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2018年6月1日金曜日

(1256)  海と太陽、不条理と反抗の文学 / アルベール・カミュ『ペスト』(0) / 100分de名著

 
      最新投稿情報
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(K0397)  個人Blog 5月下旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/06/k0397-blog.html
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6月の「100de名著」、アルベール・カミュ『ペスト』が、6月4日()から始まる。
Eテレ。

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 

<全4回のシリーズ>  いずれも6月

はじめに  海と太陽、不条理と反抗の文学

第1回  4日放送/ 6日再放送
  タイトル: 不条理の哲学

第2回 11日放送/13日再放送
  タイトル: 神なき世界で生きる

第3回 18日放送/20日再放送
  タイトル: それぞれの闘い

第4回 25日放送/27日再放送
  タイトル: われ反抗す、ゆえにわれらあり
 
 

「ペスト」が象徴するもの:災厄、不条理
小説『ペスト』のテーマ:不条理と反抗

===== 引用はじめ
 人間が不幸とどう戦うかというこの物語は、戦争の只中で書かれ、ペストという災厄が戦争という現実と重ねて描かれていますが、それを地震のような天災や、目に見えない放射能の恐怖に置き換えて読むことも可能なのです。
===== 引用おわり
 
 

カミュとサルトルとの共通点:実存主義
実存主義とは

===== 引用はじめ
 カミュの作品はしばしば「実存主義」の名で呼ばれ、文学・思想史的に、実存主義の指導者サルトルとひと括りにされてしまうことがあります。

 実存主義が一世を風靡してから半世紀以上が経ち、いまではその衝撃力は伝わりにくいかもしれませんが、「実存は本質に先立つ」(サルトル)という思想的転換は、神や魂といった本質を人間に先行させるキリスト教的世界観と、デカルト的な近代哲学の理性中心主義的な世界観の両方を否定する、哲学史上における途方もない革命だったのです。
===== 引用おわり
 
 

カミュとサルトルの違い

===== 引用はじめ
 サルトルの小説は、…閉鎖的・内面的な印象をもたらし、… 出口のない関係を生きています。

 (カミュの場合) … 未知のものに自分を開いていく感性の柔軟さや開放性が、カミュの小説がサルトルのそれよりも普遍的な広がりや包容力をもつと感じられる所以ではないでしょうか。
===== 引用おわり
 
 

カミュの「地中海性」:太陽と海
太陽と海は違う

===== 引用はじめ
 … カミュのいわば「地中海性」は、哲学的にはキリスト教以前のギリシャ哲学に遡ることができ…

 カミュの場合、たしかに人間は複雑な状況に直面して苦悩することもあるし、痛みを感じることもありますが、海や太陽といった無条件のエネルギーの巨大な源泉のようなものに出会ったときに、そこへ“自分を開いていく”ような感性があるのです。
 
 … 海と太陽とでは、カミュにとって若干ニュアンスが異なります。

 太陽は、明るい光をもたらすと同時に、人殺しにまで至らせてしまうような激しさをもっており、ときとして人間の攻撃的な情念を高揚させます。かたや海のほうは、むしろそれを鎮めてくれる場所です。 … 印象的な海水浴の場面が出てきて、われわれ読者に救いの感覚をもたらします。
===== 引用おわり
 
 

カミュとサルトルの対立
その後

===== 引用はじめ
 ちなみにカミュとサルトルはやがて思想的に対立し、論争の末に絶交してしまいます。当時は文学的なカミュよりも、政治的なサルトルのほうに分があるように見えました。
 しかしいまになってみれば、スターリンの恐怖政治へと至るマルクス主義のイデオロギーや、革命による暴力や殺人を批判するカミュのほうが正しく、きわめて真っ当な感覚を有していたといえます。
===== 引用おわり
 
 

<出典>
中条省平(2018/6)、アルベール・カミュ『ペスト』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付図は、この本からの転載


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