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(K0020) 縦から横への視点転換・属性所属の転換 / 新しい人生が始まった(6) <自立喪失からの脱却>
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平安時代には、比叡山に拠った最澄と高野山に拠った空海という二人の巨人が出て、順に天台宗、真言宗の思想を唱えた。
<構成>
1 最澄の思想
1-1 『願文(ガンモン)』の思想
1-2 最澄の『法華経』理解
1-3 『山家学生式(サンゲガクショウシキ)』の思想
2 空海の思想
2-1 顕教と密教
2-2 十住心の思想
二人の思想は大変、奥深く、またのちの日本仏教の母体となるものであった。この平安仏教の双璧が説くコスモロジーに分け入り、日本仏教の背景にある人間観・自然観等について理解することを目標とする。
<各論>
1 最澄の思想
本来の天台宗は『法華経』と龍樹の中観思想に基づき中国の天台智顗が創唱したものであるが、最澄はさらに禅・密教・律を擁する総合仏教を創始し、また最澄は智顗の天台思想をさらに深め、しかも密教はこの法華思想に同じ域にあるとの立場に立った。
1-1 『願文(ガンモン)』の思想
最澄が二十歳の時に作成した『願文』の底流に流れているのは、他者の自己実現に資していくのだという純粋な思いである。
1-2 最澄の『法華経』理解
最澄は、『法華経』が最も深い真理を説くだけでなく、円教としての『法華経』の力によって、これに拠る者はたやすく成仏できるのだと考えた。
1-3 『山家学生式(サンゲガクショウシキ)』の思想
『山家学生式』は、大乗戒のみを受けさせ、その後、十二年間、山を降りずに修行させるとした。
2 空海の思想
真言宗は空海がインド密教を相承していた唐の恵果から受け継いだもので、かつ空海は他のあらゆる仏教等を体系的に組織し、スケールの大きな思想体系を展開している。
2-1 顕教と密教
空海が示す顕教と密教の簡潔な定義がある。歴史上の釈尊が説いたとされる経典は、小乗であれ大乗であれ、すべて顕教である。一方、密教は、法身仏という絶対者のような仏が、相手をおもんぱかることなく真理そのものを説いたものである。
2-2 十住心の思想
『秘密曼荼羅十住心論』およびそれを簡略にまとめた『秘蔵宝鑰』に説かれる十住心の説教こそ、空海の主たる思想と見ることができよう。
引用
竹村牧男、「第三章 平安時代の仏教」
竹村牧男・高島元洋編、仏教と儒教~日本人の心を形成してきたもの~、放送大学教材(2013)
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