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2020年12月25日金曜日

(2193)  ブルデュー『ディスタンクシオン』(4-1) / 100分de名著

 

◆ 最新投稿情報

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(K1334)  治療 / 高齢者の鬱病(3) <心の健康>

http://kagayakiken.blogspot.com/2020/12/k1334-3.html

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ブルデューは、選んでいると思っていた趣味は、社会階層と学歴によって位置づけられるとし、そのメカニズムをハビトウス、界、文化資本などの概念を使って描き出し、構造とその構造の生成のしくみを明らかにした

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第4回  28日放送/ 30日再放送

  タイトル: 人生の社会学

 

 

【テキストの項目】

(1)   境界と境界感覚

(2)   あらゆる行為者は合理的である

(3)  「闘争」や「利得」が意味するもの

(4)   他者の合理性

 

(5)  「他者の合理性」を描く日本の社会学者たち

(6)   なぜ立ち上がらないかをまず理解する

(7)   社会には複数の合理性が存在する

(8)   幻想に逃げず現実を直視する

(9)   不自由を知るという自由

 

【展開】

(1)  境界と境界感覚

 彼らは、自分がいまのポジションにいること、他人が自分とは違うあのポジションにいることは「自然なことだ」と考えています。ブルデューは、支配層のこうした見方は「現実の差異を自然化する」と言っています。

 そして、その差異は中間層や下層階級の人びとにも内面化され、「これは自然なものだ」という見方を植えつけています。ブルデューは『ディスタンクシオン』の結論部分で、これを客観的な境界」が「境界の感覚」になっていると説明しています。

 こうして、自分と他者とを区別する境界を感覚として身につけてしまうわけです。この感覚は「秩序関係への賛同」へと転化します。

 

(2)   あらゆる行為者は合理的である

 非常に乱暴にいえば、ハビトウスとは、もっとも広く捉えられた意味での「合理性」ではないでしょうか。冷静で客観的で科学的な合理性ではなく、もつと慣習的で、日常的で、実践的な合理性です。人々がその毎日の生活のなかで、そしてその人生を通じてそれぞれに持つ理由、必然性、動機。あるいは信念や価値観。ハビトゥスを、そのようなものと考えることもできます。

 あらゆる行為者は合理的である。すくなくとも、その合理性をもっとも広い意味で捉えた場合、すべての行為には理由があり、根拠があり、動機があります。

 ブルデューの理論が教えてくれることは、私たちはすべて、それぞれが所属する界や場のなかで、私たち自身が信じる規範や価値にしたがつて、に生きているのだ、ということなのです。

 

(3)  「闘争」や「利得」が意味するもの

 私たちは、ブルデューが好んで使う「利得」「資本」「闘争」という言葉を、もっとも広い意味で理解する必要があります。たしかに私たちは毎日闘争や競争ばかりしているのではありませんが、それでも私たちは、自分たちなりのやり方で、自分たちの人生を「より良いもの」にしようと、必死でがんばっています。ブルデューの闘争や利得という概念は、この、「必死でがんばっている」ぐらいの意味で捉えてほしいと思います。

 ハビトウスや界での闘争の賭け金は、人によってまったく違うのです。ですから、非常に遠い社会的距離を隔てて見た場合に非合理的に見えるような行為選択でも、近寄って詳しく見てみると、そこには「その人なりの理由」があるはずなのです。

 

(4)   他者の合理性

 「他者の合理性」。すべての人の行為や判断には、たとえ私たちにとって簡単に理解できないもの、あるいはまったく受け入れられないようなものでさえ、そこにはその人なりの理由や動機や根拠がある。つまりそれは、その人なりの合理性がある、ということなのです。 … それを調べるのが社会学の役割です。ブルデューは、その合理性を階級格差や象徴闘争のなかに見いだした社会学者でした。

 いずれにせよ、「その人がその人である理由」を、非常に強力な理論で緻密に言語化したのがブルデューの『ディスタンクシオン』です。その晦渋で難解な文体とは裏腹に、彼がやっていたのは実は、人生の社会学なのです。ここで描かれているのは、自分たちなりに自らの人生をより良いものにするために懸命に闘っている人々の物語なのです。

 

 以下は、後日、書きます。

(5)  「他者の合理性」を描く日本の社会学者たち

(6)   なぜ立ち上がらないかをまず理解する

(7)   社会には複数の合理性が存在する

(8)   幻想に逃げず現実を直視する

(9)   不自由を知るという自由

 

<出典>

岸政彦(2020/12)、ブルデュー『ディスタンクシオン』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



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