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2018年2月11日日曜日

(1146)  アンチコモンズの悲劇、都市的入会権 / 規模縮小下のまちづくり / 「人口減少社会の構想」(13-2) (放送大学)


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<構成> 第13章 規模縮小下のまちづくり

1. 規模縮小下の<空き>活用の課題

2. 規模縮小下のコモンズ論

3. 現代入会権というかたち

 

 古民家ゴンジロウでは家主をそのままに、<空き>を大学の研究室がインフォーマルに使わせてもらうことで、地元にも都会にも開かれた異質性のコミュニケーションが育ってきた。

===== 引用はじめ (P.258)

 古民家ゴンジロウは、家主としては愛着のある先祖の家であり、集落にとっても昔の面影をとどめる唯一の古民家であり、由緒ある地元の一族の家でもある。現実的には、雨漏りのする廃屋同然の家で、責任を持って人に住居として貸すことのできる状態にはない。当面経済的に困っているわけでもないから、建物を除却して土地を売る気にもなれない。かといって、年金暮らしの身だし、お金をかけてまで再生しようと思うほど積極的ではない。一方で、ただ老朽化していく茅葺き民家の姿は不本意だった。排他的利用権をともなった所有権が生むアンチコモンズの悲劇に陥っていた。

 その膠着状態を動かす契機となったのが、所有権を保ったまま、オープンアクセスの空間にしていくインフォーマルな活動だった。他者の利用を排除しない現代版の都市的入会権の試みといっていい。

===== 引用おわり

添付写真参照。

 

(1) コモンズの悲劇(過剰利用問題) (P.248)

 G.ハーディンは、複数の牧畜者が牛を放牧する牧草地においては、各人が自らの利益を追求し、結果的に牧草地が使いものにならなくなってしまうことを指摘し、「コモンズの悲劇」と名づけた。
 

(2) アンチコモンズの悲劇(過少利用問題) (P.250)

 近代においてはコモンズの悲劇を回避するために、土地を細分化して排他的な利用ができるようにしてきた。そこに人口減少がやってくると、細分化した土地は、そこを排他的に利用できる人が利用せずに放置しても、他者の利用は排除されたままである。「アンチコモンズの悲劇である。
 

(3) 入会権 (P.252)

 インフォーマルなまちづくりの取組みのヒントとなるのが、所有権が必ずしも排他的な利用権と対応していない慣習的な土地の使い方である。資源が比較的潤沢で豊かな里山では、明治以降、土地所有を名義上は排他的に明確化したものの、個人所有の山であっても薪を採るなど資源の利用については、持ち主は比較的寛容だったという。実質的にはゆるい暗黙の入会権があったといえる。私有地を、利用に関しては地域に開いたかたちである。

 

出典
岡部明子、「第13章 規模縮小下のまちづくり」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)

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