前回からの続き。
中村元博士が、その86年の人生を学問一筋に打ち込み、東西の思想の蘊奥を極め尽くして、最後に到達されたもの、それは「慈しみのこころ」でした。… 博士は、墓地(東京都:多摩墓地)に「ブッダのことば」と題した石碑を立て、後世に残しました。このことばは、原始仏教聖典の一つである『スッタニパータ』(ブッダのことば)から博士が訳したもので、洛子夫人ご自身が清書され、それを墓碑に刻んだものです。
http://www.toho.or.jp/archive.php 写真も、ここから。
===== 引用 はじめ
ブッダのことば
「慈しみ」
一切の生きとし生けるものは
幸福であれ 安穏であれ 安楽であれ
一切の生きとし生けるものは幸であれ
何ぴとも他人を欺いてはならない
たといどこにあっても
他人を軽んじてはならない
互いに他人に苦痛を与える
ことを望んではならない
この慈しみの心づかいを
しっかりと たもて
===== 引用 おわり
神秘的、神的、絶対信仰がないと理解できないような言葉ではない。普通の人間として、ブッダの教えに触れ、生き方を学べる言葉になっている。
世界平和が達成される前に、必ず思想的対立にぶつかる。いかに対立を乗り越えるか。「あらゆる生きとし生けるものは幸せであれ」という『慈しみ』の心がキーワードになる。
仏教は、ドグマ(宗教・宗派における教義)に囚われることなく、悟り、真理に目覚めることを大切にする。慈しみに目覚めるのである。
宗教的対立を乗り越えようとするとき、仏教に役割がある。思想的な可能性がある。
===== 引用 はじめ
暴力や武力によってではなく
説得のみによって
広がった宗教は
仏教だけである
===== 引用 おわり
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