(K0030) 尊厳と自立度 / 自立度など <自立喪失からの脱却>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/05/k0030.html
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子どもの遊び、校外生活
子どもの成長スタイルが変わってきた。仲間との遊びを通した成長が見られなくなっている。そこから、今の子どもたちの「弱さ」が生まれている。とりわけ男子の行動が気になる。それは何が原因かを明らかにしていく。一言で言えば、利便社会の落とし穴であり、子どもの放課後が消えたからである。子ども社会での規範意識が育っていない。
<構成>
1. 子どもは変わったか
2. 子どものおかしさは何か
(1) バレーボールができない中学生(2) ミーティングができない中高生
(3) 女性リーダーと草食男の誕生
3. 子どもの放課後が失われた
(1) 食欲が乏しい(2) 体力が低下する
(3) 人間関係能力が衰える
4. 学校は計画経済、放課後は自由経済
5. 通学学習が子どもの生活を変える
(1) 通学学習とは何か(2) 通学学習の機能は何か
(3) 仲直りの文化を身に付ける
<各論>
1. 子どもは変わったか
子どもたちが「忙しい」生活を送り始めた。忙しい子どもの出現で子どもの独りぼっち化が進む。金曜日になると疲れきってしまう。早寝早起きができなくなる。
2. 子どものおかしさは何か
(1) バレーボールができない中学生(2) ミーティングができない中高生
(3) 女性リーダーと草食男の誕生
子どもたちは、予想できない状況での対応能力を要求されるスポーツが苦手になっている。素早い対応能力が求められるバレーボールのレシーブが続かない。一方、お互いが示し合わせるので予想可能なバスケットとサッカーのパスストドリブルは上手にできる。
自分たちで意志決定できない子どもたちが出現している。自分たちで協議できなくリーダーの指示を仰ぐ「指示待ち人間」になっている。かつての子どもはこうした指示待ち人間は少なかった。遊びの中では自分たちのルールを作り楽しく遊んでいた。
3. 子どもの放課後が失われた
(1) 食欲が乏しい(2) 体力が低下する
(3) 人間関係能力が衰える
小学校5年生の一日の歩数は、30年ほど前には23,000歩だったが、一昨年では13,000歩だった。時間換算すると約1時間の放課後が短縮された。
放課後空き地や公園で子どもの声がしなくなった。夕食時に「ただいま、お腹すいた。お母さんご飯まだ」という声が隣から聞こえなくなった。
動きが少なくなると、体力が低下する。体力テストによれば20年間小中学生の体力は低下し続けている。
今の子どもを取り巻く大人を見ていると「第一の親」と「第二の教師」の大人だけである。「第三の大人」(近所のおじさんやおばさん・地域のお店の人・見知らぬ人たち)との関りが少なくなっている。これでは子どもの人間関係能力が育つわけがない。
4. 学校は計画経済、放課後は自由経済
学校は良い意味での計画経済である。全国どこに行っても「よい教科書」と「よい教師」、それから「よい友達」が保証される。しかし、放課後の世界は自由経済である。子どもの放課後の体験量は親の経済的な差と地域差を直接に受ける。
この体験量が格差を生む。放課後の格差を学校が是正する働きをもつが限度がある。どの家庭の子どもにも、どの地域の子どもにも豊かな放課後の世界を提供するミッションを持たねばならない。
5. 通学学習が子どもの生活を変える
(1) 通学学習とは何か(2) 通学学習の機能は何か
(3) 仲直りの文化を身に付ける
通学学習とは、子どもたちが公民館などの施設で1週間程度、集団で宿泊合宿を行い、学校に通う活動である。期間中、衣・食・住に関することすべてを自分たちで行う。食材の買い出しから調理、部屋の掃除、洗濯、風呂沸かしまでをする。
子どもたちは利便社会の落とし穴に落ち込んでいる。自分から動かなくてもよい生活になれている。通学学舎はそこに落ち込んだ子どもたちが、自分から這い上がる力を身に付けるきっかけになる。
通学学習は、まさに生活のトラブルと遊びのトラブルを通して、仲直りの文化を学ぶ場である。トラブルを解決しないと、遊べないし、食事ができなく、風呂にも入れない。
引用
明石要一、「第5章 子どもの遊び、校外生活」
竹内清・岩田弘三編(2011)、子供・若者の文化と教育、放送大学教材
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