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2022年1月16日日曜日

(2537) 金子みすゞ詩集(2-2) / 100分de名著

 【 読書 ・ 100de名著 】5つの詩を紹介します。「轍と子供」「さよなら」「蜂と神様」「もういいの」「紋附き」。みすゞが敬愛した詩人・西條八十の「視点を逆転して、想像を飛躍させる」手法をみすゞはさらに発展させ、傑作を生み出します


第2回  17日放送/ 19日再放送

  タイトル: 視点の逆転、想像の飛躍 - 投稿詩人の誕生

 

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50

再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55

 及び        午後 00:00~00:25

 

5つの詩を紹介します

 

(1) 轍と子供

(2) さよなら

(3) 蜂と神様

(4) もういいの

(5) 紋附き

 

 

【展開】

(1) 轍(わだち)と子供

 「轍は轢(ひ)くよ、すみれの花を、石を轢くように。 田舎のみちで。

  子供はひろう、小さな石を、花を摘むように。 都のまちで。」

 

 すみれの花(芸術、美の象徴)というものに対する田舎と都市の対比がさりげなく、しかし明確に描かれています。第一連で二度、くり返される「轢く」という言葉の残酷な強さが印象的な作品です.

 

 

(2) さよなら

 「降りる子は海に、乗る子は山に。  …  きょうの私に さよならしましょ。」

 全文は例えば、

https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/33409.html

 

 降りる子は海に「さよならする」と補って読みます。一連ずつに視点の逆転があり、時間の推移も描いた秀作です。こういう着想はなかなか出てくるものではありません.

 

 

(3) 蜂と神様

 「蜂はお花の中に、  …  ちいちゃな蜂の中に」

 全文は例えば、

https://yugemusic.com/bees-gods-misuzu/

 

 読み手の視点と意識は、蜂から花へ、庭へ、土塀へ、町へ、日本へ、世界へ、そのすべてを創った神へ広がり、最後にまた小さな蜂の体内へ収斂します。詩の技巧をこえて、みすヾの世界観、壮大な宇宙観は、ある種、宗教的な荘厳すら感じさせます。

 

 

(4) もういいの

 「――もういいの。――まあだだよ。  …  夏と、春と。」

 全文は例えば、

https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/29553.html

 

 ここには三つのかくれん坊が描かれます。第一連は、現実の目に見える世界です。第二連は、まさに童謡らしいファンタジーの世界です。第三連では、壮大な世界へ、視界が広がります。

 

 

(5) 紋附き

 「しずかな、秋のくれがたが  …  きれいな紋つき、着てました。」

 全文は例えば、

https://ameblo.jp/moriisamu-misuzu/entry-11934172860.html

 

下関から望む関門海峡の日暮れの景色。暮れていく空と山、残照にきらめく海の夕景を、優雅な紋附きのきものをまとつた花嫁にみたてた、清楚にして華やかな一篇です。美しい装束や婚礼に惹かれる年ごろの娘らしい詩とも言えましょう。

 

 

<出典>

松本侑子(2022/1)、金子みすゞ詩集、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



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