◆ 最新投稿情報
=====(K0184) 生活(2) / トライアングル理論(11) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/10/k0184211.html
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★ 前々回からの続き
目標&ポイント
===== 引用はじめ…
また、東京圏に大量に移動した第1世代が集中している郊外に焦点を当て、家族の変容と地域社会の対応を展望する。
===== 引用おわり
「大家族」が「核家族」になったという認識があった。
しかし、現実は更に進み、核家族の分解が始まっている(ポスト核家族化)。
1990年代になると、
(1) 子どもの独立に伴って高齢の夫婦のみ世帯や単独世帯が増加する一方で、(2) 独立した子どものおおよそ3分の1程度が自分の家族をつくらない選択をするようになった
ポスト核家族化時代への移行は始まったところであり、2020年くらいから、家族ネットワークをもたない小規模世帯が増加することになり、本格的なポスト核家族時代が訪れると考えられる。
(A) 高齢化には二つの側面がある
(A1) 多くの高齢者が年金生活に入り消費する一方の受け身の立場へと追いやられ、主体性をなくしていく
(A2) 退職男性など、モノやサービスの生産に関与したいというニーズを持つ人々が豊富に地域に存在する状況が出てきた
(B) ポスト核家族時代を迎え、「弱い家族」が増加し、親密性が必要とされる家族内相互扶助の代替サービスが必要になってきた。
この(A2)と(B)を結び付けようという考え方がある。
市民的相互圏(親密圏と公共圏の中間にある)
① 家族内相互扶助代替サービスへのニーズと
② サービス生産に関与したいと考える人々が
出会う新しい圏域(スフィア:空間概念でなく領域概念)
を創出しようという考えである。
注意すべき点が三つあると、私は考える。
(1) 公共圏に近づきすぎてはいけない
「専門システムのなかで行われる専門サービスの提供・購関係」(A)の少し外側に「マネージメント可能な家族機能代替型のサービス授受の領域」(B)があるという考え方が必要である。公共と相互補完し合うものであり、公共を代替するものであってはいけない。公共が(B)を強制したり、コントロールしようとしたりすると、このシステムは崩壊する。
(2) 親密圏に近づきすぎてはいけない
伝統的地域社会組織が関与する場合にはパターナリズム(温情的庇護主義)に陥る可能性が小さくない。危惧されるのは、(A)世話を受ける側は負担感が累積し、(B)世話をする側は疲労が蓄積していくという形で双方のモチベーションが低下していくことである。対等な関係が成立しない活動は一般に持続性をもちにくい
(3) 「サービス生産に関与したいと考える人々」の活動に継続性を担保しなければならない
上記(1)(2)に近づくと、活動は持続しにくい。ボランティアが集まるのは、そこに彼らが求めている承認・自尊感情の獲得・自発性というサイクルがあるからである
「第4章 人口減少社会の地域人口変動」の目次
1. 人口減少社会の地域的差異と大都市圏への集中
2. 人口転換と人口移動3. 大都市圏郊外におけるポスト核家族時代 ← 今回は、ここ
(1) ポスト核家族化の始まり
(2) ポスト核家族時代の共同性 市民的相互圏の形成
出典
大江守之、「第4章 人口減少社会の地域人口変動」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)