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2019年9月19日木曜日

(1730)  「自分で自分の欠点を並べ立てる」時

 
      最新投稿情報
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(K0871) 「自分が死んでいく姿を見せたい」(樹木希林) <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/09/k0871.html
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「自分で自分の欠点を並べ立てる」。それが良くないということははっきりしている。しかし、「自分で自分の欠点を並べ立てるな」と説教することが良いか悪いかは別の次元の話だ。良い薬にも猛毒にもなる言葉だ
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 Facebook友だちの投稿(9/17)で引用され文です。

 なんだか批判じみたことを書くので、お名前を伏せておきます。その人独自の考えではなく、引用されたものを引用するので、特に問題はないかと思います。
 
 出だしの部分を引用します。弟子を𠮟責している孔子の言葉だそうです。
===== 引用はじめ
 お前は、自分で自分の欠点を並べたてて、自分の気休めにするつもりか。そんなことをする隙があったら、なぜもっと苦しんでみないのじゃ。お前は、本来自分にその力がないということを弁解がましくいっているが、ほんとうに力があるかないかは、努力してみた上でなければわかるものではない。 …
===== 引用おわり
(下村湖人『論語物語』「自らを限る者」)

この後厳しい言葉が延々と続きます。更に詳しく知りたい方は、
http://tamehiro.hatenablog.com/entry/20060927/p1
 

 書いてあることは正しいと思います。でも、私は、言われている人のことを思い浮かべ、とても辛くなりました。その人は、難しい課題に取り組み、全然うまくいかず、それでも頑張ったけれどうまくいかず、「もうどうしていいか分からない」とひどく落ち込んでしまった人です。

 ちょうど今再放送されている「おしん」なら、「産まれた子どもが死産だったと聞かされてから、おしん(田中裕子)はものを言わない女になってしまった」状態です(第143話)。
https://www4.nhk.or.jp/P2469/3/

 この人にこの言葉を投げかけるのは、生き地獄に突き落とすようなものです。
 

 図で整理してみました。

 人はひどく落ち込んでも、徐々に回復していきます。その過程をA、B、C、Dに分けてみました。
 Aは、「自分で自分の欠点を並べ立てる」ことすらできない、落ち込んだ状態です。思考力はありません。Dは、だいぶ元気が出てきて、前向きに生きて行こうとしている状態です。この二つの段階では、「自分で自分の欠点を並べたてる」ことはないと思います。言うとしたら、BかCかの段階です。
 
 前期のBでは未だ傷が深い状態です。動物は、傷を負うと舐めるといいます。
「傷はなめると治る」は本当だった! 唾液の成分に細胞組織再生のパワー
https://www.j-cast.com/2017/08/16305524.html
 「自分で自分の欠点を並べ立てる」は、「傷なめ」言葉として作用していると思います。
 
 しかし、同時に副作用もあります。自分を低める、自尊心を自ら壊していく言葉で、回復を妨げます。後期Cの段階になっても「自分で自分の欠点を並べ立てる」のは良くない習慣です。切り捨てていくべきものを、惰性でいつまでも引きずっている。「それではだめだよ」と厳しく指導したのが、孔子のことばだと思います。CからDに進むことを促しています。
 
 良い薬にも猛毒にもなる言葉だと思います。BなのかCなのか正しく見極めるのは難しく、誤判断するリスクはなくせません。言われたときのその人の気分にもよりますし、言った人と言われた人との信頼関係の深さも影響すると思います。

 この言葉を人に投げかける勇気は、私にはなかなかありません。



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