画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2025年7月26日土曜日

(2666) 【参議院選挙(13)】

 自民党内で、石破首相の退任を求める声と、留任を求める声とが錯綜しています。石破首相のせいで落選したと怒っている人、このままでは次の当選は覚束ないと心配している人や地方組織、ポスト石破を狙う人、過去に因縁のある人は退任を求め、現政権を支えている人たちは留任を求めています。どちらが正しいかではなく、各々の立場が発言を決定づけています。「敗北の責任をとって辞めよ」とか「敗北したが引き続き責任を果たせ」は、単なる飾り言葉です。

 自民党外でも賑やかになってきました。《# 石破やめるな》ハッシュタグが出回り、25日夜には首相官邸前でデモがあり、「石破は頑張れ」「石破は辞めるな」と声を張り上げたそうです。さらに、れいわ新選組の山本太郎代表、社民党のラサール石井氏など、自民党外からも「継投」を望む声が上がっているといいます(産経新聞 2025/07/26)。異様な展開です。

 この謎は、「立場が発言を決定づける」を思い起こせば解けます。れいわも社民も、自民をつぶしたい立場にいます。その立場から継続を望むということは、継続すれば自民はつぶれると考えていると推定されます。賢い彼らは、正しい情勢判断をしていると私は思います。さらに彼らは賢いので「自民党をつぶせ」など無粋なことは言わず、他党の党首が苦しんでいる時にエールを送るという、心温まる対応をしています。

 

 世論調査の位置づけが変わっています。

(1)        (静的)人々がどのように考えているかを調べる

が従来の位置づけでしたが、

(2)       (動的)人々の考えを変えさせる手段であり、調査結果はある意図を表すものである

という要素が入ってきました。世論は観察するものではなく、操作する対象になってきました。SNSの拡散が、それを支えています。

 《# 石破やめるな》には、世論操作の意図があると考えるのは、考えすぎでしょうか。自分の意見を述べることは当然のことであり、大切ですが、本音が分かりにくくなっています。

2025年7月25日金曜日

(2665) 【参議院選挙(12)】

 2025年参議院選挙の結果を、4つの視点から評価してみます。

 まず、比例代表 得票率と選出議員数とを指標として取り上げます。選出議員数は、選出された個人の数での評価で、これから国政がどちらに向かっていくかの、大切な指標になります。一方、党自体の評価は、比例代表率 得票率が重要な指標になります。

 その各々に、今回の絶対値、前回からの増減を組みあわせて評価します。

 

1.     比例代表 得票率

1.1.    今回の絶対値

 高評価:自民、国民、参政、立民

 低評価:改革

1.2.   前回からの増減

 高評価:参政、国民、保守

 低評価:維新、自民

2.    選出議員数

2.1.   今回の絶対値

 高評価:自民、立民

 低評価:~

2.2.  前回からの増減

 高評価:国民、参政

 低評価:公明、自民


 例えば、今回の選挙で「自民は信任されなかった」というのは、間違いです。比例代表 得票率から見ても、選出議員数から見ても、今回最も信任されたのは、自民です。一方、「信任が減った、それもかなり減った」というのも事実です。

 評価の仕方により、評価結果は全然違ったものになります。例えば、立民は、今回の絶対値で見ると選出議員数で2位(自民・立民の順)、比例代表 得票率で4位(自民・国民・参政・立民の順)ですが、前回からの増減で見るといずれも偏差値50を下回っています。自民は、今回の絶対値で見るといずれも1位ですが、前回からの増減で見るといずれも最下位です。

 複数の視点に立ち、総合的に評価することが大切でしょう。






(2664) 【参議院選挙(11)】

 比例代表における、各党の得票率が、前回よりどれだけ、増えたか・減ったか(2022年参議院選挙と結果と、2025年参議院選挙とを比較しています)をベースにして、検討します。以下、数字はまるめています。

 各々の極の増減をみると、増えたのは、B極(国民・維新・参政)が9%増、D1極(保守・誠真)が6%増、D2極(れいわ・みらい等)が4%増でした。減ったのは、A極(自民・公明)が16%減、C極(立民・共産・社民)が3%減でした。

 固定票と浮動票とがあるが、先ず固定票を考えます。A・B・C極は、固定票をもっています。その固定票がどこに流れたかを考えます。A極(自民・公明)の16%減とC極(立民・共産・社民)の3%減は、どこにいってしまったのでしょうか。

 A極が減った票の行先は、D1極(保守・誠真)かB極(国民・維新・参政)でしょう。A極は16%減り、D1極は6%増えているので、残りの10%はB極に流れたのでしょう。岩盤だったはずの保守層の固定票が流出してしまったのだと思います。

 C極が減った票の行先は、見当たりません。C極の固定票は岩盤で、A極にもB極にも流出しないでしょう。国民は右傾化(?)しているので、立民とルーツは同じだが、立民の固定票が流出するとは思えません。でも、3%減っています。消去法で、行先はD2極しかありません。でも、固定票は流出していないでしょう。今回の選挙では投票率が向上し、比例票の合計は12%増えており、これが影響していると思います。即ち、A極に批判的な浮動票を従来はC極が取り込んでいたのだが、今回はD2極が取り込んでしまった。その結果、C極からD極に3%流れたという数字になっているのでしょう。多党化にともない、C極はA極の批判票(主として浮動票)を取り込めなくなった、これが、今回C極が苦戦した理由で、A極とは違います。

 B極はA極から10%取り込んだのに、トータルとして9%しか増えていません。消えた1%はC極と同じ理由で、D2極に流出したのでしょう。

 D2極は、れいわを除いて、固定票をあまり持っていないでしょう。しかし、投票率向上で多量に現れた浮動票を取り込む力があった、だから結果として4%増えたのでしょう。ということは、もしも次回選挙で投票率が下がり、浮動票が減ると、れいわを除きD2極は一気に縮む可能性があります。なお、みらいは今回健闘し、ある程度、固定票をつかめているかもしれません。

 票の動きをまとめると、

(1)  A極(自民・公明)からB極(国民・維新・参政)に10%、D1極(保守・誠真)に6%流出した結果、A極は16%減った

(2) C極(立民・共産・社民)からD2極(れいわ・みらい等)に3%流出した

(3) B極(国民・維新・参政)へは、A極から10%流入したが、D2極に1%流出したため、結局9%増えた

(4) B極内で、維新から7%が国民と参政に流出した

(5) D2極は、浮動票を中心に取り込み、4%増となった



(2663) 【参議院選挙(10)】

 比例代表の獲得票数が増えている政党と、減っている政党があります。減っている政党の票は、何処に行ってしまったのでしょうか。それがわかれば、取り返すヒントになるかもしれません。以下、試算していますが、見積もるための仮定が多く、精度は低いと思います。

 自民は540万票を失いました。行先は、保守、誠真、参政、国民と考え、保守と誠真は全票自民から持ち出したものとし、残りは2:1の割合で、参政、国民に流出したと仮定しました。リベラル化した自民を背後にし、自民の票は、参政、保守など、保守色の強い政党に移動しました。立民が、自民が減ったと喜んでいるのが不思議です。落ちこぼれた票を自分では拾えず、より主張の遠い党が拾っています。

 維新は、346万票を失いました。参政と国民に半分ずつ流出したと仮定しました。

 公明は、97万票失いました。池田大作氏が亡くなったこと、会員の高齢化、自民不調の影響などがあるのでしょう。この票は特定の政党には流れないとして貯金箱に入ったとしました。

 共産は75万票、社民は4万票失いました。これらは浮動票の取りこぼしと仮定し、貯金箱に入ったとしました。

 更に、以上を元に、票の増えた政党が、どこから票を得たかを試算しました。



(2662) 【参議院選挙(9)】

 これまで、第1の民意について述べてきたが、第2の民意について考察します。

 基本データを示します。

 党別にみると、自民、国民、参政、立民、公明、維新の順で、当選議員数では2位だった立民は4位に陥落し、国民、参政が2位、3位を占めます。

 極別に見ると、B極(立民・維新・参政)、A極(自民・公明)、C極(立憲・共産・社民)の順で、

大まかに見ると、3:3:2の割合になっています。

 第1の民意と、ずいぶん違っています。「私の言うことこそ民意だ」という発言をする党があります。それが民意であることは確かですが、例えば立憲の場合、第2の民意から言えば、12.5%(8分の1)の民意に過ぎず、その他に87.5%の民意もあります。 



(2661) 【参議院選挙(8)】

 政治家は好んで「民意」という言葉を使うが、これほど怪しげなものはありません。

 当然、世の中には(国民の中には)様々な意見があります。誰が、どういう基準で、どの意見が、民意だと決めるのでしょうか。そのような基準はありません。Aという意見とBという対立する意見があるとします。世論調査をしたところ、例えば、7割はAが正しいと言い、3割はBが正しいと言ったとします。では、Aが民意であり、Bは民意ではないのでしょうか。二つの新聞社がそれぞれ世論調査をして異なる結果がでた場合、どちらが民意なのでしょうか。先月の調査結果と今月の調査結果が違ったとしたら、ある日を境に、民意がゴロッと変わるのでしょうか。そもそも、民意を世論調査結果で、決めてよいのでしょうか。

 私は、Aも民意だし、Bも民意だと思います。「ある時点での、ある調査によれば、Aという民意は7割の人が支持し、Bという民意は3割の人が支持した」という表現は正しいと思います。一方、「民意は〇〇」であるという言い方は、出来ません。しかし、政治家はいとも簡単に「彼らは民意を無視している」といった発言します。明確な根拠を示さないままに、自分の思い込みを「民意」という言葉で正当化しています。政治家が「民意」という言葉を使ったら、それは怪しいです。

 さて、政治上の民意をどう決めるかというと、選挙が権威を持ちます。ルールに則り、18歳以上の日本国民に意見を聞き、それに基づき、国会議員が決まります。そのようにして決められた国会議員に、意見を戦わせながら政治上の判断をするよう求めます。間接民主主義は、そういう仕組みになっています。選挙の結果、A党が7割、B党が3割の国会議員を輩出したとして、A党の主張も民意であり、B党の主張も民意です。ただ、結果としてはA党の民意がより強く、政治的な判断に影響を与えます。それでよいと思います。

 参議院選挙で、誰に政治を委ねたいかという民意が示されました(第1の民意)。しかし、もう一つ重要な民意が示されています。どの党に政治を委ねたいかという民意が、比例代表の党派別得票数という形で示されています(第2の民意)。そして、第1の民意と、第2の民意は、驚くほど異なります。


2025年7月22日火曜日

(2660) 【参議院選挙(7)】

補足説明(2)

=====

内閣総理大臣指名選挙の手続は、国会法、議院規則、先例に基づいて、以下の通り行っている:

 

1.    衆議院、参議院双方別々に記名投票を行い、各院一名の指名者を決める(過半数の票を得た議員がその院の指名者になる。そのような議員がいなければ、上位2人による決選投票でその院の指名者を決める)。

2.   両院の指名者が一致していれば、その人物を内閣総理大臣に指名する。

3.   一致してなければ、両院協議会を開く。

4.   両院協議会で両院の意見が一致するか、もしくは出席協議委員の3分の2以上の多数を得た被指名者がでたらその人物を内閣総理大臣に指名する。

5.   そうならなかった場合は、衆議院の優越により衆議院の指名者が内閣総理大臣になる。

以上のように、事実上、衆議院議決で過半数を得た候補が内閣総理大臣に指名される。

===== Wikipedia 『内閣総理大臣指名選挙』より

だそうです。

 

 「内閣が総辞職した場合、又は内閣総理大臣が欠けた場合」、内閣総理大臣指名選挙が行われます。第一回目は各々党首を書くので、現状においては過半数の票を得る議員は出てきません。そこで、上位二人として自民党総裁と立憲民主党代表が残ります。A極(自民・公明)は自民党総裁に投票し、C極(立憲・共産・社民は)は立憲民主党代表に投票するので、結局はB極(国民・維新・参政)が決定権を握ります。彼らは、二者択一か棄権しか選択肢がありません。

 B極が立憲民主党代表を選んだら、自民党は政権を失います。

 

 だから、石破首相は辞められないのでしょう。次の総裁に誰がなるかの内輪の問題ではなく、自民党として政権維持に直結します。自民・公明が過半数を握っている場合は、この問題は起こりません。安倍総理が大敗したときに石破首相が辞任を迫ったのがブーメランとして返ってきたと言われていますが、事情が違っています。

 

 河野太郎氏が「総裁が責任を取らないなら、幹事長が責任をとって辞めるべきだ」と主張しました。何を言っているのだろう?と訝しく思っていましたが、なるほど、これなら「だれも責任を取らない」ことにはならず、かつ、内閣総理大臣指名選挙を避けられます(政権喪失のリスクは避けられる)。ただ、石破首相が継投しても、森山幹事長を失うと、もたないでしょう。