「黄金期」というものを考えてみた。
例えば、男でいうと、61歳から71歳の10年間。
ただし、健康や、経済的や、家庭的な問題を抱えていると、
それに応じて、制限がかかってしまう。
専業主婦でいうと、子離れした後。 男より長そうだが、
介護する立場になる可能性が男より高い分、制限がかかる。
定年後夫が家に居つくので、
妻の「黄金期」がそこで終わってしまうこともあるかも知れない。
夫を見送ってからという説もあるが、ケースによるだろう。
順調なケースでは、
社会的・家庭的しばりが減って、
精神的・時間的に余裕ができ、
体力・気力はまだ衰えていないので、
好きなことを楽しめるチャンスである。
ところで、健康、経済、家族関係などで引退まで順調に来た人は、
誰もが「黄金期」を迎えられそうに思えるが、
実は、「黄金期」を満喫できていない人が多いように感じている。
どうすれば「黄金期」を満喫できるか、
というのが、これから書くことの主題である。
さて、「男の61歳から71歳の10年間」に戻る。
71歳は、日本男性の健康寿命である。健康寿命は、「介護が必要だったり、日常生活に支障が出る病気にかかったりする期間を除き、自立して過ごせる期間」を示す。
あくまで、平均値での議論である。
61歳は、引退の時期を想定した。今のところ、日本の会社は60歳定年が多く、でも雇用延長もある。「10年」というキリの良さにも魅力で、61歳からとした。
引退とは、「役職や地位から身を退くこと」(デジタル大辞泉)である。私は「与えられた責務からの解放」と読み解く(ここは、色々な意見があろう)。
組み合わせると、「黄金期」とは「与えられた責務から解放されて、かつ、自立して過ごせる期間」ということになる。
経済的にある程度余裕があり、それなりの健康に恵まれた人にとっては、「黄金期」は人生の中で最も幸せになりえる、特殊な期間であるが、にもかかわらず該当する人でも、多くの人が「黄金期」の恩恵にあずかっていないのではないかと残念に思っている。
「人それぞれの生き方がある、余計なお世話だ!」と言われれば、実にその通りであり、引き下がらざるを得ない。
それぞも「黄金期」とあえて声をあげる。(「黄金期」の意味を知りつつも、さらに魅力的な生き方をしている人は結構なことであるが、)「黄金期」の意味を知らないままにチャンスを逃している人が非常に多いと思っている。先ずは「黄金期」の意義を知ってほしい。知った上で別の生き方をするのは、結構なことである。何も言うことはない。
一世代前より、「黄金期」は、長くなっている。
私の「黄金期」は10年間で、父の黄金期は5年間と計算された。つまり、私は父の倍の「黄金期」の時間をいただいている。
(実際には、私の父は私の学費を賄うため定年を過ぎても働いていたので始まる時期は遅れた。一方、健康とは言えないが、好きな畑仕事はできたので、終わる時期も遅れた。 ここでは、一般論で計算している)
以下、計算根拠。興味のある方は、読み進めてください。
私の父は、明治45年(1912年)生まれで、サラリーマンで、定年は55歳で、その時は昭和42年(1967年)で、その時点での日本男性の平均寿命は69歳だった。差は、14年だった。
私は、昭和26年(1951年)生まれで、サラリーマンで、定年は60歳で、その時は平成23年(2011年)で、その時点での日本男性の平均寿命は79歳だった。差は、19年だった(平均余命としては、23年)。
平成22年のデータによれば、日本男性の平均寿命は79歳、健康寿命は70歳、その差は9年であった。
黄金期=(定年時平均寿命-定年時年齢)-(平均寿命と健康寿命の差)
と定義し、(平均寿命と健康寿命の差)は、9年とする。
父の黄金期=(69-55)-9=5年
私の黄金期=(79-60)-9=10年