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2017年1月25日水曜日

(763) 拡大家族(2)


 世帯の統計について(458)で触れたが、再度取り上げる。

 1968年~2016年の種類別世帯数推移を図示する。

 


「単独世帯」「核家族総数」「三世代世帯」「その他の世帯」に分類されている。

「単独世帯」は「単身世帯」「シングル世帯」「独り身世帯」を意味する。つまり世帯構成員が世帯主本人だけ、独りだけの世帯である。

「核家族」とは「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「片方の親+未婚の子供」からなる世帯を意味する。要は3世代世帯ではない、核のみの世帯となる(「単独世帯」は含まれないことに注意)

 学校の寮・寄宿舎の学生・生徒、病院・療養所などの入院者、社会施設の入所者、自衛隊の宿営内・船舶内の居住者、矯正施設の入所者からなる世帯を「施設等の世帯」という。また、兄弟姉妹だけの世帯なども「その他の世帯」に当たる。

 

 図の傾向を単純に読むと、「三世代所帯」が減り、「単独世帯」と「核家族総数」とが増えている。その背景のうち最も大きいのは、「長男を含め子どもたちは皆、親の世帯から離れていく」ということだろう。このことは、深刻な時系列的な影響に繋がっていく。

 
 「三世代世帯」は、再生し、生き続ける。祖父母が死んでも孫が生まれる。父母が祖父母となり孫が父母となり子を産む。長男が後を継ぐなら、次男・三男が新たな「三世代世帯」をつくり、それも再生し、生き続ける。子がなく途絶える「三世代世帯」もあろうが、それをカバーする。「お家安泰」である。

 「長男を含め子どもたちは皆親の世帯から離れていく」と、「三世代世帯」がなくなり、「核家族」になる。前回(762)で述べた「定位家族」(その人が生まれ育った家の家族)と「生殖家族」(その人が結婚して新たに作った家族)との二種類ある。「定位家族」は、子が結婚していなくなり、親が一人、一人と死んでいき、消滅する。「生殖家族」は、2人からスタートし、子を産み人数が増えるが、やがて子らは結婚して去り、夫婦が残り、それも一人、一人と死んでいき、消滅する。つまり、「核家族」は、結婚で始まり「2人→3人以上→2人→1人」の変遷を経て消滅するのが一般的なパターンである。このことは、二つの深刻な問題を派生する。


 一つ目は、継承がうまくできなくなるということである。親の世代から子の世代へと継承していくには時間がかかる。「三世代所帯」なら親・子・孫が身近にいながら、継承することができる。その過程で良きものは引きつがれ、時代に合わなくなったものは修正されていく。一方「核家族」では、結婚を機に子(及び孫)は親世代から離れるので、それ以降の継承が難しい。

 
 二つ目は、人数が減ることによる、家族の弱体化である。「人は一人では生きていけない」と言われている。また、2人でも「弱者」をかかえると苦しくなる。「シングルマザー(シングルファザー)と子」「老夫婦」の家族は厳しい。健康だった2人でも、一方が病気になったり事故にあったりすると、一気に「弱者を抱える家族」になってしまう。「養育」「介護」「危機」が重くのしかかる。

かつて「三世代世帯」は自助により自らを支えるばかりでなく、社会も支えてきた。しかし「核家族」の社会を支える力は弱く、自助もままならなくなると社会に支えられる存在になる。つまり、家族の弱体化は、それにとどまらず、社会の弱体化に帰結する。弱体化した社会は、「支えを必要とする家族」を支えきれなくなる。

 

 とはいえ、「三世代家族」→「核家族」の流れは止めようもなく、「永遠の命をもつ」「三世代世帯」は減っていき、「生死を繰り返す」「核家族」が増えていく。継承が少なくなり、家族のみならず社会も弱体化していく。

 

 現状を座視していて良いのだろうか。前回提案した「拡大家族」に、いくつかのヒントがあるのではないかと思っている。
 

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