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2019年5月2日木曜日

(1591) 『平家物語』(1-1) / 100分de名著

 
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第1回  6日放送/ 8日再放送

  タイトル: 光と闇の物語
 


【テキストの項目】

(1)  『平家物語』全体のあらすじ
(2)   祇園精舎の鐘の声
(3)   平家上昇のきっかけ――殿上の闇討
(4)   光の貴族、闇の武士
(5)   武士は直感で考える

(6)   平家悪行のはじめ
(7)   重盛が追求した組織の持続可能性
(8)   中心軸としての機能を得た平家
(9)   清盛と重盛の対比――鹿ケ谷の陰謀
(10)『平家物語』を聴く武士たちへの教訓
 

【展開】

(1)  『平家物語』全体のあらすじ

 『平家物語』は、平安末期に起こった、平家と源氏の騒乱を描く長大な軍記物語――というのが一般的な理解でしょう。しかし、実際に読んでみると源氏が本格的に登場するのは物語の後半ですから、全体として見ると、平家の衰退を描く物語と捉えた方が正確だと思います。
 

(2)   祇園精舎の鐘の声

 有名な冒頭ですが、「おごれる人も久しからず」と、キーワードが早々登場します。「驕り」に似ているものに「誇り」があります。ともに「自分が優れていると思う気持ちを外に出すこと」を言いますが、「驕り」はさらに一歩進んで、それを「当然だと思う」ことを言います。「驕り」は、権力を持った者が没落していく、あるいは、組織が崩壊していくときのきっかけとなるものです。
 

(3)   平家上昇のきっかけ――殿上の闇討

 財力により昇殿を許された忠盛をねたんだ貴族たちは闇討ちを計画したが、忠盛の知るところになります。忠盛は参内のときに抜刀し自らの鬢の毛に引きあてます。貴族はその迫力に押され、闇討ちは取りやめになりました。忠盛は刀を女官に託し、帰ってしまいます。
 宮中は刃物持ち込みであるにも関わらず持ち込み抜刀したと、貴族たちは上奏します。しかし残されていたのは、木刀に銀箔を貼ったものでした。
 鳥羽上皇は、その心がけは感心だと忠盛を褒めました。
 

(4)   光の貴族、闇の武士

 光に生きる貴族と、闇を支配する武士。これは、『平家物語』全体を規定する重要な枠組みです。
 光の貴族とは、戦いとは公明正大であるべきであり、実際に光の中で行われなければならないと思っている人たちです。彼らは和漢の言葉遣いもたくみに、表舞台で政治を行います。
 対して闇の武士とは、戦いにおいては公明正大であることよりも勝つことが重要であると考え、実際の闇も利用して戦う人たちです。彼らは言葉よりも行動。常に自然とともにあり、それを利用する術を知り尽くしています。
 

(5)   武士は直感で考える

 武士は用意の「意」を用います。漢字の形から言えば、「意」は神の声(音)を憶度する(推しはかる)という行為です。現代的な言葉で言うと、「意」は「直観」に近いものです。
 闇討ち計画を察した忠盛は、「兼ねて用意をいたす」と対策を準備しました。「用意」とは「意を用いる」こと、すなわち深い心づかいで未来を予見して計画を立てることです。
 
 
 以下は、後日、書きます。
 
(6)   平家悪行のはじめ
(7)   重盛が追求した組織の持続可能性
(8)   中心軸としての機能を得た平家
(9)   清盛と重盛の対比――鹿ケ谷の陰謀
(10)『平家物語』を聴く武士たちへの教訓
 

<出典>
安田登(2019/5)、『平家物語』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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