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2025年5月12日月曜日

(2649) 関税(自動車産業を念頭) ~ 素人談義 ~ その10

 赤沢氏、一人でよいのだろうか、と疑問に思っている。05/02の写真を見ると、アメリカ側が3人、日本側が1人だった。アメリカで開催しているので、たまたまだったのだろうか。

 

 交渉範囲は、多面にわたる。赤沢「経済再生担当大臣」は多分、適切な肩書なのだろうが、カバーしきれないのではないか。問題は、それだけではない。

 

 「日本の立場」といっても、一つにすっきりまとまっているわけではない。国内でも利害関係があり、複雑だ。それを一人で伝えるには、無理がある。二人おれば二つの立場から、三人おれば三つの立場から発言できる。

 また、交渉過程で、言葉尻をとらえて突っ込まれた時、当の本人では反論しにくく、窮地に追い込まれることもある。その時、もう一人いたら、助け舟を出せる。

 複数対一人では、複数人が絶対有利である。なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。

 

 今回の交渉団代表は、赤沢氏が自ら手を挙げたと聞く。政治家としては、一大カケだと思う。大成功だと将来、総理大臣になれるかも知れないが、失敗と見なされたら、政治生命が絶たれる恐れもある。

 私の想像だが、勇気をもって手を挙げたのは赤沢氏一人だったので、一人になったのではないか。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉では、複数の日本政治家が動いていた。今回の体制は、いかにも貧弱で、なさけない。赤沢氏の資質を言っているのではなく、体制を言っている。

 

 一方、複数の複雑な代表団になると、互いに手柄争い、責任のなすり合いに頭が行ってしまい、日本国を代表してアメリカに対して国益を主張できなくなるのではないか。今の政治議論を聞いていると、与党・野党にかかわらず、そのような雰囲気で動いている。理念がない。もしそうなら、もう、国家の体をなしていない。

 

 こう考えると、かなり絶望的な気分になってきた。

 

 時々ニュースを見るだけで、綿密にフォローしていないからかも知れないが、一人では危ないという論調は聞こえてこない。

 

 因みに、日本側として大勢写っている04/17の写真もあるが、あれは全部、部下だ。代表は一人としても、それに意見を言えるような人が加わっているのが必要だが、それが、いない。

 

写真は、以下より

https://times.abema.tv/articles/-/10176420?page=1

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1861942






2025年5月6日火曜日

(2648) 関税(自動車産業を念頭) ~ 素人談義 ~ その9

(1) 228日、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が、ホワイトハウスで会談して合意文書に署名する予定でしたが、激しい口論となって見送られていました。

(2) 426日には、フランシスコ教皇の葬儀が行われたバチカンで、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談し、両国の関係改善を印象づけていました。

(3) 430日、アメリカとウクライナの両政府は、ウクライナ国内の鉱物資源の開発を共同で行うとする経済連携協定に署名しました。

 

 「安全の保障」は得られず、鉱物資源の制約も受け、ウクライナとしては不満だろうが、最悪を考えればずいぶん良いし、積極的な意味もある。

 

=====

 欧米のメディアによると、米国は合意の署名が見送られた2月末以降、 ①米国側がウクライナ資源の独占的な開発権や基金運用の決定権を持つ ②米国は過去の軍事支援額に達するまで資源開発で得られた利益を受け取る―などと定める、より自国側に有利な合意案をウクライナに提示した。

 この合意案に署名すれば、ウクライナは経済的自立性を失う上、欧州企業の受け入れが困難になり、目標とする欧州連合(EU)加盟が不可能になると指摘された。専門家からは米国の合意案を「帝国主義時代よりひどい」と評する声も出た。

 

 ↓

 

 ウクライナの発表によると、最終的な合意では同国資源の所有権はウクライナにあると規定。さらに米国は合意に基づき設立される基金への拠出義務を、金銭でなく軍事支援によっても果たせると定められた。米国が新規軍事支援に乗り出す可能性が生じた。

=====(産経新聞 202/05/02

 

 「fight or flight 」(戦うか逃げるか)、ゼレンスキー大統領は戦いを選んだ(選んでしまった?)。ひどい目にあったが、これしかなかっただろう。受け入れれば、植民地支配をうけることになっていた。はもはや失うものがなかったので戦うしかなく、結果として、最悪は免れた。ゼレンスキー大統領は、戦うことを示したことにより、トランプ大統領から政治家として評価されたのではないか。良い方向に向かう、一つのきっかけになったと思う。

 そして、アメリカはウクライナ国内に権益をもった。言い換えると、失うものができた。これは、ウクライナの安全に大きく寄与すると思う。プーチン大統領は、トランプ大統領が得たものを損なうような行動ができなくなった。

 

 この過程を日米の関税問題に当てはめると、どうなるか。

 日本は、アメリカと闘うことによって失うものがあまりにも多いので、戦うという選択肢はない。逃げる訳にもいかないので、モゾモゾするしかない。それはしかたがない。

 一方、やりとりを見ていて思うのだが、トランプ大統領が石破首相を尊敬するとは思えず、バカにするだろう。今後のことを考えると、その損失が大きい。石破首相がいつまでもつかは分からないが、しぶとく頑張っている。

 参議院選挙まで、自民党内には石破おろしがあるだろうが、野党は石破首相を応援している。主張すれば、節操なく何でも受け入れてくれるし、石破首相が継続している限り、自民党の岩盤支持者は去り、自民党支持率は下がり続け、野党にとっては参議院選挙で有利になる。 










2025年5月3日土曜日

(2647) 関税(自動車産業を念頭) ~ 素人談義 ~ その8

 トランプ大統領の言動パターンが固まってきて、読みやすくなってきました

 一つの特徴は、正反対のことを自信顔で話すパターンです。トランプ大統領が言っていることと反対の仮説を立てると、うまくいくケースが増えるでしょう

 

例1 中国との交渉

トランプ大統領が言っていること: 中国はアメリカとディールしたがっている

実際(多分): 早くディールしたいのはトランプ大統領で、周主席は待ちの姿勢

 

 高関税をかけあって、米中双方の中小企業がこれからどんどん倒産していく。どんどん倒産しても、周主席もトランプ大統領も気にしない。中国は、トランプ関税がなくても経済的に行き詰っていて、中小企業に構っておられない。トランプ大統領を支えているのは、多額の寄付金を出している大企業であり、こちらは大切にするが、貧乏な中小企業は、どうなってもよい。中小企業の倒産が続いても、二人は直接には影響されない。ここまでは似ている

 中小企業やその周辺の人たちの不満が、これからもどんどん高まっていく。周主席は問題なく、抑え込める。しかし、アメリカでは、不満が支持率の低下につながり、投票行動にも反映する。ディールが進まないと、トランプ大統領の基盤が確実に、徐々に崩れていく。中国の方は、よくわからない

 いずれにせよ、この取引は、「取引しよう」と先に言った方が不利になる。両方とも、じっとして、相手が先にアプローチしてくるのを我慢比べで待っている。周主席を先に動かさせるカードは、トランプ大統領は、持っていない

 

 

例2

トランプ大統領が言っていること:日本は選挙を控えて、早期に解決したがっている

実際:早期に解決したがっているのはアメリカで、日本は待ちの姿勢

 

 日本では参議院選挙が近づいており、アメリカに中途半端な妥協をすると、自民党は大敗する。選挙が近づいているので、中途半端な妥協で早期解決はできない。焦って解決しようとすることはない。トランプ大統領に強く言って変わるとは、もはや誰も思っていない。日本は、関税合戦はしない方が良い。日本ばかりでなく、多くの国が「柳に風」(相手の言動に逆らわず、うまく受け流す)戦術をとり始めた。それで良いと思う。日本は少し、まじめすぎるような気はするが(トランプ大統領にはWin-Winはなく、Win-Loseしかないだろう)

 自動車関税でトランプ大統領の言うままになると、日本は衰退してしまう。妥協する余地はないだろう。妥協しないのが理由で、政府の支持率が下がるとは思えない。だから、トランプ大統領が自動車関税を引き下げない限り、日本は動かないだろう。強いカードを先に出しちゃったので、日本に高い自動車関税を認めさせられるようなより強いカードは、トランプ大統領は持っていない

 日本との交渉がうまくいかない限り、その他の国との交渉が進まない。焦るのは、トランプ大統領だ。日本は、何十年とアメリカのいじめをかいくぐってきた経験と実績がある。そのノウハウは、官僚に受け継がれている。石破首相が官僚をうまく使っている限り、変なことにならないと思う。首相には、下手にリーダーシップを取らないでほしい。気がかりなのは、そこだけだ。時間はかかるが、良い方向に向かうだろう

 

写真の出所は、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250327/k10014761851000.html