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2017年6月26日月曜日

(915) 大学受験 / 子供・若者の文化と教育(9)


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(K0057)  催し物情報(3) <催し物紹介>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/06/k0057-3.html
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 若者にとっての大学受験は、これまでどのような意味をもってきたのか、また高等教育が大衆化(マス化)・ユニバーサル化した現在において、それはどのように変わりつつあるのかを、現在の大学入試がもつ問題を含めて考察する。
 

【目次】 第9章 大学受験

1.   大学受験が重要な意味をもつ社会と、そうでない社会
(1)  「庇護移動」社会、「競争移動」社会、学歴社会
(2)  「タテの学歴社会」vs「ヨコの学歴社会」(学校歴社会)、「資格試験」vs「競争試験」

2.   高等教育の発展段階と大学入試
(1)  高等教育の発展段階
(2)  日本における高等教育の発展段階

3.   マス高等教育段階と大学入試
(1)  「エリート選抜」と「マス選抜」
(2)  共通1次学力試験制度
(3)  推薦入学制度の公認
(4)  特別選抜の増加

4.   大学入試教科目の変遷
(1)  1980年代以前
(2)  1990年代以降
(3)  学部教育の位置づけの変化と「マス選抜」への転換

5.   だれもが大学に進学する時代の受験
(1)  日本における大学入試・受験の転換
(2)  大学入試倍率と平均出願校数

6.   大学ユニバーサル化時代の大学のあり方と入試

 

<各論>

1.   大学受験が重要な意味をもつ社会と、そうでない社会

(1)  「庇護移動」社会、「競争移動」社会、学歴社会
ラルフ・ターナーによれば、

   「庇護移動」社会
 早い段階で一旦エリートとして選ばれた人は、その後の人生において、さまざまな「庇護」を受けて、エリートの地位を確保していく

   「競争移動」社会
 エリートとしての地位・身分を確保するためには、まず良い大学を卒業しなければならないが、その後も常に競争に勝ち残っていかなければならない。

それに対して、日本は

   「学歴」社会だと信じられてきた
 18歳あるいは、その後、数年以内の時期に、どこの大学に入学したかで、その後の地位、つまり一生が決まるような社会だと、みなされてきた。

 
(2)  「タテの学歴社会」vs「ヨコの学歴社会」(学校歴社会)、「資格試験」vs「競争試験」

学歴社会には二つの種類がある。

   「タテの学歴社会」
 初等・中等・高等教育の、どの段階の学歴をもっているかが大きな意味をもつ

   「ヨコの学歴社会」(学校歴社会)
 同じ大学のなかでも、どこの大学を卒業したかが重要な意味を持つ

入試制度には、二つの種類がある

   「資格試験」
 資格を取得すれば、基本的には無条件で好きな大学・学部・学科に入学できる

   「競争試験」
 入学に際して各大学ごとに予め定員が定められており、その定員に入るために、他の受験生と試験で競争しなければならない。

 日本は、「ヨコの学歴社会」「競争試験」だったため、大学受験競争は先鋭化・過熱化し、また、受験競争が低年齢化した。

 
2.   高等教育の発展段階と大学入試

マーチン・トウロによれば、

   「エリート段階」。高等教育進学率15%に達していない。
 高等教育進学がごく少数者にのみ許された特権に留まっている段階

   「マス段階」。高等教育進学率15%50%
 高等教育進学が多くの人にとって権利とみなされる段階

   「ユニバーサル段階」。高等教育進学率50%を超えた。
 誰もが進学する状態のもとで、高等教育進学が万人の義務に近くなる

日本は現在、「ユニバーサル段階」にある → 図参照

 
3.   マス高等教育段階と大学入試

(1)  「エリート選抜」と「マス選抜」

中村高康によれば、

   「エリート選抜」
 「エリート段階」では、公平性の原理重視のもとで、入学試験の成績などの能力主義的基準を基礎においた入学者選抜が主流を占める

   「マス選抜」
 知的能力とは関係ない選抜基準をもとに、必ずしもエリートとは呼べない大衆を高等教育に呼び込むために行われる入学選抜方式


(2)  共通1次学力試験制度
 共通1次試験による改革はその意図に反して大学入試を再び強固な学力選抜の世界へ引き戻す役割を果たし、「マス選択に向けての入試改革」としては失敗に終わった。

 
(3)  推薦入学制度の公認
 知的能力とは関係ない、すなわちエリート的・能力主義的とはいえない選抜基準が入り込んできた。その一つの典型例が推薦入学制度だ。

 
(4)  特別選抜の増加
 2000年に入ると、AO(アドミッション・オフィス)入試が浸透・普及した。高校時代に行った、ボランティア活動や生徒活動などの実績を中心に評価する入試である。さらに、学芸やスポーツなど何か一芸に秀でている、といった実績が評価されるのが「一芸入試」である。自己推薦入試の別法としても位置付けられた。

 
4.   大学入試教科目の変遷

 入試科目の削減傾向は顕著である。
 

5.   だれもが大学に進学する時代の受験

(1)  日本における大学入試・受験の転換
 日本が「マス段階」を経由して「ユニバーサル段階」に移行するのに伴い、「入試の多様化」が進んだ。背景として、志願者確保が切実な現実問題と意識され始めたことがある

(2)  大学入試倍率と平均出願校数
 入学倍率と平均出願校数のどちらからみても、1990年代を転機として、大学入学が容易になり、だれもが大学に進学できる時代になってきたことは明らかである。

 
6.   大学ユニバーサル化時代の大学のあり方と入試

 「分数・小数のできない大学生」などに代表される学力低下問題。
 近年の入試改革の方向性に揺れがみられる。
 性別・学力・親の経済状況の組み合わせによって、大学の進学機会に大きな格差が存在する。

 

引用
岩田弘三「第9章 大学受験」
竹内清・岩田弘三編、子供・若者の文化と教育、放送大学教材(2011)
9-1 高校及び高等教育への進学率の推移


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