画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2018年6月10日日曜日

(1265)  (17) 徳富蘇峰『吉田松陰』 / 「明治の50冊」

 
      最新投稿情報
=====
(K0406)  出生数最少・死亡数戦後最多 <少子高齢化>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/06/k0406.html
=====
 
 
 
 学習院女子大講師の杉原志啓さんは永田町をにらんでこう訴える。「日本は新たな国難に直面していながら、それを直視しようとしない政治家があまりにも多い。人生論としても第一級のテキストなので、まず彼らに読んでほしい」
 


【今回の目次】
 
(1)  『吉田松陰』とは

(2)  吉田松陰とは

(3)  略歴
   明治25年に講演、10回にわたり連載、26年に『吉田松陰』を刊行する
   明治41年に版を改める
   敗戦後の昭和21年に蘇峰は、公職追放になる
 


【展開】
 
(1)  『吉田松陰』とは

===== 引用はじめ
 明治25年初春、東京の本郷教会会堂で行われた講演会で蘇峰は、元勲たちの師であった吉田松陰を取り上げる。そして、講演草稿をもとに自身が主宰する雑誌「国民之友」に10回にわたり連載、さらに加筆し26年の暮れに史伝『吉田松陰』を刊行する。

 学習院女子大講師の杉原志啓さんはこう話す。「蘇峰は、第2の維新とそれを担う第2の松陰を欲していました。当時の歴史背景と松陰の生き方を通じて、自身の強い危機感を伝えようとした。彼にしては珍しく精緻な作品に仕上がっています」
===== 引用おわり
 

(2)  吉田松陰とは

===== 引用はじめ
 松下村塾で幾多の志士を育て、安政の大獄に連座して29歳で斬首された松陰を《彼は多くの企謀(きぼう)を有し、一(ひとつ)の成功あらざりき。彼の歴史は蹉跌(さてつ)の歴史なり、彼の一代は失敗の一代なり。しかりといえども彼は維新革命における、一箇の革命的急先鋒(せんぽう)なり》と蘇峰は評価し、《彼はもとより生を愛し死を避けんと欲したるに相違なし。ただ彼はときに死よりも重きものあるのを観(み)、これを成さんがために死をも辞せざりしなり》と書く。
===== 引用おわり
 

(3)  略歴

   明治25年に講演、10回にわたり連載、26年に『吉田松陰』刊行する

===== 引用はじめ
 世に送り出された同書は、当時の厳しい国際情勢の中で「国民」となりつつあった日本人に好意的に迎えられてベストセラーとなり、ナショナリズムの形成を後押しすることとなる。
===== 引用おわり
(時代背景:明治26年に日清戦争勃発。28年に三国干渉)
 

   明治41年に版を改める

===== 引用はじめ
 41年、蘇峰は版を改める。長州出身の乃木希典大将の意を受けて松陰門下の野村靖がなした批評を受けいれたのだ。平民主義の残映のあった旧版に対して、新版は国家膨張主義の色合いがさらに強まる。自身の思想の変化と国民感情を反映した新版は、旧版以上の売れ行きを示し、…
===== 引用おわり
 

   敗戦後の昭和21年に蘇峰は、公職追放になる

===== 引用はじめ
 敗戦後の昭和21年、蘇峰はA級戦犯の疑いがかけられ、公職追放となる。同書の命脈も尽きたかに思われた。ところが、戦後いちはやく松陰の再評価を試みた歴史学者の奈良本辰也が、人物伝としての同書(旧版)を高く評価、再び読み継がれてゆく。岩波文庫と中公クラシックスに収められ、現在でも容易に入手できる。
===== 引用おわり
 
 

【プロフィル】徳富蘇峰(とくとみ・そほう)

 文久3(1863)年、肥後国(現・熊本県)の豪農の家に生まれる。本名は猪一郎。熊本洋学校をへて同志社で学び、帰郷後は大江義塾を開き青年の啓蒙(けいもう)にあたる。明治20年、民友社を設立して月刊誌『国民之友』を発行、「平民的欧化主義」を主張する。23年、国民新聞社を設立して「国民新聞」を創刊、ジャーナリストとして健筆をふるう。三国干渉を契機に国家主義に転じ、太平洋戦争中は日本文学報国会会長、大日本言論報国会会長を務め、敗戦後は公職追放を受け静岡県熱海市に隠棲。著作は300冊に及ぶ。代表作は『近世日本国民史』100巻。昭和32年、94歳で死去。
 
 

<引用>

徳富蘇峰「吉田松陰」 / 国難打開へ第2の維新を欲して
【明治の50冊】(17) 産経新聞(2018/06/04)
 
(17)徳富蘇峰「吉田松陰」 国難打開へ第2の維新を欲して
https://www.sankei.com/life/news/180528/lif1805280014-n1.html
(添付写真はこのサイトから転載)


0 件のコメント:

コメントを投稿