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2018年4月28日土曜日

(1220)  (13) 西郷隆盛「南洲翁遺訓」 / 「明治の50冊」

 
      最新投稿情報
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(K0361)  乳児の生きる意思、終末期の人の生きる意思 <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/04/k0361.html
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===== 引用はじめ
 遺訓本文は全41カ条と追加2条からなり、原文のみを記せば文庫本で15ページ程度に収まるごく短い分量だ。内容は為政者のあるべき姿勢や日本の文明化の方向性、人として行うべき道など、西郷の国家観や人間観が端的に語られている。
===== 引用おわり
 
 分量としては短いが、内容は密である。
 


 ここでは、有名な二つの条を取り上げる
 
(30条)
===== 引用はじめ
 命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末(しまつ)に困るもの也。此(こ)の仕末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり
===== 引用おわり
 
(24条)
===== 引用はじめ
 道は天地自然の物にして、人は之(これ)を行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、我を愛する心を以て人を愛する也(なり)
===== 引用おわり
 

 後者が有名な「敬天愛人」であるが、前者でもまた「天」が大変重要な概念になる。「陽明学の影響を深く受けた西郷の言う『天』とは、社会において自分が何をなすべきかという宿命の自覚を促す存在だった」と先崎彰容教授(日本大教授・日本思想史)は指摘する。
 

===== 引用はじめ
 「人を愛するといっても、立場の違いで激しく殺し合った時代状況では、非常に困難なもの。だから最初に『敬天』が必要になる。
===== 引用おわり
 
===== 引用はじめ
 昔の聖人や賢者の書を単に知識として学ぶだけでは、どうしようもない。いまや危機の時代である。実践と行動こそが重要であり、それは眼前で崩壊しつつある日本社会の秩序を再構成することだ-。
===== 引用おわり
 
 「社会において自分が何をなすべきかという宿命の自覚を促す存在」である『天』、その思想が「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人」につながる。
 
 
 政党の存続をかけた数合わせの合従連衡、世論を得るためのこれみよがしの言動(それで逆に世論を失っているように私には見える)、何事も政争の具としてしかとらえない発想、どうみても「天」とは真逆のものが現在の政治の世界を覆っているように見える。
 
 「命もいる、名もいる、官位も金もいる人は、仕末(しまつ)に困るもの也。此(こ)の仕末に困る人では、艱難(かんなん)を共にできず、国家の大業は成し得られぬなり」と思ってしまった。
 


【プロフィル】西郷隆盛(さいごう・たかもり)
 文政10年12月(1828年1月)、薩摩(鹿児島県)の下級藩士の家に生まれる。号は南洲。藩主の島津斉彬(なりあきら)に登用されて頭角を現し、失脚を経つつも討幕運動の中心人物となって薩長連合や王政復古、江戸城無血開城などを成し遂げる。新政府では陸軍大将、参議を務め、廃藩置県や徴兵制導入を実現するが、明治6(1873)年の政変で下野。10年、鹿児島で挙兵し西南戦争を起こすが、政府軍に敗れ自刃した。
 


<引用>

西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み
【明治の50冊】 (産経新聞 2018/04/23
 
(13)西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み
https://www.sankei.com/life/news/180416/lif1804160011-n1.html
(西郷の写真はこのサイトから転載)

 
 


【参考】 以前にとりあげたことがある。(100de名著)
 
(1110)  はじめに / 西郷隆盛『南洲翁遺訓』(0)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1110-0.html
 
(1111)  揺らぐ時代 /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(1)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1111-1.html
 
(1116)  「敬天愛人」の思想 /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(2-1)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1116-2-1.html
 
(1117)  「天」と「道」・陽明学 /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(2-2)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1117-2-2.html
 
(1123)  「文明」とは何か /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(3-1)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1123-3-1.html
 
(1124)  西郷隆盛は、反「征韓論」 /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(3-2)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1124-3-2.html
 
(1130)  西郷はどう評価されたか /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(4-1)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1130-4-1.html
 
(1131)  いま『南洲翁遺訓』を読む意味とは /西郷隆盛『南洲翁遺訓』(4-2)
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1131-4.html


 

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