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(1216)で田尾安志氏の
“「強いチーム」ではなく「いいチーム」にしたい”を魅力的なフレーズだ、と書いた。
あと二つ、魅力を感じたので、続けて述べる。
一つは、①キャッチフレーズで終わらせるのではなく、②目的が明確で因果律を踏まえ、③具体的に実践していることである。
===== 引用はじめ
(1) 選手起用については、2軍とのコミュニケーションを大切にした。
(2) 35歳を超えるベテランが17人もいたチームだっただけに、えこひいきをしていると思われると、腐ってしまう。
(3) 先発投手なら2軍の試合で6回を自責点3以内に抑えるクオリティースタートを2試合連続、中継ぎなら1回無失点を3試合連続-で達成したら、必ず1軍に昇格させた。
(4) ミーティングでは、その方針を繰り返し確認した。
(5) 明確かつ具体的な条件を示して確実に伝えれば、(6) モチベーションは高まる。
===== 引用おわり
(箇条書き形式にした)
① キャッチフレーズで終わらせるのではなく、
「コミュニケーションを大切にする」がキャッチフレーズ。それに「2軍との」と対象を絞り込み、「選手起用については」と場面を絞り込んでいる(1)。キャッチフレーズで終わらせないためには、この絞り込みが必要だ。
② 目的が明確で因果律を踏まえ、
「えこひいきをしていると思われると、腐ってしまう」(2)、「モチベーションは高まる」(6)。「コミュニケーションを大切にする」が目的ではない。モチベーションを高めるためには、腐らせてはならない。「モチベーションを高める」も目的ではない。その先に「いいチーム」があり、更にその先に「強いチーム」がある。
「腐らせない」→「モチベーションを高める」→「いいチーム」→「強いチーム」という一連の因果律を踏まえ、最終目的の「強いチーム」を作ろうとしている。それが「コミュニケーションを大切にする」の中身である。
③ 具体的に実践している
「…を達成したら、必ず1軍に昇格させた」(3)、「その方針を繰り返し確認した」(4)。(5)=(3)+(4)。この実践がないと、実績にはつながらないのは当然である。
見事な戦略ではないか。
===== 引用はじめ
(1) トレーナーや打撃投手といった裏方さんも重要だ。
(2) 手足となるコーチ陣を招聘(しようへい)して組閣した際に、球団が人件費をコストカットした資金があった。それを「使わせてくれ」と申し入れ、裏方さんへの「勝利給」として使った。1試合勝つごとにボーナス。1軍だけでなく、2軍の裏方さんにも配った。
(3) 縁の下の力持ちは立派な戦力。
(4) 選手と同じ方向をみてもらう必要があった。
===== 引用おわり(箇条書き形式にした)
同じ構造である。
① キャッチフレーズで終わらせるのではなく、
「裏方さんも大切だ」(1)
② 目的が明確で因果律を踏まえ、
「裏方さんが選手と同じ方向を見る」(4)→「いいチーム」→「縁の下の力持ちが戦力になる」(3)→「強いチーム」
③ 具体的に実践していることである。
「1軍だけでなく、2軍の裏方さんにも配った」(2)
おそらく、「強いチーム」は、裏方さんがしっかりしているのだろう。裏方さんがしっかりしていると、「いいチーム」になるのだろう。
出典
「いいチーム」とは【野球がぜんぶ教えてくれた 田尾安志】、産経新聞(2018/04/90)
「いいチーム」とは
https://www.sankei.com/west/news/180410/wst1804100042-n1.html
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