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2018年11月16日金曜日

(1424)  (35) 小泉八雲『怪談』 / 「明治の50冊」

 
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(K0565)  認知症 仲間で支え合い <脳の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/11/k0565.html
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1.   収録された作品

2.   読み継がれるきっかけを作った

3.   原典とは大きく異なっている
3.1.  「むじな」
3.2.  「雪女」

4.   文学としての『怪談』

5.   後世に果たす役割
 


【展開】
 
1.   収録された作品

===== 引用はじめ
 「耳なし芳一」「ろくろ首」「むじな(のっぺらぼう)」「雪女」…。
 1904(同37)年、八雲存命中に刊行された最後の作品『怪談(KWAIDAN)』には、冒頭の作品をはじめ「おしどり」「食人鬼」「青柳物語」「安芸之介の夢」など怪奇、幻想的な17編ほかを収録。
===== 引用おわり
 

2.   読み継がれるきっかけを作った

===== 引用はじめ
 いずれも怪談として日本人になじみ深い作品だろう。もとは古典、民話、伝承にあったこれらの話に文学としての魂を吹き込み、読み継がれるきっかけを作ったのは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談』だ。
===== 引用おわり
 

3.   原典とは大きく異なっている

3.1.  「むじな」
===== 引用はじめ
 その多くに原典があり、…、寂しい夜道で商人が顔に目や鼻や口がない“のっぺらぼう”に迫られる「むじな」は明治の怪談集『百物語』…。
 ただ、再話作品は原典とは大きく異なっている。のっぺらぼうはもとは顔が異常に長い化物で、舞台、せりふ、結末も変えられ、滑稽さ漂う原典に対し心理的恐怖感が高まっている。
===== 引用おわり
 
3.2.  「雪女」
===== 引用はじめ
 もとは伝承といわれる「雪女」は、かつて雪女に遭遇し、「口外しない」条件で命を助けられた男がやがて結ばれた美しい娘に雪女の話をすると、あれは自分だと正体を現し-という話。
 「伝承ではただ白く、人を怖がらせるだけの雪女だが、作品では美と破滅が表裏一体、美しいけど恐ろしい(19世紀の文学で流行した)“宿命の女(ファム・ファタル)”として描いている」と牧野さん(*)は人物造形の魅力を語る。
===== 引用おわり
(*) 『〈時〉をつなぐ言葉 ラフカディオ・ハーンの再話文学』(新曜社)の著書もある成城大学教授の牧野陽子さん


4.   文学としての『怪談』

===== 引用はじめ
 どの作品も平易な言葉遣い、無駄な修飾語を一切省いた文章で数ページと短い。それでいて前世や死者、因果、人々の深層心理などへの問いがあり、読んだ後考え込む。そんな奥の深さがあるからこそ文学になった。
===== 引用おわり


5.   後世に果たす役割

===== 引用はじめ
 小泉さん(*) は現代、そして後世に果たす『怪談』の役割をこう語った。
 「怪談の真理に耳を傾け、美しい芸術作品にした八雲の再話文学の最高傑作。『怪談』を通して、自然への畏怖の念を思い起こし、人間中心の世界を見直すきっかけになれば、八雲も大いに喜ぶに違いない」
===== 引用おわり
(*) 八雲のひ孫で小泉八雲記念館(松江市)館長の小泉凡(ぼん)さん
 


【プロフィル】小泉八雲(こいずみ・やくも)
 1850年、ギリシャに生まれ、イギリスで育つ。新聞記者などを経て、90年、来日。英語、英文学教師として松江、熊本の中学、東京帝国大、早稲田大で教鞭(きょうべん)をとる。松江で小泉セツと結婚後帰化し、小泉八雲に。1904年死去。他の作品に『知られぬ日本の面影』など。
 


<引用>
小泉八雲『怪談』 魂込めた再話文学の傑作
【明治の50冊】(34) 産経新聞(2018/11/05)
 
小泉八雲『怪談』 魂込めた再話文学の傑作
https://www.sankei.com/life/news/181105/lif1811050013-n1.html

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