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(K1236) つながり会員制度 <仕上期>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/09/k1236.html
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デフォーはロンドンを新しい「帝国」の中心として考える視点を持っていました。ゆえに、市民と行政の双方の視点からベスト流行を見ることができた。これが『ベストの記憶』
に記録文学としての奥行きを与えています
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第3回 21日放送/ 23日再放送
タイトル: 管理会社 vs 市民の自由
【テキストの項目】
(1) 感染防止に向けた条例の制定
(2) 催しと宴会の禁止
(3) 行政府の奮闘が市民の不安を取り除く
(4) 効率の裏にある市民の苦しみ
(5) 行政への不信感
(6) 過去の教訓が生かされない現実
(7) 家屋封鎖の明と暗
(8) 「さすらい三人衆」の物語
(9) 権力による生の管理
(10) コロナ時代の生政治の行方
【展開】
(1) 感染防止に向けた条例の制定
今回は、ペスト流行に際して行政がとった対応を取り上げます。
『ペストの記憶』の特徴は、物事の両面を描いているために、語り手の言うことがしばしば矛盾して見えることです。ですから行政の対応についても、良い面と悪い面の双方が描かれています。
ますは良い面に注目してみましよう。シティーを治める市長と区長たちは、ペストの感染拡大を防ぐために新たな条例を作成しました。
この条例では、感染防止のために特別に任命される職員とその役割、感染者を出した家屋に関する決まり、街路を清潔に保つための決まりなどが詳細に定められています。
(2) 催しと宴会の禁止
私たちにもとりわけ身近に感じられる条例として、「節度のない者たちと無駄な集会に関する条例」を紹介することにします。「芝居」「宴会の禁止」「店での飲食」。これらの条文は、いわゆる「3密」を避けるために出された要請を思い出させます。
ちなみに語り手は、こうした条例が制定されたおかげで、シティーの死者数はロンドンの他の地域に比べてずっと少なく、シティーは「疫病のあいだずっと、他の地域と比較すれば健康なまま保たれていた」と述べています。
なお、この条例で定められた感染対策の職員、およびシティーの行政組織については、図にまとめましたのでご参照ください。
(3) 行政府の奮闘が市民の不安を取り除く
ペストの発生以降、王侯貴族や金持ちがいち早く脱出するなかで、シティーの行政府の職員たちはロンドンに留まり、その職責を全うしました。
市長と補佐官はみずから路上に出て、身の安全を確保したうえで、危険な地域を視察したり、市民からの陳情に積極的に応えたりしました。
行政がとった対応のなかでもH・Fが繰り返し賞賛しているのは、食料不足を回避するための施策と、遺体処理に関する方策です。
市の内外を問わず、あらゆる階級の思いやりにあふれる人たちから驚くほど多額の義援金が寄付されました。市長と補佐官はこれを適切に配分し、ロンドンの貧民たちに借しみなく給付しています。
(4) 効率の裏にある市民の苦しみ
貧しい人に監視人の仕事をあてがう。これは、無策よりははるかにいい対応かもしれません。生活のためにお金を必要とする人と、人手が必要な職場とのマッチングは、極限状況においては適切で能率的な施策と言えます。しかし見方を変えれば、厄介な仕事を貧民に押し付けている側面がある。能率的であることの裏には、貧富の格差の問題が隠れているのです。
(5) 行政への不信感
ペスト流行後には適切な対処を見せたシティーの行政府ですが、事前の備えは極めてお粗末だったと語り手は非難しています。
行政府は、非常時に守るべき規則を事前に一切定めておらず、貧民を養う食糧を蓄えるための公共の倉庫も持っていませんでした。
医療体制も万全ではありませんでした。患者を受け容れるペスト療養所は、ロンドン全体で二軒のみ。
さらに、市民のあいだで湧き上がったのが、行政が公表するデータへの不信感です。
以下は、後に書きます。
(6) 過去の教訓が生かされない現実
(7) 家屋封鎖の明と暗
(8) 「さすらい三人衆」の物語
(9) 権力による生の管理
(10) コロナ時代の生政治の行方
<出典>
武田将明(2020/9)、デフォー『ペストの記憶』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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