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=====(K0042) 生きづらさの中を生きる <いのちの電話>
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『100分で名著』 6月12日(月) 22:25 ~ 22:50 Eテレ 放映
【本テキストの構成】
第2回 「得意分野」こそ疑え
1 見舞いに行くのは誰だ? … ここから『維摩経』第3章
2 得意分野をことごとく否定3 自分を見つめ直し、他者を観察せよ
4 生活のすべてが修行道場である … ここから『維摩経』第4章
5 在家者も仏法を説くことができる
6 引き受けたのは文殊菩薩 … ここから『維摩経』第5章
7 維摩の病の原因は「慈悲」だった
8 並び立つ智慧と慈悲
【『維摩経』の構成】
第3章「弟子品」(でしぼん)
維摩が病気であることを知った釈迦は、自分の代わりに弟子を維摩のもとに見舞いに向かわせようと考えた
第4章 「菩薩品」(ぼさつぼん)
信頼していた十人の弟子(十大弟子)全員に断られてしまった釈迦は、今度は菩薩たちに見舞い役を頼むことにした
第5章 「文殊師利問疾品」(もんじゅりもんしつぼん)
ここでようやく「私が維摩さんのところに行きます」という勇気ある人物が現れる。それが、智慧の象徴として知られる文殊菩薩である
<各論> 第2回 「得意分野」こそ疑え
1 見舞いに行くのは誰だ?
維摩が病気であると知った釈迦は、自分の代わりに弟子を維摩のもとに見舞いに向かわせようとするが、弟子たちはそれぞれこれまでに維摩にやり込められたことがあるので、次々と断った。
2 得意分野をことごとく否定
維摩は、それぞれの弟子(図参照)が一番得意としているものをことごとく否定した。舎利弗に対しては知恵、目連に対しては能力、大迦葉に対しては乞食行のあり方を問い詰めた。
人は「自分が正しい」「自分が優れている」といった自信を持ったとき、見えなくなるものがある。自分で秀でていると感じている領域にこそ落とし穴がある。ちなみに(881)で紹介したエニアグラムでは、「囚われ」という概念で同様の事を言っている。
3 自分を見つめ直し、他者を観察せよ
維摩は「自己分析と他者理解」の大切さを説いた。自己の内面に目を向け、まずは自分の都合を消し去り(自己分析)、さらに相手の心を知ろう(他者観察)としなければ、人は何かを伝えることができない。
ちなみに(881)で紹介したエニアグラムは、「自己分析と他者理解」を大いに助ける。
4 生活のすべてが修行道場である … ここから『維摩経』第4章
維摩は、世俗から離れた場所で修行を続ける出家者のあり方を否定して、「悟りを求める気持ちさえあれば、この世界のあらゆる場所、あらゆる行為、日常生活のすべてが仏道修行になる」と説いた。
5 在家者も仏法を説くことができる
維摩は在家者に対して「仏法の教えを施しなさい」と言った。「教えを説くのは出家者だけの専売特許ではなく、一般の在家信者も積極的に教えを説いていいのだ」と主張している。
6 引き受けたのは文殊菩薩 … ここから『維摩経』第5章(前半)
結局、文殊菩薩が維摩の見舞いに行くことになり、病気について尋ねた。維摩が言うには、「痴と有愛が原因で病気になった」「これは誰もが罹る病だ」「もし、すべての人がこの病気に罹らないでいられるなら、私の病気も完治する」
仏教では克服すべき三つの煩悩を「三毒」と呼んでおり、一般的には「貪欲(有愛)」「瞋恚(怒り)」「愚痴(痴)」と表現される。
7 維摩の病の原因は「慈悲」だった
維摩はすでに仏道を極めていた人であり、三毒からは既に離れた状態であったはずなのに、なぜ病に罹ってしまったのか慈悲の基本は「他者の痛みを我が痛みとする」「他者の喜びを我が喜びとする」ところにある。大悲は「限りない広大な慈悲」であり、すべての衆生に向かっている。「衆生病むがゆえに、我は病む」。三毒で病んでいる人たちの苦しみに寄り添おうとしているうちに、維摩自身も病に罹ってしまった。
8 並び立つ智慧と慈悲
大乗仏教の寺院に祀られている三尊形式の仏像(図参照)は、悟りと知恵と慈悲がセットになっている。・ 真ん中に釈迦如来(悟り)が鎮座し、その両脇に文殊菩薩(智慧)と普賢菩薩(慈悲)が祀られているものが一般的なスタイルである
・ 阿弥陀如来(悟り)が中心の場合は、勢至菩薩(智慧)と観音菩薩(慈悲)
・ 薬師如来(悟り)が中心の場合は、日光菩薩(智慧)と月光菩薩(慈悲)
・ 密教でも、大日如来(悟り)を御本尊として、金剛界曼荼羅(智慧)と胎蔵曼荼羅(慈悲)
この維摩経では、十大弟子・菩薩たちが次々と断り、結局、文殊菩薩(智慧)と維摩(慈悲)との対話が始まる。
出典:
釈徹宗、『維摩経』~とらわれない、こだわらない~、「100分DEで名著」、NHKテキスト(2017/6)図:十大弟子、釈迦三尊像
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