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2017年11月19日日曜日

(1062) 幸福になる具体的な方法 / ラッセル『幸福論』(3-2)


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(K0203) 社会参加しやすい地域づくり / 「地域元気力アップ講演会」(2) <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/11/k02032.html
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===== 引用はじめ
この予備的考察に続いて、ラッセルは幸福のための具体的な方法について論じていきます。方法はいくつもあるのですが、共通しているのは、バランスが大事だという視点があることです。どんな方法でも、行き過ぎてしまっては不幸になる。理性によって行き過ぎにブレーキをかけていくというところがポイントになります。
===== 引用おわり

「この予備的考察」は前回書いた7項目。今回は「幸福になる具体的な方法」5項目。

(1) バランスのとれた熱意

(2) バランスのとれた愛情と家族

(3) バランスのとれた仕事

(4) 私心のない興味=興味を持つ

(5) 努力とあきらめ

 

【各論】

(1) バランスのとれた熱意

  熱意にもバランスが必要
  空腹の食べ物に対する関係は、熱意の人生に対する関係に似ている。幸福な人は、「健康な食欲をもって食事をする人」に相当する
  人は関心を寄せる対象が多ければ多いほど幸福になる機会が増える。かりに、一つを失っても、もう一つに頼ることができるからである

  ソーセージ製造機の比喩
 熱意をもって外に目を向けようとせず、自分の内面だけを見ていても、決して幸せにはなれない

  熱意が収まるべき四つの枠
 私たちの別々の趣味や欲望は、おしなべて人生の全般的な枠の中にきちんと納まるものでなくてはならない。四つの枠がある。健康、人並みの能力、必需品が買えるだけの収入、妻子への義務
 

(2) バランスのとれた愛情と家族

 愛情には二種類ある(一般論)
  「最上のタイプの愛情」:「相互に生命を与えるもの」「一つの幸福を共有する結合だと感じる愛情」 … 幸福に至る愛情
  「吸血型」の愛情:一方が他方を幸福の手段としてみているもの … 両方の幸福につながらない

 家族の愛情(特に親子の関係)
  親が子どもの人格に対して尊敬の念を抱く必要がある
  どちらかが過度の自己犠牲を強いられたり、愛が過ぎるあまりお互いの人生を同一視したりしてしまうことは、問題だ

 
(3) バランスのとれた仕事

  仕事を通じて幸福になる
 ラッセルは仕事もまた幸福の源になるという。仕事は退屈の予防になる。休日を楽しくするという効用もある。成功とチャンスと野心を実現する機会も提供してくれる。

 仕事自体をおもしろくすることによって幸福になるという方法もある。その要素は、「技術の行使」と「建設性」である
・「技術の行使」:もうこれ以上は上手になれないというところまで、その技術を行使することを楽しむ
・「建設性」:建設とは作り上げることである。一つの形を作り上げることは破壊より楽しい。つくるという作業には完璧な完成がないため、目的をずっと追い続けることができるという点も幸福につながる。どんな仕事にも「建設性」という要素がある。

http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/10/k01797.html
にも、同じところを取り上げた。

 
  人生の目的と仕事が一致することの重要性
 幸福を獲得する見込みがあるのは、人生をばらばらの事件の連続ではなく、統一性としてとらえられる人だ。「人生を一つの全体としてながめる習慣」が大切だ。
 幸福の必須の条件とは、人生の目的が首尾一貫していることであり、それを可能にするのが仕事だ。
 

(4) 私心のない興味=興味を持つ  

 ラッセルは、興味のことを「私心のない興味」と表現している。「ある人の生活の主要な活動の範囲外にある興味」「より公平無私な」興味ともいっている。自分の利益や損得に関係なく純粋に楽しめるものである。

 ラッセルは、私心のない興味を持つことには、三つの効用があるという
  気晴らしになる
  釣り合いの感覚を保つ(主に、仕事とのバランス)
  悲しみを癒す

http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/10/k01786.html
にも、同じところを取り上げた

 

(5) 努力とあきらめ
 
  努力とあきらめのバランスが肝要
 賢人は、妨げうる不幸を座視することはしない一方、避けられない不幸に時間と感情を浪費することもしないだろう。
 また、それだけなら避けられるような不幸に見舞われたとしても、もしも、それを避けるのに必要な時間と労力がもっと重要な目的の追求を妨げるようであれば、進んでその不幸を甘受するだろう。

  不屈の希望に根ざす
 あきらめには二つの種類がある。
一つは「絶望」根ざしたもの。これは悪い
もう一つは「不屈の希望」に根ざすもの。これは良い。
 たとえあきらめたとしても、それが希望に根ざしていればよい。その希望とは、非個人的なものを追求することではじめて不屈になる。

 
第3回 11月20日放送/11月22日再放送
 バランスこそ幸福の条件
月曜日   午後 10:25~10:50
()水曜日 午前 05:30~05:55
      午後 00:00~00:25
 

出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
 
 

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