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2025年9月18日木曜日

(2672) 外交の基本が崩れた

 「米政府はイスラエル軍が16日に発表したパレスチナ自治区ガザ最大のガザ市での地上侵攻を事実上容認した。」(日本経済新聞) … とんでもないことが起こっています。

 これまで外交における日本の主張は、

     法の支配

     力による現状変更を容認しない

     価値観を共有する国が協力する

でしたが、トランプ大統領が、全てを破壊しようとしています。これが良いか悪いかを議論しても、トランプ大統領を翻意させるのは無理でしょう。これを前提として、我が国は今後どのような方針で、国際社会の中で生き延びていくのか、国の存亡にかかわることを今の政治家は取り上げません。

 自民党の内輪もめで政治を停滞させてはいけないというのはその通りだが、停滞させずに何をするかというと、ガソリン税。もっと緊急で大切な議論があるでしょう。

 戦争には、二つあると考えています。仕掛ける戦争と、仕掛けられる戦争です。日本は、どう考えても今後、仕掛ける戦争なんてできません。今の自衛隊では能力不足でできないし、能力を高めたとしても、中国に太刀打ちできません。それなのに戦争というと、日本に「仕掛ける戦争」をさせないことばかりに向かい(無意味です)、その結果「仕掛けられる戦争」への対処が絶望的な状態になっています(深刻な反作用です)。

 いま世界を見ると、「仕掛けられた戦争」で惨状になっています。「法の支配」「力による現状変更を容認しない」「価値観を共有する国が協力する」をアメリカが放棄すると、日本が「仕掛けられる戦争」に巻き込まれる危険性がますます高まります。

 ウクライナは、戦略核を放棄し、ロシアと条約を結び、その結果クリミアを奪い取られ、ロシア軍が侵攻して国内の東部・南部は破壊しつくされています。領土の割譲を認めることは、「軍事力がある国は、他国に攻め込んで占領すれば、それを法的に認める」ことを意味します。トランプ大統領は、戦争を止めさせると言いながら、戦争の火種をまいています。

 一方、戦争を遺棄し支配を許すことは、日本がチベット、ウルグアイ、内モンゴルになることを意味します。日本の富は全て中国が持ち去り、日本人は奴隷状態になります。奴隷とまでいかなくても、少なくとも自由意志は、失います。日本人全体(中国に内通する者は除く)が貧困にあえぎ、中国人の為に単純労働を強いられます。中国が必要とする技術は、すべて持ち去られるので、単純労働で生活を支えるしかありません。チベット、ウルグアイ、内モンゴルの現状を直視するなら、容易に想定できる情景です。残念ながら「見たくないものは見ない。あってほしくないものは存在しないことにしておこう」という人には、見えません。

 戦争絶対反対という人は、何故、ロシア、イスラエル、アメリカを非難しないのでしょうか。また、南シナ海で島を奪い取り武装化し、尖閣諸島で戦争をしかけようとしたり(漁船に扮して尖閣諸島を盗ろうと着々と準備しています)、軍拡を進めて台湾を占領すると言ってはばからない中国に異議を申し立てないのでしょうか。核武装、ミサイル開発を進め、戦争を盾に他国を脅かし続けている北朝鮮を諫めないのでしょうか。戦争を起こすのは彼らで、日本ではありません。核軍縮を押し続ければ、世界は平和になるのでしょうか。戦争のない世界をつくるために、どのような戦略があるのでしょうか。戦争を無くすために効果的なことは、何もしていないように見えます。

 戦争絶対反対と言わなくても、日本は仕掛ける戦争はしないし、できません。彼らは、日本を弱体化し、他国の侵略を招くことを目的としているのでしょうか(気づかぬまま他国の手先になっている?)。それとも、日本が大嫌いで、蔑みたいのでしょうか。

 与党でも野党でもいい、「法の支配」「力による現状変更を容認しない」「価値観を共有する国が協力する」が崩れても、その状況でも日本を守る為にはどうすればよいか、真剣に考えて欲しい。

(2671) 保守を一本化すべきか

 自民党の総裁選は、5者に絞られるようです。小林氏も立候補し、一本化を期待していた高市氏支持者はがっかりしたようです。でも、これでよいと私は思います。同じ保守といっても、小林氏の支持者と、高市氏の支持者は、重なっていない人たちも多いようです。無理に一本化しても、内部でこじれるだけでしょう。

 参政党の神谷氏に自民党の保守層を奪われたという嘆きも聞こえてくるが、それは自民党がだらしないからで、身から出た錆です。注目すべきは、高市氏が集められないような保守を集めていることです。日本維新の会が保守だと言うのは分かるが、労働組合に支持基盤のある国民民主党が保守票を獲得したという、分かりにくいことが起こっています。保守だと各々が主張しているが、その内容は、共通する部分もあるだろうが、ずいぶん違っているところが多そうです。少なくとも、「保守=外国人排斥」といった単純な決めつけでは、保守を説明できません。

 各々の内容はよく把握できていませんが、現在は、保守を旗印に、それぞれが得意とする領域で保守の数を増やそうとしています。大きさの固定した一つのパイがあるのではなく、保守というパイを増やそうとしている段階で、だから、拙速に一本化を図らない方が良いでしょう。パイを奪い合うより、独自努力を重ね新たな領域を拡大し、パイ全体を大きくすることを考えるべきでしょう。パイがある程度大きくなった段階で、共通するものは何か、違うものは何かをよく整理し、違うところもあることを前提とし、一本化する。政権を取りに行くのはそれからでしょう。

 今、自民党は、与党半数割れの中で、国会運営をしなければなりません。茂木氏、林氏、小泉氏は、各々野党にもパイプをもち、各々が違う形で与党半数割れを凌ごうとしています。どのやり方が良いか、私にはわかりませんが、ここをうまく乗り越えられそうな人が、次期総裁になればよいのではないでしょうか(何をしでかすか心配もあります。石破氏でこりました)。石破氏のように、「塾際重ねながら」言いなりにならないように、いかにコントロールするかです。高市氏が総理大臣になると、自己主張して、袋叩き似合って、動けなくなるでしょう。高市氏は今回は、立候補して主張することにより「お仲間を増やす」ことに専念するのがよいと思います。

 最後になりましたが、立憲民主党の枝野氏までが保守だと自ら主張しています。本当に、保守とは何かが、さっぱりわからない時代になりました。保守が良いとか悪いとかではなく、好ましい保守とは何か・好ましくない保守とは何か、保守をどう定義すべきか(これまで保守はこう定義されてきたが、このように定義を変えよう、でもよい)、あるいは、保守の良いところは何か・悪いところは何か、そのあたりの議論が深まっていくといいなと思います。

 保守が良いと決めつけて一方的に推奨する話も、保守が悪いと決めつけて一方的に非難する話も、私は聞く気が起こりません。保守に、良い面と悪い面の両方あると思います。

(2670) アンパンマンの人気の秘密

 朝の連続テレビ小説「あんぱん」も、放映時間残り少なくなりました。なぜ評判の悪いアンパンマンが人気を博すようになったのか、興味をもちながら見ています。ヒントは、「言葉をまだ知らない幼児がアンパンマンを気に入っている」という八木さんの指摘なのでしょうか(私の孫も大好きです)。

 崇さんは、言葉で伝える能力が高いのに、「ボオ氏」では、言葉を封印し、絵だけで勝負し、成功しました。

 言葉でコミュニケーションができない子が、お母さん等からの受け取れるメッセージは表情でしょう。子供が最初に描く人間の姿は、ほとんどが顔で、そこに手や足がヒョロヒョロとついています。人気のある女優さんは8頭身ぐらいが多いようだが、漫画のサザエさんの登場人物は3頭身とか4頭身ぐらい。小さい子が見えている人間像と近いのでしょう。

 崇さんは、言葉を知らない子供たちが表情から受け取るメッセージを理解し、その子供たちに絵でメッセージを伝え、ちゃんと伝わっているのではないでしょうか。

 後は、キャラクターの多さ? これからを楽しみにしています。

 因みに、AIの見解は、

 アンパンマンが人気の理由は、赤ちゃんや幼児が好む「丸い形」と「明るい赤色」のキャラクターデザイン、発音しやすく覚えやすい名前、「アン・パン・マン」というリズムの良いフレーズ、そして、空腹の困っている人に自分の顔を分け与えるというストーリーの「分かりやすさと深いメッセージ性」にあります。また、登場キャラクターの多さ、繰り返し見られるストーリーパターン、親からの信頼感も人気の要因です。

(2669) 【参議院選挙(15)】

※ 原稿を書いたが、掲載が漏れていました、今更ですが、アップしておきます。 

 野村修也氏は、X (旧Twitter)上で(2025/07/29)、「かなり大雑把にまとめることが許されるならば」と前置きしたうえで、現在の日本の主な政治主張を4つに大別しています。

① 左派(戦後民主主義が旗印、日米安保反対、憲法9条改正反対、天皇制反対、侵略戦争の謝罪、社会主義・共産主義を支持)

② リベラル(大きな政府、社会保障の拡大、個人主義、LGBTQ支援、フェミニズム

③ 保守(小さな政府、日米安保支持、憲法9条改正、女系天皇反対、自虐史観からの脱却)

④ 右派(反グローバリズム、自主憲法制定、家族・集団の尊重、道徳重視)

 前置きにあるように、このようにきれいに分類できるかというと疑問だが、キーワードを丁寧に拾い上げていると思います。キーワードをとりあえず整理するには役立つでしょう。

 ただ、キーワードが多くあり過ぎてなかなか理解できないとともに、各政党の中に矛盾したものを抱えている状態で、各個人にとっては、キーワード(1)については○○党だか、キーワード(2)については△△党ということもあり、困ってしまいます。

 以下は、私の意見

(1) 国民民主党が①を切り捨てたことにより、①は立憲民主党の総取りになりまし。自民党嫌いの②も立憲民主党に行くしかありません。立憲民主党は圧倒的に有利だと思うが、参議院選挙で苦戦しました(選挙区では議席を維持できたが、比例代表では大幅に後退しました)。その理由の一つは、世界情勢を見ていると①の主張が危うい、非現実的であることがはっきり見えてきたこと。もう一つは、岩盤支持層の団塊世代全員が後期高齢者に突入して、人口が減ったり、投票にいけなくなったりしてきたこと。この二つの要因が大きいのではないでしょか。もしもそうなら、衰退傾向は続くでしょう

(2) ③保守と④右派は、政治主張としては、分けるほど違っていないでしょう。憲法9条改正と自主憲法制定が対立しているように見えるが、大きく見ると今の憲法のままではいけないという点で、一致しています。なお、日米安保に関する主張も現在は異なっています。いずれも、参政党が票狙いで極論を言っているだけなので、参政党などが現実を見据えていくと、③と④はあまり違わなくなると思います。

(3) 自民党は、矛盾する②と③とを抱え込みながらも、延命してきました。ところが安倍総裁が強くなって、②が不満を抱えました。その反発か、岸田総裁がLGBT法案を強行し、石破総裁が政治資金事件にからめて露骨に安倍派潰しをしました。③が我慢の限界に達し、票が大幅に参政党などに流れました。石破総理は続投する意向なので、自民党の解党もありえるのではないでしょうか。それを支持する人たちが、自民党の外に沢山いそうです。石破総理は、その人たちと結託しようとしているように見えます

(4) 参政党は、無責任に発言できる立場だったので、受けやすい発信ができました。日米安保を解消して自力で日本を守るのは不可能だし、自主憲法改正で2/3の支持を得られません。善良な外国人を排斥したり、差別したりすることなく、日本人ファーストを進めなければなりません(独立国である以上「日本人セカンド」でないことは当然)。日本の総人口に占める外国人の割合は、2050年ごろに1割になり、国の予測より大幅に前倒しになる可能性がある、という報告もあります。少子化は確実に進むので、外国人と共存しなければ、日本はもちません。そのためにも、いびつになっている外国人政策を正常化していかねばなりません。参政党がどう変わっていくか、どう現実的になっていくか、見守る必要があると思います



2025年8月5日火曜日

(2668) 【参議院選挙(15)】

 野村修也氏は、X (Twitter)上で(2025/07/29)、「かなり大雑把にまとめることが許されるならば」と前置きしたうえで、現在の日本の主な政治主張を4つに大別しています。

   左派(戦後民主主義が旗印、日米安保反対、憲法9条改正反対、天皇制反対、侵略戦争の謝罪、社会主義・共産主義を支持)

   リベラル(大きな政府、社会保障の拡大、個人主義、LGBTQ支援、フェミニズム

   保守(小さな政府、日米安保支持、憲法9条改正、女系天皇反対、自虐史観からの脱却)

   右派(反グローバリズム、自主憲法制定、家族・集団の尊重、道徳重視)

 

 前置きにあるように、このようにきれいに分類できるかというと疑問だが、キーワードを丁寧に拾い上げていると思います。キーワードをとりあえず整理するには役立つでしょう。

 ただ、キーワードが多くあり過ぎてなかなか理解できないとともに、各政党の中に矛盾したものを抱えている状態で、各個人にとっては、キーワード(1)については○○党だか、キーワード(2)については△△党ということもあり、困ってしまいます。

 

 以下は、私の意見

(1)  国民民主党が①を切り捨てたことにより、①は立憲民主党の総取りになりまし。自民党嫌いの②も立憲民主党に行くしかありません。立憲民主党は圧倒的に有利だと思うが、参議院選挙で苦戦しました(選挙区では議席を維持できたが、比例代表では大幅に後退しました)。その理由の一つは、世界情勢を見ていると①の主張が危うい、非現実的であることがはっきり見えてきたこと。もう一つは、岩盤支持層の団塊世代全員が後期高齢者に突入して、人口が減ったり、投票にいけなくなったりしてきたこと。この二つの要因が大きいのではないでしょか。もしもそうなら、衰退傾向は続くでしょう

(2) ③保守と④右派は、政治主張としては、分けるほど違っていないでしょう。憲法9条改正と自主憲法制定が対立しているように見えるが、大きく見ると今の憲法のままではいけないという点で、一致しています。なお、日米安保に関する主張も現在は異なっています。いずれも、参政党が票狙いで極論を言っているだけなので、参政党などが現実を見据えていくと、③と④はあまり違わなくなると思います。

(3) 自民党は、矛盾する②と③とを抱え込みながらも、延命してきました。ところが安倍総裁が強くなって、②が不満を抱えました。その反発か、岸田総裁がLGBT法案を強行し、石破総裁が政治資金事件にからめて露骨に安倍派潰しをしました。③が我慢の限界に達し、票が大幅に参政党などに流れました。石破総理は続投する意向なので、自民党の解党もありえるのではないでしょうか。それを支持する人たちが、自民党の外に沢山いそうです。石破総理は、その人たちと結託しようとしているように見えます

(4) 参政党は、無責任に発言できる立場だったので、受けやすい発信ができました。日米安保を解消して自力で日本を守るのは不可能だし、自主憲法改正で2/3の支持を得られません。善良な外国人を排斥したり、差別したりすることなく、日本人ファーストを進めなければなりません(独立国である以上「日本人セカンド」でないことは当然)。日本の総人口に占める外国人の割合は、2050年ごろに1割になり、国の予測より大幅に前倒しになる可能性がある、という報告もあります。少子化は確実に進むので、外国人と共存しなければ、日本はもちません。そのためにも、いびつになっている外国人政策を正常化していかねばなりません。参政党がどう変わっていくか、どう現実的になっていくか、見守る必要があると思います



2025年7月28日月曜日

(2667) 【参議院選挙(14)】

 自民党の大敗により、参議院では与党が過半数割れに陥りました。その一方、自民党が大敗したにもかかわらず、憲法改正を主張する党の議員数がさらに増え、改憲勢力は3分の2以上を維持しています。

 

改憲勢力=自民党+国民民主党+公明党+日本維新の会+参政党+日本保守党

参院選前 170 = 114+9+27+18+2+0

参院選後 180 = 101+22+21+19+15+2

 

 では、憲法改正に向かって進み始めるかというと、その兆しはありません。

 

 元立憲民主党代表の枝野幸男氏が衆院憲法審査会の会長として主導する形で進められていること、石破自民党総裁が口では憲法改正といいつつも具体的に進めようとしていないことなどが大きな原因だと思うが、同じ憲法改正と言っても、党によってばらつきが大きいのが現状(*)で、具体的に動けそうにありません。改憲勢力が増えたと言っても、参政党は、創憲(一から憲法を創りなおす)を唱えており、現実的には、憲法改正はさらに遠のいたように思えます。

(*) 憲法論戦、新局面に 自民・立民が主導権争い―参政は復古調創憲案・「深掘り・日本の課題」【25参院選】、

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025071800670&g=pol&p=20250718ax10S&rel=pv#goog_rewarded

 

 とはいえ、戦争を辞さない中国、北朝鮮、ロシアがすぐ近くにいます。ウクライナ、パレスチナを見れば、戦争が起こらない保証がないことは、容易にわかります。

 ウクライナは先ず核放棄したことから始まり、クリミア半島を奪われ、東部の各州に進軍され、南部にも進軍され、いまは、首都キーウもミサイル・ドローンの爆撃を受けています。侵略の理由はなんとでもつけられます。「ウクライナの非ナチ化」でした。ウクライナの過去に遡って、因縁をつけています。日本も過去に遡れば、日本への侵略の理由はいくらでも作れます。ウソでもよいのですから。

 中国は台湾侵攻を画策し、尖閣諸島で中国軍の活動がさらに活発化し、日本のへの領空侵犯、自衛隊機への異常接近が多発しています。南シナ海では島を奪い、軍事基地を作っています。石破首相は、中国に対しては「なめるなよ」とは言わないので、(それだけが原因ではないでしょうが)日本はなめられたままです。もっとなめてもいいよと言っているのと同じです。中国の支配下に入るとどれだけ悲惨なことが起こるかは、チベット、ウイグル、内蒙古、香港を見れば、容易にわかります。

 アメリカがどこまで日本を守ってくれるか、怪しいです。尖閣諸島に有事があった場合、日本が軍事行動をおこさない限り、アメリカがリスクを冒してまで来てくれないのではないでしょうか。必死に戦っているウクライナに対してでも冷淡です。勝てる見込みがなければ、トランプ大統領は見捨てます。正義も信義もありません。民主主義を守るより、自国の利益を優先しています。

 台湾侵攻と尖閣諸島領有は、セットになるでしょう。どちらかが先なのか、同時なのかはわかりませんが、中国ではカウントダウンが始まっていることでしょう。尖閣諸島は第一歩で、次は沖縄、日本がターゲットになります。尖閣諸島で防衛ラインを堅持することは、日本の安全にとって、とても大切です。島一つの問題ではありません。

 

 でも、日本人は何事もないかのように、動こうとはしません。

 「戦争反対」と唱えていたら、戦争は起こらないのでしょうか、攻められることはないのでしょうか。日本が自らを守らないなら、他国は安心して戦争をしかけてきます。何せ、専守防衛なので、何のリスクもなく、攻められます。リスクがあるから、思いとどまることもあります。プーチン大統領は、バイデン大統領が軍事介入しないと確認し、簡単にキエフ(今のキーウ)を制圧できると思ったから侵攻しました。激しい抵抗にあって、間違いだったとわかっても、一度進み始めると、止めるわけにはいきません。そこから泥沼がはじまりました。一度始まると、もう元には戻せません。

 憲法前文に「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。そもそも存在していない「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼して「恒久の平和」を得られるのでしょうか。

 

 国を守るためには周到な準備が必要です。ことが起こってからでは、対処できません。

 

 日本の政治家は、どこを見て、何を考えているのでしょうか? 

 世界情勢を見てないのでしょうか? 気にならないのでしょうか? 心配にならないのでしょうか? 学ばないのでしょうか? 歴史から学ぶつもりはないのでしょうか? 

 国を守るということは、どうでもよいことなのでしょうか? いけないことなのでしょうか? 日本を守ろうとするのは、軍国主義なのでしょうか?

 

 あまりにも理不尽、荒唐無稽の話で、政治がもてあそばれています。



 

2025年7月26日土曜日

(2666) 【参議院選挙(13)】

 自民党内で、石破首相の退任を求める声と、留任を求める声とが錯綜しています。石破首相のせいで落選したと怒っている人、このままでは次の当選は覚束ないと心配している人や地方組織、ポスト石破を狙う人、過去に因縁のある人は退任を求め、現政権を支えている人たちは留任を求めています。どちらが正しいかではなく、各々の立場が発言を決定づけています。「敗北の責任をとって辞めよ」とか「敗北したが引き続き責任を果たせ」は、単なる飾り言葉です。

 自民党外でも賑やかになってきました。《# 石破やめるな》ハッシュタグが出回り、25日夜には首相官邸前でデモがあり、「石破は頑張れ」「石破は辞めるな」と声を張り上げたそうです。さらに、れいわ新選組の山本太郎代表、社民党のラサール石井氏など、自民党外からも「継投」を望む声が上がっているといいます(産経新聞 2025/07/26)。異様な展開です。

 この謎は、「立場が発言を決定づける」を思い起こせば解けます。れいわも社民も、自民をつぶしたい立場にいます。その立場から継続を望むということは、継続すれば自民はつぶれると考えていると推定されます。賢い彼らは、正しい情勢判断をしていると私は思います。さらに彼らは賢いので「自民党をつぶせ」など無粋なことは言わず、他党の党首が苦しんでいる時にエールを送るという、心温まる対応をしています。

 

 世論調査の位置づけが変わっています。

(1)        (静的)人々がどのように考えているかを調べる

が従来の位置づけでしたが、

(2)       (動的)人々の考えを変えさせる手段であり、調査結果はある意図を表すものである

という要素が入ってきました。世論は観察するものではなく、操作する対象になってきました。SNSの拡散が、それを支えています。

 《# 石破やめるな》には、世論操作の意図があると考えるのは、考えすぎでしょうか。自分の意見を述べることは当然のことであり、大切ですが、本音が分かりにくくなっています。

2025年7月25日金曜日

(2665) 【参議院選挙(12)】

 2025年参議院選挙の結果を、4つの視点から評価してみます。

 まず、比例代表 得票率と選出議員数とを指標として取り上げます。選出議員数は、選出された個人の数での評価で、これから国政がどちらに向かっていくかの、大切な指標になります。一方、党自体の評価は、比例代表率 得票率が重要な指標になります。

 その各々に、今回の絶対値、前回からの増減を組みあわせて評価します。

 

1.     比例代表 得票率

1.1.    今回の絶対値

 高評価:自民、国民、参政、立民

 低評価:改革

1.2.   前回からの増減

 高評価:参政、国民、保守

 低評価:維新、自民

2.    選出議員数

2.1.   今回の絶対値

 高評価:自民、立民

 低評価:~

2.2.  前回からの増減

 高評価:国民、参政

 低評価:公明、自民


 例えば、今回の選挙で「自民は信任されなかった」というのは、間違いです。比例代表 得票率から見ても、選出議員数から見ても、今回最も信任されたのは、自民です。一方、「信任が減った、それもかなり減った」というのも事実です。

 評価の仕方により、評価結果は全然違ったものになります。例えば、立民は、今回の絶対値で見ると選出議員数で2位(自民・立民の順)、比例代表 得票率で4位(自民・国民・参政・立民の順)ですが、前回からの増減で見るといずれも偏差値50を下回っています。自民は、今回の絶対値で見るといずれも1位ですが、前回からの増減で見るといずれも最下位です。

 複数の視点に立ち、総合的に評価することが大切でしょう。






(2664) 【参議院選挙(11)】

 比例代表における、各党の得票率が、前回よりどれだけ、増えたか・減ったか(2022年参議院選挙と結果と、2025年参議院選挙とを比較しています)をベースにして、検討します。以下、数字はまるめています。

 各々の極の増減をみると、増えたのは、B極(国民・維新・参政)が9%増、D1極(保守・誠真)が6%増、D2極(れいわ・みらい等)が4%増でした。減ったのは、A極(自民・公明)が16%減、C極(立民・共産・社民)が3%減でした。

 固定票と浮動票とがあるが、先ず固定票を考えます。A・B・C極は、固定票をもっています。その固定票がどこに流れたかを考えます。A極(自民・公明)の16%減とC極(立民・共産・社民)の3%減は、どこにいってしまったのでしょうか。

 A極が減った票の行先は、D1極(保守・誠真)かB極(国民・維新・参政)でしょう。A極は16%減り、D1極は6%増えているので、残りの10%はB極に流れたのでしょう。岩盤だったはずの保守層の固定票が流出してしまったのだと思います。

 C極が減った票の行先は、見当たりません。C極の固定票は岩盤で、A極にもB極にも流出しないでしょう。国民は右傾化(?)しているので、立民とルーツは同じだが、立民の固定票が流出するとは思えません。でも、3%減っています。消去法で、行先はD2極しかありません。でも、固定票は流出していないでしょう。今回の選挙では投票率が向上し、比例票の合計は12%増えており、これが影響していると思います。即ち、A極に批判的な浮動票を従来はC極が取り込んでいたのだが、今回はD2極が取り込んでしまった。その結果、C極からD極に3%流れたという数字になっているのでしょう。多党化にともない、C極はA極の批判票(主として浮動票)を取り込めなくなった、これが、今回C極が苦戦した理由で、A極とは違います。

 B極はA極から10%取り込んだのに、トータルとして9%しか増えていません。消えた1%はC極と同じ理由で、D2極に流出したのでしょう。

 D2極は、れいわを除いて、固定票をあまり持っていないでしょう。しかし、投票率向上で多量に現れた浮動票を取り込む力があった、だから結果として4%増えたのでしょう。ということは、もしも次回選挙で投票率が下がり、浮動票が減ると、れいわを除きD2極は一気に縮む可能性があります。なお、みらいは今回健闘し、ある程度、固定票をつかめているかもしれません。

 票の動きをまとめると、

(1)  A極(自民・公明)からB極(国民・維新・参政)に10%、D1極(保守・誠真)に6%流出した結果、A極は16%減った

(2) C極(立民・共産・社民)からD2極(れいわ・みらい等)に3%流出した

(3) B極(国民・維新・参政)へは、A極から10%流入したが、D2極に1%流出したため、結局9%増えた

(4) B極内で、維新から7%が国民と参政に流出した

(5) D2極は、浮動票を中心に取り込み、4%増となった



(2663) 【参議院選挙(10)】

 比例代表の獲得票数が増えている政党と、減っている政党があります。減っている政党の票は、何処に行ってしまったのでしょうか。それがわかれば、取り返すヒントになるかもしれません。以下、試算していますが、見積もるための仮定が多く、精度は低いと思います。

 自民は540万票を失いました。行先は、保守、誠真、参政、国民と考え、保守と誠真は全票自民から持ち出したものとし、残りは2:1の割合で、参政、国民に流出したと仮定しました。リベラル化した自民を背後にし、自民の票は、参政、保守など、保守色の強い政党に移動しました。立民が、自民が減ったと喜んでいるのが不思議です。落ちこぼれた票を自分では拾えず、より主張の遠い党が拾っています。

 維新は、346万票を失いました。参政と国民に半分ずつ流出したと仮定しました。

 公明は、97万票失いました。池田大作氏が亡くなったこと、会員の高齢化、自民不調の影響などがあるのでしょう。この票は特定の政党には流れないとして貯金箱に入ったとしました。

 共産は75万票、社民は4万票失いました。これらは浮動票の取りこぼしと仮定し、貯金箱に入ったとしました。

 更に、以上を元に、票の増えた政党が、どこから票を得たかを試算しました。



(2662) 【参議院選挙(9)】

 これまで、第1の民意について述べてきたが、第2の民意について考察します。

 基本データを示します。

 党別にみると、自民、国民、参政、立民、公明、維新の順で、当選議員数では2位だった立民は4位に陥落し、国民、参政が2位、3位を占めます。

 極別に見ると、B極(立民・維新・参政)、A極(自民・公明)、C極(立憲・共産・社民)の順で、

大まかに見ると、3:3:2の割合になっています。

 第1の民意と、ずいぶん違っています。「私の言うことこそ民意だ」という発言をする党があります。それが民意であることは確かですが、例えば立憲の場合、第2の民意から言えば、12.5%(8分の1)の民意に過ぎず、その他に87.5%の民意もあります。 



(2661) 【参議院選挙(8)】

 政治家は好んで「民意」という言葉を使うが、これほど怪しげなものはありません。

 当然、世の中には(国民の中には)様々な意見があります。誰が、どういう基準で、どの意見が、民意だと決めるのでしょうか。そのような基準はありません。Aという意見とBという対立する意見があるとします。世論調査をしたところ、例えば、7割はAが正しいと言い、3割はBが正しいと言ったとします。では、Aが民意であり、Bは民意ではないのでしょうか。二つの新聞社がそれぞれ世論調査をして異なる結果がでた場合、どちらが民意なのでしょうか。先月の調査結果と今月の調査結果が違ったとしたら、ある日を境に、民意がゴロッと変わるのでしょうか。そもそも、民意を世論調査結果で、決めてよいのでしょうか。

 私は、Aも民意だし、Bも民意だと思います。「ある時点での、ある調査によれば、Aという民意は7割の人が支持し、Bという民意は3割の人が支持した」という表現は正しいと思います。一方、「民意は〇〇」であるという言い方は、出来ません。しかし、政治家はいとも簡単に「彼らは民意を無視している」といった発言します。明確な根拠を示さないままに、自分の思い込みを「民意」という言葉で正当化しています。政治家が「民意」という言葉を使ったら、それは怪しいです。

 さて、政治上の民意をどう決めるかというと、選挙が権威を持ちます。ルールに則り、18歳以上の日本国民に意見を聞き、それに基づき、国会議員が決まります。そのようにして決められた国会議員に、意見を戦わせながら政治上の判断をするよう求めます。間接民主主義は、そういう仕組みになっています。選挙の結果、A党が7割、B党が3割の国会議員を輩出したとして、A党の主張も民意であり、B党の主張も民意です。ただ、結果としてはA党の民意がより強く、政治的な判断に影響を与えます。それでよいと思います。

 参議院選挙で、誰に政治を委ねたいかという民意が示されました(第1の民意)。しかし、もう一つ重要な民意が示されています。どの党に政治を委ねたいかという民意が、比例代表の党派別得票数という形で示されています(第2の民意)。そして、第1の民意と、第2の民意は、驚くほど異なります。


2025年7月22日火曜日

(2660) 【参議院選挙(7)】

補足説明(2)

=====

内閣総理大臣指名選挙の手続は、国会法、議院規則、先例に基づいて、以下の通り行っている:

 

1.    衆議院、参議院双方別々に記名投票を行い、各院一名の指名者を決める(過半数の票を得た議員がその院の指名者になる。そのような議員がいなければ、上位2人による決選投票でその院の指名者を決める)。

2.   両院の指名者が一致していれば、その人物を内閣総理大臣に指名する。

3.   一致してなければ、両院協議会を開く。

4.   両院協議会で両院の意見が一致するか、もしくは出席協議委員の3分の2以上の多数を得た被指名者がでたらその人物を内閣総理大臣に指名する。

5.   そうならなかった場合は、衆議院の優越により衆議院の指名者が内閣総理大臣になる。

以上のように、事実上、衆議院議決で過半数を得た候補が内閣総理大臣に指名される。

===== Wikipedia 『内閣総理大臣指名選挙』より

だそうです。

 

 「内閣が総辞職した場合、又は内閣総理大臣が欠けた場合」、内閣総理大臣指名選挙が行われます。第一回目は各々党首を書くので、現状においては過半数の票を得る議員は出てきません。そこで、上位二人として自民党総裁と立憲民主党代表が残ります。A極(自民・公明)は自民党総裁に投票し、C極(立憲・共産・社民は)は立憲民主党代表に投票するので、結局はB極(国民・維新・参政)が決定権を握ります。彼らは、二者択一か棄権しか選択肢がありません。

 B極が立憲民主党代表を選んだら、自民党は政権を失います。

 

 だから、石破首相は辞められないのでしょう。次の総裁に誰がなるかの内輪の問題ではなく、自民党として政権維持に直結します。自民・公明が過半数を握っている場合は、この問題は起こりません。安倍総理が大敗したときに石破首相が辞任を迫ったのがブーメランとして返ってきたと言われていますが、事情が違っています。

 

 河野太郎氏が「総裁が責任を取らないなら、幹事長が責任をとって辞めるべきだ」と主張しました。何を言っているのだろう?と訝しく思っていましたが、なるほど、これなら「だれも責任を取らない」ことにはならず、かつ、内閣総理大臣指名選挙を避けられます(政権喪失のリスクは避けられる)。ただ、石破首相が継投しても、森山幹事長を失うと、もたないでしょう。 

(2659) 【参議院選挙(6)】

補足説明(1)


(2656) 【参議院選挙(3)】で、

>  アメリカ、イギリス、共産国、独裁国を除けば、どの党も過半数に届かないのは、よくあるケースです。日本では大きな変化に見えますが、決して、異常事態ではありません。良くないことが起こったと心配したり、慌てふためいたりする必要はありません。現実を現実と受け止め、できるだけ混乱少なく、新しい状況で良い政治がおこなわれるよう、前に進むことが大切でしょう。

 

と書きましたが、その前に

>  アメリカとイギリスは2大政党で、交互に政権を担ってきたが、ドイツやフランスやイタリアでは、一つの政党で政権を取ることはできず、連立政権になっています。

と書いています。

 

さらに、(2658) 【参議院選挙(5)】で、

> つまり、3極&3極構造は、更に進むと思われます。従って、3年以内に、3極&3極構造であっても安定した政治運営ができるような仕組みを作らなければなりません。海外で事例が多くあるので研究し、対策していかなければなりません。

と書きました。

 

 ドイツでもフランスでもイタリアでも、政策協定を結び、連立政権で組閣しているようです。日本では、この「政策協定を結び、連立政権で組閣している」ということが出来てない状態で、海外でこのように事例があるかは、私は把握できていません。

 このままで、どうなっていくかは、多分、誰も予想できず、「結局は大混乱に陥る」という意見の通りになるかもしれません。 

(2658) 【参議院選挙(5)】

5.     これからどうなるか? どうすればよいか?

 都議選で注目を浴びた石丸伸二氏が率いる地域政党「再生の道」は、政治信条が明確でなく泡のような存在でした。一方、参政は主張が明確で、地域組織もしっかり作っています。全選挙区で善戦しており、勢いは続くでしょう。

 また、参議院選挙では、非改選の75人(自民62人・公明13人)があるから、今回は47人(自民39人・公明8人)でも半分近くまできました。しかし、3年後は激減するでしょう。公明も、池田大作氏が亡くなり、高齢化もあり、加速度的に党勢は弱まるでしょう。

 つまり、3極&3極構造は、更に進むと思われます。従って、3年以内に、3極&3極構造であっても安定した政治運営ができるような仕組みを作らなければなりません。海外で事例が多くあるので研究し、対策していかなければなりません。

 でも、果たして今の自民で、できるでしょうか?この事態を治め良い方向に向かわせる働きかけができる政治学者はいるのでしょうか?

(2657) 【参議院選挙(4)】

4.     保守層は、どこに行くのか?

 自民は、リベラルな方向に走り、墓穴をほり、議席を失い続けています。リベラルな政策をとったところで、リベラルが自民に投票することはなく、保守層がどんどん抜け落ちています。リベラルな姿勢を見せると野党の攻撃が和らぎ、保守的な姿勢を見せると野党の攻撃が先鋭化します。自らを守るために、岸田首相や石破首相は、自民を捨ててきたのではないでしょうか。

 その保守層を取り込むために、維新と国民は融和的な動きをしてきました。自民に腹をたてた保守層が一部流れたようですが、居心地は悪いと思います。維新は独自色を出そうとし、国民は連合から支持を受けている政党です。そこに現れたのが参政で、保守層にとっては、居心地がよいでしょう。

 全選挙区に候補者を立てた参政が、自民の票をだいぶ奪っているようです。自民が参政に直接負けることがなくても、票を奪われ他の候補に後れを取って落選したケースが多くありそうです。一方、リベラル化に反応して自民から維新に緊急避難した人たちが、参政に回帰したのが、維新が今回伸び悩んだ理由の一つではないでしょうか。

 選挙結果について意見を聞かれたC極(立民・共産・社民)の党首は、自党については語らず、自民が過半数を割って信任を失ったと語っているが、それは自党の努力ではなく、参政などが自民の票を奪ったからでしょう。C極の票は増えていません。

 ところで、選挙区の結果を見ると、自民単独では負けたものの、自民+参政なら、計算上は当選するところが多あるようです。参政は、自民から票を奪っただけではなく、独自の、そして比較的若い保守層を掘り起こしてようです。自民と参政が票を食い合って共倒れになった面もあるが、保守層の底辺を固めているようにも見えます。C極(立民・共産・社民)としては、A極(自民・公明)が減ったと浮かれている場合ではないように思います。


(2656) 【参議院選挙(3)】

3.     政局はどうなるか

 アメリカとイギリスは2大政党で、交互に政権を担ってきたが、ドイツやフランスやイタリアでは、一つの政党で政権を取ることはできず、連立政権になっています。A極(自民・公明)が過半数を割ると政局が不安定になるとされているが、決して悪いことではないでしょう。

 参議院だけを見ると、

自民+立民+国民=144

自民+立民+維新=141

自民+立民+参政=137

 いずれでも、過半数を制します。国民も維新も参政もキャスティングボード(議会において2大勢力が拮抗していずれも過半数を制することが出来ない時に、第三の少数勢力が決定権を握る状態のこと)を握れます。B極の3党からすれば、A極(自民・公明)との交渉次第で、自党の主張を通せるチャンスがあります。

 一方、A極(自民・公明)から見れば、選ぶことができるようになりました。先には国民に振り回されていた自民だったが、選択肢が増えたことにより、国民があまりに無理な要求をしてきたら、維新や参政に乗り換えることもできるようになりました。

 アメリカ、イギリス、共産国、独裁国を除けば、どの党も過半数に届かないのは、よくあるケースです。日本では大きな変化に見えますが、決して、異常事態ではありません。良くないことが起こったと心配したり、慌てふためいたりする必要はありません。現実を現実と受け止め、できるだけ混乱少なく、新しい状況で良い政治がおこなわれるよう、前に進むことが大切でしょう。

 A・B・Cの3極構造と、B極の中の国民・維新・参政の3極構造の並立(3極&3極構造)は、A極(自民・公明)にとっても、そんなに悪い状態ではないと思います。


(2655) 【参議院選挙(2)】

2.     「与党過半数割れ・政権選択」選挙だったのだろうか?

 

2.1.    「与党過半数割れ」選挙ではなかった

 確かに、与党が過半数割れになりましたが、それは古い発想です。3極体制に移行した選挙となりました。象徴的なのは、B極(国民・維新・参政)合計の議席数(56)が、C極(立民・共産・社民)合計の議席数(47)を上回ったことです。

 2極の時は、立民が自民を攻撃し自民からこぼれた票は、無投票になるか野党側に移りました。しかし、3極になった今回では、立民が自民を攻撃しその票がこぼれたのですが、それがB極に流れてしまいました。

 国民の玉木代表が「対決より解決」というのはその通りだと思います。与党・野党の発想で野党が与党に対決しても、自党の票に上積みされない状況になってきました。自民が自滅しつつあるにもかかわらず、C極(立民・共産・社民)は批判・対決姿勢が表立ち、どう解決しようとしているかが見えにくいので、票が伸び悩んでいるのだと思います。

 

2.2.   「政権選択」選挙ではなかった

 与党が過半数割れになれば、政権が変わるというのも古い発想です。

 まず、立民が共産と手を握っている以上、首班指名でB極(国民・維新・参政)が立民の党首に投票することはありえないでしょう。立民自ら選んだ道なので、しかたありません。B極(国民・維新・参政)としても、立民と組むと、次の選挙に響きそうで、選択する余地は、ないでしょう。

 次に、内閣不信任案を出せば、政権交代のための選挙に持ち込めますが、いまの勢いからすると、立民が伸び悩むか縮み、国民や参政が伸びそうです。野党第一党である立民が、不信任案を提出するとは思えません。

 B極(国民・維新・参政)のどこかがA極(自民・公明)と連立を組むとは考えにくいです。特に、今回伸びた国民と参政は、今後とも伸びしろがあるので、連立に入るのは今後の党勢拡大の妨げになるでしょう。維新も、連立に入ると埋没してしまう恐れがあるので、なかなか決心できないでしょう。

 大連立(自民と立民が組む)は、ありそうにありません。

 石破首相は、予想通り居座りを決めたようです。自民の中に不満があると聞こえてきます。反石破の首相候補を一本化して進めれば、可能性があると思うが、バラバラなのでできないでしょう。野党であるB極(国民・維新・参政)やC極(立民・共産・社民)は陰ながら石破首相をサポートしています。石破首相が続く限り、自民の自己崩壊が進むからです。普通なら飛びつくような石破首相のスキャンダルも、黙って見過ごしました。石破首相は、当面継続になるのではないでしょうか。


(2654) 【参議院選挙(1-2)】

1.3.    構成

 A極とC極が減ってB極が増え、結果として、B極(国民・維新・参政)がC極(立民・共産・社民)を上回りました。

 その結果、与党・野党の2極構造が、A・B・Cの3極構造に移行しました。

 55年体制終焉の、最後のステージに入りました。


 3極の状態を図に示しました。円の面積は、人数に比例します。

 第2極(C極)の立民と共産は調整し、一人区を中心に協力関係にありました。立民と共産と社民は近い関係にあります。一方、第3極(B極)の国民、維新、参政は、競合関係にあり、協力していません。第3極(B極)の中には、さらに、国民、維新、参政の3極があります(3極&3極構造)。

 


(2653) 【参議院選挙(1-1)】

1.     参議院選挙2025結果(各党の獲得議席 全確定)

1.1.    4つの極に分けて整理したものを表に示します

 A極:自民、公明

 B極:国民、維新、参政

 C極:立民、共産、社民

 D極:れいわ、保守、N党、みらい、無所属


1.2.    増減(図示)

 A極(自民・公明)が19人減り、C極(立民・共産・社民)が4人減りました。

 B極(国民・維新・参政)が27人増え、D極(その他)が4増えました。

 従来の既成政党(A・C)の減少と欠員(8人)を、新興勢力のB極とD極が吸収しました。

 単純に言うと、A極とC極が負けて、B極が勝ちました(党別に言うと、自民が大幅減、国民と参政が大幅増、公明と共産が減、立民と社民と維新が横ばい)。




 


2025年5月29日木曜日

(2652) 米の販売価格は下がらないだろう

 随意契約による備蓄米の放出が始まった。

 「62日にも店頭に『5キロ2,000円』の米が並び、市場競争を促し、銘柄米も含む市場全体の価格抑制を図る」ということだが、そんなことは起こらないと思う。

 

 価格の「3層化」が進むと言われている。

  備蓄米(随意契約) 2,160円程度を予測

  備蓄米(競争入札) 3,500円前後

  銘柄米       4,400円超

(いずれも5kg 税込み)

 これは起こるが、備蓄米(競争入札)や銘柄米は値崩れしないだろう。

 

 理由は三つある

(1)高く買った米を安くは売れない

(2)米は生鮮食料品ではないので、急いで売る必要はない

(3)備蓄米(随意契約)は直ぐなくなり、次は出てこない

 

 今回放出される備蓄米は、約30万トンで、年間国内需要量の5%程度だという。

365日 × 5% = 18

 仮に、備蓄米(競争入札)と銘柄米とが全く売れず、備蓄米(随意契約)だけが売れるとして、18日間待てば、備蓄米(競争入札)はなくなる。

 今回の放出が完了すると備蓄米の在庫は半分の30万トンまで減り、すぐ、底をつく可能性がある。即ち、「二の矢はない」。あっても小規模になる。

 

 零細な町の米屋は、米が入手できずに困っている。つまり高値で買ったコメの在庫は、わずかである。

 原価の高い米を抱えこんでいるのはJA農協で、彼らは体力があるから、18日間売れなくても、大きな問題はない。高く買ったものを値下げして売ると赤字が出る。彼らは、値下げするわけがないと思う。私なら、そうする。じっと待つ。

 決論として、値崩れは起こらない。一時的に安い備蓄米(随意契約)が市場に出回るが、備蓄米(競争入札)と銘柄米の値段は、ビクともしない。「バーゲンセール」で終わる。

 

 小泉農相は、スピード感がある。この短時間で、よくぞ進めた。また、石破首相が3,000円台といっているのに、2,000円台で勝負しにきた。その判断は良いと思う。

 ただ、備蓄米(随意契約)『効果』があるのはせいぜい1月程度で、すぐ「昔話」になってしまうだろう。

 

 根本的な解決の片鱗も見えていない。1か月程度の「執行猶予」期間に熟考し、根本的・永続的な解決方法を編み出せるか、小泉農相の手腕がこれから試される。

 

写真は、https://www.sankei.com/article/20250528-L7UTTYN47NMNBGY2S7BV47OFBE/



2025年5月28日水曜日

(2651) 関税(自動車産業を念頭) ~ 素人談義 ~ その11

1.   アメリカのトランプ政権によるハーバード大学の留学生の受け入れ認定の取り消し措置をめぐり、阿部文部科学大臣は今後、措置が実施に移される事態などに備え、日本国内の大学に対し学生の受け入れなどの支援策を検討するよう求めていく考えを示しました。

2.   東京大学では、留学生を一時的に受け入れる方針で、一部の授業の受講を認めるほか、授業の単位が認定されるように履修証明書を発行する予定だということです。

3.   また、大阪大学や北海道大学が受け入れる方向で検討しているほか、東北大学や東京科学大学、早稲田大学も支援に向けた検討を始めているということです。

===「米ハーバード大の措置で文科相国内大学で受け入れ検討を」より。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250527/k10014817781000.html

 

 消極的な位置づけではなく、積極的な位置づけで評価したい。

 消極的な位置づけとは、単に困る学生を助けようとすること。

 アメリカは、世界中から留学生を引き受けることにより知を独占しつつあり、これに対抗するのが、積極的な位置づけ。受け入れられる数に制限はあるが、日本人だけでなく、外国人留学生も受け入れて欲しい。アメリカが独占していた知的人材を取り返そう。他国も同じ動きをすれば、アメリカの知の空洞化が進む。自国主義に走り世界に貢献しようとしないアメリカに知を独占させてはいけない。

 トランプ大統領の暴挙を愚挙にしよう。

 

 古い話だが、石油ショックのとき、エネルギーを海外に依存している日本は、苦境に陥ったが、日本が地道に開発したエネルギー技術や省エネ機器は、その後、世界の市場を席巻した。

 

 少し近い話では、コロナは中国発で自身も大きな被害を受けた。その一方、コロナ支援(中国には豊かな経験がある!?)をするとしてイタリアを取り込み、中国製のワクチン(効果は薄く、副作用が大きいようだが、ファイザー等を買えなかった国からは喉から手を出したいほど欲しい)を提供するといってアフリカ、中南米、アジア諸国などを取り込み、「コロナ」をチャンスに変えた。中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」はこのようにして進められている。

 さらに、怪しげなコロナワクチンを大量に売り、日本には大量のマスクを売り、しっかり儲けた。

 今回のトランプ関税でも、反アメリカの機運に乗じて、「中国圏」を広げようとしている。報道では、トランプ関税で苦境に陥っているように書いている。そういう面もあるが、同時に彼らはチャンスととらえている。実に、したたかだ。

 

 日本では、トランプ関税で被害を受ける中小企業を支援しようという動きがあり、勿論必要なことだが、消極的な位置づけに留まっている。同時に、積極的な位置づけ、トランプ関税を苦しみながらも克服した時、日本の自動車産業がより一層輝く未来を拓きたい。トランプ関税をチャンスとして捉え、日本の未来のために何をすればよいか、知恵を絞らねばならない。今の政治家には、そういう発想に乏しいようだ。

 

 すべてのピンチは、チャンスになる可能性を秘めている。

 「トランプ関税があり、それを克服した結果、日本の自動車産業は、一段と素晴らしいものになった」と近い未来に胸を張って言えるよう、これも古い言葉かもしれないが「産学官連携」して、明るい未来を築いてほしい。



2025年5月25日日曜日

(2650) 自民党は、米の販売価格を値上げしようとしていたのだろうか

 独占禁止法というのがある。「この独占禁止法の目的は,公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。市場メカニズムが正しく機能していれば,事業者は,自らの創意工夫によって,より安くて優れた商品を提供して売上高を伸ばそうとしますし,消費者は,ニーズに合った商品を選択することができ,事業者間の競争によって,消費者の利益が確保されることになります」(公正取引委員会HP)

 

 現行は大手集荷業者を対象とした一般競争入札で、備蓄米が放出されており、全国農業協同組合(JA全農)が9割超を落札していた。まさに、「独禁法違反状態」にある。

 JA全農が一般競争入札で高値をつけたら、他の業者は手出しできない。流通の9割を支配すれば、価格も自在に設定できる。高値で買っても、それ以上の高値で売れ、中間マージンも自由に設定でききる。

 経営に苦しむ米農家から高値で買うなら、それ自体は悪くはない。しかし、米農家から安値で買い取った米(備蓄米)を高値でJA全農に売り、国が儲けて、何をしようとしているのだろうか。米価格の上昇で、米離れが懸念されている。

 

 族議員(特定の政策分野に精通して関連する省庁の政策決定に強い影響力を及ぼし、関連業界の利益を擁護してそれらの代弁者の役割も果たす国会議員の俗称)(Wikipedia)がいて、農林族(族議員の一。農作物の生産や輸入量調整など、農業政策に対し影響力をもつ。農林水産省とのつながりが深い)もいるそうだが、彼ら専門家は何をしているのだろうか。

 彼らは「政策分野に精通」することにより「関連業界の利益を擁護し」、その見返りを票として返してもらう人々だ、と考えると合点がいく。彼らは、日本の農業をよくしていくことに関心がないのだろ。

 

 一方、野党は何をしているのだろうか。「独禁法違反状態」を何故、放置しているのだろうか。自民党離れしているJA全農の票の「おこぼれ」をいただくためには、JA全農の利益に反することを言いたくないのかもしれない。考えすぎだろうか。

 

 政府は備蓄米を小売業者に直接売り渡すことも検討しているが、「配送ルート」を確保できるのかは懸念材料だ。また、多くの小売業者には精米設備がなく、玄米のまま仕入れた備蓄米の取り扱いも困難だ(産経新聞 2025/05/24)。随意契約には、公平性の問題もつきまとう。

 

 野党は江藤拓農林水産大臣を攻撃することに熱心で、それも悪くはないが、もっともっと優先順位の高い課題があるだろう。ここで良い提案をすれば評価も高まるチャンスだと思うのだが、日本の農業を支えるための、知恵も関心も能力もないのだろうか。私の「誤解」をあらためるような行動をとってほしい。

 

 小泉農林水産相は「随意契約」をさかんに言っているが、諸問題の解決とセットにならないと、解決には向かわない。就任早々には難しいかもしれないが、同農林部会長も務めていたそうだ。配送ルートについては、検討しているようだ。困難に立ち向かってほしい。

 

 米不足、米価高騰は悪いことだが、これを機に日本の農業政策が良い方向に向かえば、「禍転じて福となす」ともなりえる。

 

 添付図は、日本農業新聞「備蓄米放出 随意契約でどう変わる?」より。

https://www.agrinews.co.jp/news/index/307967