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2017年12月18日月曜日

(1090)  老いじたくを支える法制度②-相続と遺言 / 「家族と高齢社会の法」(9) (放送大学)


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目標&ポイント

===== 引用はじめ
 人が死亡したときに、個人が遺した財産(遺産)を受け継ぐことを相続といい、誰がどの様に承継するのかが、憲法第5編相続に規定されている。

… 本章では誰にどのように遺産を受け継いでもらいたいという意向が死後きちんと実現されるように、又生前に相続争いの前哨戦に巻き込まれないように老いじたくのツールとして相続と遺言について学習する。
===== 引用おわり

 

<構成> 第9章 老いじたくを支える法制度②-相続と遺言

1. 超高齢社会と遺産分割事件・遺言の増加

2. 民法第5編相続(相続法)の概要

3. 民法相続人と法定相続分(民法900条~901条)

4. 相続の承認及び放棄(民法915条~940条)

5. 遺産分割(民法906条~914条)

6. 相続人の不存在と特別縁故者(民法951条~959条)

7. 遺言

8. 遺留分(民法1028条~1044条)

9. 変容する家族像と後見制度・相続・遺言の今日的問題
 

  ざっと書いたが、実際の相続や遺言においては、弁護士や司法書士、役所の窓口などで相談してください。以下は、大まかに常識として知っておくという観点でご利用ください。書いた内容で問題が起こっても、免責でお願いします。

 

<各論>

1. 超高齢社会と遺産分割事件・遺言の増加

 略
 

2. 民法第5編相続(相続法)の概要

 相続は、人の死亡により開始し(民法882条)、相続される人(個人)を「被相続人」と呼び、相続する人(財産を承継する人)を「相続人」と呼ぶ

 

3. 民法相続人と法定相続分(民法900条~901条)

(1) 法定相続人とその順位

 例えば、https://souzoku-pro.info/columns/45/ 参照。また、添付図参照
 

(2) 代襲相続

 被相続人の死亡以前に、相続人となるべき子や兄弟姉妹が死亡していた(相続権を失った)とき、その者の直系卑属(子など)がその者に代って、その者の受け取るべき相続分を相続することを代襲相続と言う。
 

(3) 特別受益(民法903条)

 共同相続人のなかに、被相続人から、遺贈(遺言による贈与)を受け、又は婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときの処置
 

(4) 寄与分(民法904条の2

 共同相続人のなかに、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときの処置
 

(5) お墓(祭祀財産の継承)

 お墓(墳墓)は相続財産ではなく、被相続人が継承する者を指定して亡くなればこれに従って継承される。

 

4. 相続の承認及び放棄(民法915条~940条)

 相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内であれば、被相続人の財産(負の財産を含む)を承継するか否かを決めることができる。①単純承認、②限定承認③放棄の3種類あるが、②と③は家庭裁判所への申立が必要となる。
 

5. 遺産分割(民法906条~914条)

 相続人が数人あるときは、相続財産はその数人の共有となり、個々の相続人が何を取得するかは遺産の分割についての話し合い(遺産分割協議)で決める。

 協議が整わないときは、まず家庭裁判所に調整の申立をなし(調停前置主義)、調停で合意できないときは、家庭裁判所の審判で定める。
 

6. 相続人の不存在と特別縁故者(民法951条~959条)

(相続管理人の選出)
 相続人がいることが明らかでないときは、家庭裁判所が利害関係人などの請求によって相続財産管理人を選任する。

(特別縁故者)
 相続管理人の行った手続きでも相続人が現れない場合に限り、清算後に残る相続財産については、「被相続人と生計を同じくしていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」の請求により、家庭裁判所は清算後残った相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 

7. 遺言

(1) 遺言能力(民法961条~963条、973条)

 満15歳に達した者は、遺言をすることができる。被保佐人、非補助人は自己の意思で遺言をすることができるが、成年後見人は制限がある。

 

(2) 遺言の様式性(民法960条)

 民法の定める要件を満たさないものは遺言としての効力を有しない。民法には①自筆証書遺言(民法968条)②公正証書遺言(民法969条)③秘密証書遺言の3種類が規定されている。
 

(3) 障がい者の公正証書遺言(民法9692条)

 遺言者が、口がきけない、耳が聞こえない、目が見えない場合の遺言の作成方法
 

(4) 遺言の効力と遺言執行者

a.  遺言は、遺言者の死亡時からその効力を発生する

b.  贈与(民法9861002条、民法964条)
 包括譲与:相続財産の何割というように、割合で示して遺贈する
 特定贈与:自宅土地・建物、特定の株式等と財産を特定して遺贈する
 負担付きの贈与:例えば、アパートを長男に遺贈するが、賃料の一部を他の相続人に支払う

c.  遺言者は遺言で、遺言執行者を指定して、死後の遺言内容の実現を図ることができる


(5) 遺言取消

 遺言者は、いつでもその遺言の全部または一部を取り消すことができる。

 

8. 遺留分(民法1028条~1044条)

 兄弟姉妹を除く法定相続人は、被相続人の財産の一定の割合を確保できる遺留分権利を有しており、遺留分権により確保される相続財産の割合のことを遺留分という。 … 遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間これを行使しないと時効により請求権が消滅する。
 

9. 変容する家族像と後見制度・相続・遺言の今日的問題

(1) 法定相続人がいない場合

 人間関係が希薄化している中で法定相続人がいないケースでは、死に至るまでの最晩年に資産が散逸してしまったり、ゴミ屋敷化やセルフネグレクト(自己放棄)が問題となっている。
 

(2) 法定相続人がいる場合

 遺言を作成してみても、相続開始までに遺言者の遺産が散逸・霧消すれば、遺言は実現されず、遺言者の遺志は無視されてしまう。成年後見制度を利用した老い支度により、…高齢者の資産の散逸を防ぎ、本人のために利用することが望まれる。


(3) 相続争いの増加と前哨戦

 成年後見制度は高齢者本人のための制度であるが、 … 相続争いの前哨戦の様相を呈することもある。
 

(4) 高齢者の住まい

 遺産分割の必要性(他の法定相続人の相続分を確保するため)から、夫に先立たれた妻(妻に先立たれた夫)が自宅から立ち退かざるを得ない事態が生じている。現行では、遺された配偶者の居住権を確保する方策は遺言の作成となる。

 

出典
布施憲子、「第9章 老いじたくを支える法制度②-相続と遺言」、川島志保・関ふ佐子、「家族と高齢社会の法」、放送大学教材(‘17)


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