自民党の大敗により、参議院では与党が過半数割れに陥りました。その一方、自民党が大敗したにもかかわらず、憲法改正を主張する党の議員数がさらに増え、改憲勢力は3分の2以上を維持しています。
改憲勢力=自民党+国民民主党+公明党+日本維新の会+参政党+日本保守党
参院選前 170 = 114+9+27+18+2+0
参院選後 180 = 101+22+21+19+15+2
では、憲法改正に向かって進み始めるかというと、その兆しはありません。
元立憲民主党代表の枝野幸男氏が衆院憲法審査会の会長として主導する形で進められていること、石破自民党総裁が口では憲法改正といいつつも具体的に進めようとしていないことなどが大きな原因だと思うが、同じ憲法改正と言っても、党によってばらつきが大きいのが現状(*)で、具体的に動けそうにありません。改憲勢力が増えたと言っても、参政党は、創憲(一から憲法を創りなおす)を唱えており、現実的には、憲法改正はさらに遠のいたように思えます。
(*) 憲法論戦、新局面に 自民・立民が主導権争い―参政は復古調創憲案・「深掘り・日本の課題」【25参院選】、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025071800670&g=pol&p=20250718ax10S&rel=pv#goog_rewarded
とはいえ、戦争を辞さない中国、北朝鮮、ロシアがすぐ近くにいます。ウクライナ、パレスチナを見れば、戦争が起こらない保証がないことは、容易にわかります。
ウクライナは先ず核放棄したことから始まり、クリミア半島を奪われ、東部の各州に進軍され、南部にも進軍され、いまは、首都キーウもミサイル・ドローンの爆撃を受けています。侵略の理由はなんとでもつけられます。「ウクライナの非ナチ化」でした。ウクライナの過去に遡って、因縁をつけています。日本も過去に遡れば、日本への侵略の理由はいくらでも作れます。ウソでもよいのですから。
中国は台湾侵攻を画策し、尖閣諸島で中国軍の活動がさらに活発化し、日本のへの領空侵犯、自衛隊機への異常接近が多発しています。南シナ海では島を奪い、軍事基地を作っています。石破首相は、中国に対しては「なめるなよ」とは言わないので、(それだけが原因ではないでしょうが)日本はなめられたままです。もっとなめてもいいよと言っているのと同じです。中国の支配下に入るとどれだけ悲惨なことが起こるかは、チベット、ウイグル、内蒙古、香港を見れば、容易にわかります。
アメリカがどこまで日本を守ってくれるか、怪しいです。尖閣諸島に有事があった場合、日本が軍事行動をおこさない限り、アメリカがリスクを冒してまで来てくれないのではないでしょうか。必死に戦っているウクライナに対してでも冷淡です。勝てる見込みがなければ、トランプ大統領は見捨てます。正義も信義もありません。民主主義を守るより、自国の利益を優先しています。
台湾侵攻と尖閣諸島領有は、セットになるでしょう。どちらかが先なのか、同時なのかはわかりませんが、中国ではカウントダウンが始まっていることでしょう。尖閣諸島は第一歩で、次は沖縄、日本がターゲットになります。尖閣諸島で防衛ラインを堅持することは、日本の安全にとって、とても大切です。島一つの問題ではありません。
でも、日本人は何事もないかのように、動こうとはしません。
「戦争反対」と唱えていたら、戦争は起こらないのでしょうか、攻められることはないのでしょうか。日本が自らを守らないなら、他国は安心して戦争をしかけてきます。何せ、専守防衛なので、何のリスクもなく、攻められます。リスクがあるから、思いとどまることもあります。プーチン大統領は、バイデン大統領が軍事介入しないと確認し、簡単にキエフ(今のキーウ)を制圧できると思ったから侵攻しました。激しい抵抗にあって、間違いだったとわかっても、一度進み始めると、止めるわけにはいきません。そこから泥沼がはじまりました。一度始まると、もう元には戻せません。
憲法前文に「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。そもそも存在していない「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼して「恒久の平和」を得られるのでしょうか。
国を守るためには周到な準備が必要です。ことが起こってからでは、対処できません。
日本の政治家は、どこを見て、何を考えているのでしょうか?
世界情勢を見てないのでしょうか? 気にならないのでしょうか? 心配にならないのでしょうか? 学ばないのでしょうか? 歴史から学ぶつもりはないのでしょうか?
国を守るということは、どうでもよいことなのでしょうか? いけないことなのでしょうか? 日本を守ろうとするのは、軍国主義なのでしょうか?
あまりにも理不尽、荒唐無稽の話で、政治がもてあそばれています。