ダ・チェゼーナ)会と教皇側使節団(中心人物は、枢機卿ベルトランドと異端審問官のベルナール・ギル)が到着しました。
 

(5)  再び、夜の図書館へ

 ウィリアムとアドソは、再び図書館に侵入し、文書庫の各部屋は世界地図になぞらえて配置されていることをつかみました。北は、イギリスとゲルマニア、西はアイルランド、東はユダヤ、南はアフリカに対応していました。文書庫の蔵書はそれらがもたらされた地域に対応して配置されていることをつかみます。
 アフリカには、コーランなど異教徒の本、そして一角獣や怪物など「虚偽」の空想上の事物に関する本が収められていました。「アフリカ」を特定できました。
 

(6)  『薔薇の名前』における二重コード化

 

(7)  メタ小説という仕掛け

 「アフリカ」にたどり着いたウィリアムとアドソは図面を見ながら、あるはずの部屋がないことに気づきます。その部屋こそが<アフリカの果て>でした。その入り口らしきものを見つけましたが、入られませんでした。
 外に出ると、教皇側の弓兵が、厨房助手のサルヴァトーレと村の娘を捕えていました。アドソは、娘の身を案じて胸が締め付けられました。
 

(8)  【第5日】奇妙な書物の発見と第四の死

 翌朝、いよいよ皇帝側と教皇側両使節団の会談が始まりました。話し合われたのは、キリストが清貧であったかどうか、そして教会が清貧であるべきかどうか。会談はやがて泥沼化しました。
 そんななか、薬学僧セヴェリーノが自分の詰め所で「怪しい書物」を見つけたとウィリアムに報告に来ます。それはおそらくは、死んだベレンガーリオが沐浴場に行く前に施療院に立ち寄って置いていったものだろうと言います。
 その後、セヴェリーノは、手に皮手袋をはめた状態で死体として発見され、側にいたレミージョが逮捕されました。修辞学僧ベンチョによれば、図書館長のマラキーアもいたとのことです。
 セヴェリーノが見つけたという「怪しい書物」は、持ち去られていました。その本はギリシャ語で書かれたものではなく、「さまざまな言語の写本の断片をまとめて製本したもの」だっただろうと、ウィリアムは気づきました。ウィリアムの推測によれば、持ち出したのはベンチョでした。
 

(9)  ベルナール・ギーによる異端審問

 教皇使節と共に会談に訪れていた苛烈な異端審問官ベルナール・ギーが、修道院で起こっている殺人事件は、異端者の仕業であるとして、異端審問を要求した為、事態は、まったく異なる方向へと進行して行きました。
 殺人容疑のレミージョの異端を暴くため、サルヴァトーレも呼び出されました。殺人の疑惑を逃れるためにレミージョは異端であったことを認め、サルヴァトーレも認めました。
 そもそもギーには、レミージョの異端を暴き、会談の仲介役としての修道院の信頼を貶め、会談を自分たちに有利な結果に導くという目的がありました。
 尋問はギーの思惑通りの結果となり、会談はもはや再会されませんでした。
 

(10)「モーロ―事件」とのアナロジー

 レミージョ、サルヴァトーレ、村の娘は、結局死をもって裁かれることになりました。一連の殺人事件の犯人ではないのに、です。異端でさえない娘は何の庇護もなく殺されてしまう。
 


出典
和田忠彦(2018/9)、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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