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2021年11月6日土曜日

(2509) 衆院選結果について[B] 比例代表で激減した立民。その理由

 【 衆院選挙結果 ・ 比例代表 】 自民も立民も当選者を減らしたが、自民は選挙区が減り、比例代表が増えた。立民は選挙区が増え、比例代表が減った。減った理由は、三つ考えられる。候補一本化の手を打たなかったら、悲惨になっただろう


 

【今回-公示前】

      合計  選挙区 比例代表

==================

自 民  -15  -21    6

立 民  -14    9  -23

維 新   30   13   17

 

 公示前から今回での増減。合計で維新は31増。減ったのが、自民15減、立民14減。自民と立民はともに減っているが、減り方が全く異なる。

 立民は選挙区で9増。衆院戦敗北の責任をとって枝野代表は辞任したが、この部分は狙い通り、大成功している。枝野なくしてこの快挙は不可能だっただろう。

 ところが、普通なら、選挙区で立民候補に投票したなら、比例代表も立民に投票しそうだが、そうはならなかった。比例代表は、23減と惨敗、選挙区で増やした9人の倍以上を失った。一つは、選挙区戦で協力してくれた共産は、比例代表では当然、立民ではなく、共産に投票する。共産以外の協力党した党も同じ。つまり、共闘は、立民の比例代表増には全く寄与しなかった。

 もう一つは、選挙区で減らした自民党が、何故か比例代表では増やしている。つまり、選挙区では立民候補に投票しながら、比例代表では自民に投票した人も少なからずいるのではないか。それは何故か、

 立民が共産と共闘という劇薬を飲んだ、その副作用だろう。副作用があることは予想していただろうが、これほど効くとは考えていなかったのではないか。連合の芳野友子会長は記者会見で、立民と共産との野党共闘について「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と批判した。連合は、党としての立民党を支持できなくなった。ここで、多くの票を失った。

 トータルとして不振の結末になった。しかし、枝野代表が共闘という手を打っていなかったら、もっと悲惨な結果になっていたのではないかと私は思う。

 立民の比例代表が激減した理由がもう一つあるが、後に書く。

 自民は、選挙区で15人と激減、ここは完全な敗北。比例代表が増えたので、傷は浅くなった。自民党の党首選で盛り上がったこと、コロナが下火になったこともあろうが、敵失(立民が共産と組んだ)による影響が大きく、実力ではなかっただろう。選挙区の成績が実力。危機的状態は続いている。

 

 

【公示前-前回】

      合計  選挙区 比例代表

==================

自 民  -10  -10    0

立 民   55   30   25

維 新    0    0    0

国 民    8    6    2

無所属   -9  -13    4

希 望  -50  -18  -32

 

 前回と公示前とでは、様変わりしている。というのは、前回選挙の時の希望の党50人が公示前にはいなくなっている。どこに行ったのか?

 大部分が立民に、一部が国民に流れたのだろう。前回選挙55人だった立民は、公示前には110人と、ちょうど倍に膨れ上がっていた。

 55人増の内訳は、無所属からの転籍と、補欠選挙で自民から奪い取ったものもあるが、大部分は希望からの転籍だろう。

 希望の前回の比例代表選出の32人は、希望の党への投票で選ばれ、その後、議員として多くは立民に移籍した。この希望の党に託した32人分の比例代表票が、今回の選挙で立民に向かうとは、とうてい考えられない。つまり、前回、希望の比例代表に託された票は、公示前には立民にあったが、今回の選挙では、その大部分を立民が失っていたのではないか。

 

 まとめると、立民の比例代表が激減したのには、三つの理由が考えられる。

(1)     野党統一候補の擁立は、選挙区では効果を発揮したが、比例代表ではなかった

(2)     共産党と共闘するという劇薬の副作用が厳しかった

(3)     希望の党から引き継いだ比例代表の票は、今回はその大部分を失った

 

 書いているのは、選挙結果が出てからの今だから、結果論に過ぎないよう見えるが、プロならば、選挙前にこれらの要素を予想することは、十分できたはずだ。

 出口調査の精度には、限界がある。それは、以上のような考察で補正できたはずだ。マスコミの事前予想が外れたのは、「プロフェッショナルのないマスコミ」が、安易に出口調査に頼ったからではないか。

 

 報道は、選挙区を追いかけていた。それだけではなく、比例代表を分析すべきだったと思う。



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