画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2020年4月11日土曜日

(1935)  コッローディ『ピノッキオの冒険』(2-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
=====
(K1076)  ITリテラシーの高い高齢者が増える <少子高齢化>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/04/k1076.html
=====
 

☆☆
樫木に吊るされて一度は死に、読者の支持によってもう一度物語の中に蘇ったピノッキオ。この悪童が、ファシズム運動の勃興期から、体制としての絶頂期にかけて、あの『クオーレ』を差し置いて人気を博した
☆☆
 
 
第2回  13日放送/ 15日再放送
  タイトル: 嘘からの成長
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
【テキストの項目】

(1)   ピノッキオ、しばり首になる
(2)   聖書になぞらえた解釈
(3)   連載再開と作者のためらい
(4)   ピノッキオの鼻が伸びる
(5)  「鼻が伸びる」が意味すること
 
(6)   不条理な判決が下る
(7)   仙女の死、ジェッペットの消息
(8)   会話を駆使した文体の魅力
(9)   ファシズムの時代とピノッキオ
 
【展開】
(1)   ピノッキオ、しばり首になる
(2)   聖書になぞらえた解釈
(3)   連載再開と作者のためらい
(4)   ピノッキオの鼻が伸びる
(5)  「鼻が伸びる」が意味すること
 以上は、既に書きました。
 
(6)   不条理な判決が下る
 ピノッキオはあのキツネとネコに出くわし、またしても騙され、金貨をすべて盗られてしまいました。ピノッキオは裁判所に駆け込んで詐欺で訴えましたが、裁判官は、「この哀れな者は、金貨を四枚盗まれた。よって、ただちにこの者を捕らえ、牢に入れるよう申し付ける」と不条理な判決で、ピノッキオは四カ月ものあいだ牢屋に入れられることになったのです。
 ここでコッローディは、法というもの人間の恣意によってどのようにでも歪められるのだという痛烈な批判、皮肉を読者に伝えていると考えることもできるでしょう。
 
(7)   仙女の死、ジェッペットの消息
 ピノッキオはいわゆる恩赦で四か月後にようやく解放されます。畑のブドウを盗もうとして農家につかまったが、イタチをつかまえて解放され、ようやく仙女の家に向かいましたが、家見つかりませんでした。大理石の墓の文字で仙女が死んだことを知ったピノッキオは、泣き続けました。
 一羽の大きなハトがやってきて、ジェッペットがピノッキオを探して、海岸から小舟をこぎ出そうとしていると告げます。ハトの背に乗り千キロ離れた海岸に着いたピノッキオは、大波に呑まれようとしているジェッペットを見つけ、助けようと海に飛び込みました。
 
(8)   会話を駆使した文体の魅力
 この物語の最大の魅力のひとつはその文体、とりわけ会話を駆使した見事な文体にある。まずもって会話のテンポのよさなのです。それは、当然ながら物語の運びのテンポのよさに直結します。つまりコッローディは、それを損なうような地の文を極力排して物語を書いている。
 
(9)   ファシズムの時代とピノッキオ
 1922年にムッソリーニを首相とするファシスト政権が成立。その年から『ピノッキオの冒険』がいきなり売れはじめ、わずか2年でミリオンセラーの仲間入りを果たしました。
 『クオーレ』の人気は逆に衰えていきました。愛国的ではあるが博愛主義で古くさい。主人公エンリーコ少年は泣き虫で、たくましいファシスト少年ではない。モダンで、両義的で、多面的で、不断に更新可能な存在であるピノッキオという登場人物こそが、ファシズムの時代の要請とぴたり重なったのです。
 
<出典>
和田忠彦(2020/4)、コッローディ『ピノッキオの冒険』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

0 件のコメント:

コメントを投稿