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2016年6月9日木曜日

(533) 他人の手にゆだねる力


===== 引用はじめ

 在宅ひとり死を支える実践をしている武蔵野市の「ナースステーションたんぽぽ」の訪問看護師丹内まゆみさんは、在宅死に必要な条件は「本人の強い意思」以上に、ご本人の「自己解放」だと仰っています。


 え?と思いましたが、別な言葉で言い換えれば、ある時点で自分を他人に明け渡して他人の手にゆだねる力のこと。これのあるひととないひととでは、お世話するほうのやりやすさが格段にちがうとのこと。

 なるほどね、と現場の実践知に感心しました。

 
 何から何まで思いどおりにしたい、他人の世話になりたくない、とかたくなに「自立」を求めるよりも、無力な自分を受け容れて他人にゆだねる、それも能力のひとつです。それを「解放」と呼ぶのは、それまでの生き方のこだわりやしがらみからの解き放ちだから。死ぬときは無力の極み。それを受け容れましょう、という知恵です。

===== 引用おわり
上野千鶴子、「おひとりさまの最期」、朝日新聞出版(2015)

 
 介護されている人を見ていて、「介護され上手と、介護され下手とがある」と私は思っている。現場に出ている人に確かめたところ、この考えに同意してくれる人が多い。

 
「介護され上手」な人は、「介護する人が気持ちよく、介護しやすいように」行動する。すると、受ける介護の質が一段と向上する。

 今は「介護され下手」であっても、引用にあった「自己解放」すなわち「(自分を他人に明け渡して)他人の手にゆだねる力」により「介護され上手」になりえる。

 この力は、座学ではなく現場で身につけることができる。もっともわかりやすいのは、自らが介護する側に立って、介護される側をみることである。

  
 身障者は、多くの経験を積みながら、この「他人にゆだねる力」を身につけ、生きていくために適応していくという。加齢のため急に「身障者」になった高齢者は、この「他人にゆだねる力」を身につけていないことが多い。

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