2020年1月31日金曜日

(1865)  ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(1-1) / 100分de名著

 
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(K1006)  男性の介護休暇 <介護>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1006.html
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第1回  3日放送/ 5日再放送


  タイトル: 「嘘の生」からなる全体主義
 
【テキストの項目】
(1)  チェコの民主化を導いたハヴェル
(2)  「歴史の客体」として翻弄されてきたチェコ
(3)  『力なき者たちの力』執筆の経緯とその影響力
(4)  「ディシデント」としての人生
 
(5)  ポスト全体主義がもたらす思考停止状態
(6)  青果店のスローガンは何を意味するか
(7)  イデオロギーが口実となる
(8)  自発的に体制に奉仕させるシステム
(9)  良心と引き換えに物質的な安定を得る


【展開】
 
(1)  チェコの民主化を導いたハヴェル
 連日デモが繰り返され、学生だけではなく大人たちも加わり、規模も大きくなった。19891210日、グスタフ・フサーク大統領は辞任を表明し、ハヴェルが大統領に選出された。
 この体制転換は、血をほとんど流すことなく、一人の犠牲者も出すことなく、ビロードの生地のようにスムーズに行われたことから「ビロード革命」と呼ばれるようになった。
 
(2)  「歴史の客体」として翻弄されてきたチェコ
 ロシアとドイツの中間に位置するのが「中欧」。これらの諸国民はめったに<歴史>の主体であったことがなく、ほとんどつねに客体だった。
 1968年、「人間の顔をした社会主義」というスローガンを掲げ、「プラハの春」を迎えた。しかし、ワルシャワ条約機構軍が国内に侵攻した。新大統領のもと、「正常化体制」という、より締め付けの厳しい体制が築かれた。
 
(3)  『力なき者たちの力』執筆の経緯とその影響力
 『力なき者たちの力』は文字通り、全体主義体制にあって、自分は「無力」であると感じていた人々に対して、自分には目に見えない「力」があるのだと一縷の希望をもたらした。
 ポーランドの歴史家アタダム・ミフニクは「『力なき者たちの力』は、共産主義の中東欧におけるディシデントの運動の起源について最も念入りに検討されたものであり、その運動の政治哲学であり、精神そのものである」と高く評価した。
 
(4)  「ディシデント」としての人生
 『共産党宣言』の冒頭の一文
<ヨーロッパを幽霊が歩いている。共産主義という幽霊が>
を下敷きにして、『力なき者たちの力』は次の一節から始まる。
<東ヨーロッパを幽霊が歩いている。西側で「ディシデント[反体制派/異論派]」と呼ばれる幽霊が>
 
 以下は、後日、書きます。
(5)  ポスト全体主義がもたらす思考停止状態
(6)  青果店のスローガンは何を意味するか
(7)  イデオロギーが口実となる
(8)  自発的に体制に奉仕させるシステム
(9)  良心と引き換えに物質的な安定を得る
 
<出典>
阿部賢一(2020/2)、ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

(1864)  日本を発信(10)  To Keep China at Bay, Int’l Community Must Shore Up Taiwan’s Democracy and Economy

中国をくい止めるため、国際社会は台湾の民主主義と経済を支えるべきだ


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(K1005) 名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い <認知症>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1005.html
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独立路線を強めていくだろう蔡総統。攻撃的で威圧的な北京の行動には対抗措置を取らねばならない。「それは台湾で終わらないから」。対立激化している香港「一国二制度」、尖閣諸島に侵入し続ける中国公船。同じだ
☆☆
 
 台湾では、今月11日に投開票が行われた総統選挙で現職の蔡英文総統が再選された。台湾に、「一つの中国」を主張する中国は、果たしてどんな手を打ってくるのか-。そして国際社会は、それにどう対処していくべきなのか-。
 
A)   在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長を務めた政治学者のロバート・D・エルドリッヂ氏
B)   米研究所「グローバル・タイワン・インスティテュート」のラッセル・シャオ執行長
C)   デイビッド・ヘルビー米国防次官補代理
 

【展開】

A)   在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長を務めた政治学者のロバート・D・エルドリッヂ氏
  蔡総統が歴史的な大勝を果たした最大要因は、「自分たちが中国人ではなく、台湾人であると覚醒したことが大きい」
   さらに、中国の言う「一国二制度」は香港に対立激化をもたらし、台湾人たちに「今日の香港は、明日の台湾だ」という認識が生まれたことが、勝因だ
   民主主義を守るには、外交、防衛、経済を頂点とした「協力の三角形」という概念が重要である。その中でも、中国からの圧力に対抗するため、台湾の経済を支えていくことがまず大切である
   具体的には、日本などの国々が台湾との自由貿易協定(FTA)を締結することで、中国市場から締め出された台湾を中国以外の世界市場に組み込み、経済面で中国からの依存度を下げよう
 
B)   米研究所「グローバル・タイワン・インスティテュート」のラッセル・シャオ執行長
  ①北京からの一層強硬な圧力②蔡総統の政治力の弱体化-という2つの概念を提示。日米、東南アジア諸国からのより大きな国際的支援が必要だ
  未来については、… もし、北京が蔡総統との関係構築を避けるのなら、米国や日本などの懸念を有する国々が、攻撃的で威圧的な北京の行動への対抗措置を取るか否かにかかってくる。なぜなら、それは台湾で終わらないからだ
 
C)   デイビッド・ヘルビー米国防次官補代理
  台湾海峡の平和と安全が(日米同盟にとって)長年にわたる共通の戦略目標だった
  次の4年間は、日米同盟が将来、太平洋地域の脅威に対処できるのかが、試されることになるだろう(シャオ氏)
 


<出典>
  原文 英語
To Keep China at Bay, Int’l Community Must Shore Up Taiwan’s Democracy and Economy
http://japan-forward.com/to-keep-china-at-bay-intl-community-must-shore-up-taiwans-democracy-and-economy/
 
  新聞記事
アジアで起きること
【JAPAN Forward 日本を発信】 産経新聞(2020/01/27)
https://www.sankei.com/column/news/200127/clm2001270006-n1.html
 
<前回>
 (1846)  日本を発信(9)  ‘Wa’ — Harmony — is Shoko Kanazawa’s 1st Reiwa New Year Kanji for JAPAN Forward Readers
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1846-8-wa-harmony-is-shoko-kanazawas.html

(1863)  ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(0) / 100分de名著

 
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(K1004) 「週休3日・4日」制度で介護離職ゼロへ <介護>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1004.html
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☆☆
1989年、ビロード革命で体制転換が行われたチェコスロヴァキア。大統領になったのが戯曲家のヴァーツラフ・ハヴェル。ハヴェルは、自身の言葉をいかに用いて「生」を「政治」を、「芸術」を捉えていたのか
☆☆
 

100de名著」 ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』が、23()から始まります。Eテレ。

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
講師は、阿部賢一(チェコ文学者、東京大学准教授)
 
 
<全4回のシリーズ>  いずれも2

【はじめに】  ハヴェルの言葉に秘められた「力」
 
第1回  3日放送/ 5日再放送
  タイトル: 「嘘の生」からなる全体主義
 
第2回  10日放送/ 12日再放送
  タイトル: 「真実の生」を求めて
 
第3回  17日放送/ 19日再放送
  タイトル: 並行文化の可能性
 
第4回  24日放送/ 26日再放送
  タイトル: 言葉の力
 


【はじめに】  ハヴェルの言葉に秘められた「力」

 1989年、チェコスロヴァキアは、比較的スムーズに体制転換が行われ(ビロード革命)、大統領になったのが戯曲家のヴァーツラフ・ハヴェルでした。
 
 共産党主導の政治体制がより深く生活に関わっていた、「絶望」的な時代にあったチェコスロヴァキアにおいて、ヴァーツラフ・ハヴェルが著した『力なき者たちの力』を読んだ人々はある思いを抱くようになったようです。もしかしたら自分にも「力」があるかもしれない。
 
 『力なき者たちの力』では、政治が重要な主題になっています。その一方で、人の「生」すべてに関わるような、より広い意味での「政治」も、独自の観点から論じられています。たとえ「政治」を俎上に載せるとしても、文学者ハヴェルは、さまざまな場面で使われている「言葉」を取り上げ、その本質を「言葉」を通して考察し、「言葉」によって表現しています。
 
 「文学者」としてのハヴェルが、自身の言葉をいかに用いて「生」を「政治」を、「芸術」を捉えていたのか。今回この本を読み解いていく目的は、ハヴェルを「政治家」として評価することではありません。
  
<出典>
阿部賢一(2020/2)、ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2020年1月30日木曜日

(1862)  語り継ぐべきは何か / イッテンイチナナカラ(5)

 
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(K1003)  人間の安全保障指数 / 人とのつながりに課題 <地域の再構築><高齢期の仕事>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1003.html
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☆☆
「聞いたことをそのまま伝える」=「語り継ぐ」ではない。内容は必ず劣化する。被災者と同じ感情にはなれないので伝えられるのはわずか。被災者と関わることを通じて変わった、自分の感情や考えも語り継いでほしい
☆☆
 
 (1860)からの続きです。
(1860)  価値観に従うが、価値観に囚われない / イッテンイチナナカラ(4)
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1860-4.html
 
 「風化させてはいけない」「忘れてはいけない」「伝えなければならない」とよく言われます。「阪神・淡路大震災は経験していない世代である大学生」は、被災された方の話を聞いて、その思いを強くしているのではないでしょうか。
 
 
 ところで、語り継ぐべきものとは何でしょうか。単純に考えると、「被災者から聞いたことをそのまま伝える」となりそうです。何が起こったかを言葉で伝えることは、できそうですが、これでは「語り継いだ」とは言えないでしょう。伝えるうちに、必ず内容が劣化します。また、被災者の思いをそのまま感じ取ることはできないので、それを伝えることもできないでしょう。
 学生は、「神戸の震災の教訓を語り継ぐには」という問題意識を持っていたが、「経験していないのに」と言われ、若い世代に伝えられない!と感じたようです。「教訓」は、言語化されているので、被災者の感情を伝えるより、はるかに楽なはずです。それでも、うまくいかないのです。
 


 学生たちの話を聞いていて、私は共通のものを見いだしました。彼らは被災者との接触を通じ、感情が動き、考えが変わったようです。

 聞き取った事実を伝え、聞いた内容を(感情表現も含め)できるだけ加工せずそのまま伝え、教訓の形にして伝える。それはそれで良いと思います。それともう一つ。
 「感情が動き、考えが変わった」。それが何だったのかを言語化し、語り伝えてほしいと、私は思います。他人の話を聞いたことを伝えるだけではなく、自分の中に起こった変化を、自分の言葉で伝える。


 
 そのことにより、聞いた人は、追体験する余地が増えるでしょう。それが、「語り継いだ」ことにつながると私は思います。
 
続く(連続でなく)
 
<出典>
写真は、
https://mainichi.jp/articles/20200120/ddl/k28/040/185000c

2020年1月29日水曜日

(1861) 【来月予告】ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』。【投稿リスト】呉兢『貞観政要』 / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K1002) 「希望大使」任命/認知症でも楽しく <認知症>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1002.html
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【来月予告】 ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』 / 100de名著
 
20202月号 (100de名著)    テキストは、1月25日発売(NHK出版)
ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』。
講師:阿部賢一(東京大学人文社会研究科准教授)
 
「今ここ」を起点に生きよ
 
 チェコの民主化「ビロード革命」を導き、初代大統領となったハヴェル。劇作家である彼が弾圧に屈せず綴ったこのエッセイは、今日でも多くの示唆に富む。全体主義に絡めとられない生き方とは? 多種多様な人々が連帯し立ちあがる時とは? 「真実の生」とは? ―― 壁を突き破る言葉の力を信じ、無血革命を成し遂げたチェコが誇る文人大統領のメッセージを現状の日本に重ねて読み解く。
 


【投稿リスト】 呉兢『貞観政要』

公式解説は、
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/94_gokyo/index.html
 

私が書いたのは、
 
(1833)  呉兢『貞観政要』(0) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/12/1833-0100de.html
 
(1834)  呉兢『貞観政要』(1-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/12/1834-1-1100de.html
 
(1838)  呉兢『貞観政要』(1-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1838-1-2100de.html
 
(1842)  呉兢『貞観政要』(2-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1842-2-1100de.html
 
(1844)  呉兢『貞観政要』(2-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1844-2-2100de.html
 
(1850)  呉兢『貞観政要』(3-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1850-3-1100de.html
 
(1852)  呉兢『貞観政要』(3-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1852-3-2100de.html
 
(1857)  呉兢『貞観政要』(4-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1857-4-1100de.html
 
(1859)  呉兢『貞観政要』(4-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1859-4-2100de.html
 


<出典>
出口治明(2020/1)、呉兢『貞観政要』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


(1860)  価値観に従うが、価値観に囚われない / イッテンイチナナカラ(4)

 
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(K1001)  シニア就労のための環境 <高齢期の仕事>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1001.html
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 (1858)からの続きです。
(1858)  「タニンゴト」と「ジブンゴト」との狭間で / イッテンイチナナカラ(3)
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/1858-3.html
 
☆☆
価値観が伴わないと、震災支援を継続できない。しかし、「震災支援すべき」「ジブンゴトにすべき」「感受性は強くあるべき」と「べき論」がはびこると、おかしくなる。「価値観に従うが、価値観に囚われない」
☆☆
 
 震災支援を続けているということは、それがその人の価値観に合致しているからだと思います。しかし、続けていると、価値観に囚われる人も出てくるようです。
(注) 今回、感じたことではなく、私の経験を踏まえた、一般論です。
 
(1) 「震災支援をすることは良いことで、震災支援をしないのは悪いことだ。震災支援すべきだ」
 ときどき、こういう人がいます。熱心なのは良いのですが、どんなものでしょう。

(2) 「ジブンゴトは良いが、タニンゴトは悪い。タニンゴトではなくジブンゴトにすべきだ」
 「すへきだ」と言われて、ジブンゴトになる訳ではありません。

(3) 「感受性が強いことは良いことで、感受性が弱いのは悪いことだ。感受性が弱い人は強くすべきだ」
 感受性が弱いことは悪いことではありません。一つの性格です。
 
 いずれも、他人に向かうと、批判的あるいは指示的になってしまうことがあります。こうなってしまうと、周囲に不満が蓄積し、人が去って行きます。自分に向かうと、傲慢になったり(私は凄いだろう)、自己卑下や自己否定になったり(できない私は良くない)することもあります。
 
 良い意味で「いいかげん」(良い加減)を大切にしたい。
 
続く(連続でなく)
 
添付図は、

https://www.fleapedia.com/五十音インデックス/い/いい加減とは何か/

2020年1月25日土曜日

(1859)  呉兢『貞観政要』(4-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K1000)  美淑女になるために <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k1000.html
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☆☆
『貞観政要』には、リーダー側の視点「リーダーはどのようにしてフォロワーを動かせばいいのか」と、フォロワー側の視点「フォロワーはどのようにしてリーダーに直言すればいいのか」との双方が描かれている
☆☆
 
第4回  27日放送/ 29日再放送
  タイトル: 組織をどう継続させるか
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
 
【テキストの項目】

(1)   六十歳での起業経験
(2)  「創業」と「守成」はどちらが難しいか
(3)   舟を浮かべるも転覆させるも水しだい
(4)   意見が言えない組織は衰亡する
 
(5)   後継者選びという困難
(6)   有終の美を飾れなくなる十の理由
(7)  『貞観政要』が読み継がれてきた理由
 
【展開】
(1)   六十歳での起業経験
(2)  「創業」と「守成」はどちらが難しいか
(3)   舟を浮かべるも転覆させるも水しだい
(4)   意見が言えない組織は衰亡する
 以上については、既に書きました。
 
(5)  後継者選びという困難
 太宗には優秀な子がいませんでした。優秀な部下の言うことをきく、おとなしい子なら大丈夫と、九番目の男の子・李治を第三代皇帝(高宗)としました。その妻が武則天です。唐の地盤を築いたのは、太宗と武則天です。
 
(6)  有終の美を飾れなくなる十の理由
 魏徴は上表文を書いて太宗を諫めました。太宗が終の美を飾れなくなる十の理由
    駿馬や珍奇な宝物を買い集め、異民族から軽蔑されている
   「人民がきままな行動をするのは仕事がないから」という理由で、軽々しく人民を肉体労働で酷使している
    大宮殿をつくりたがっている
    器量の小さい人や人徳のない人とばかり交流して、徳行の備わった人を遠ざけている
    商工業のみに力を入れて、農業をおろそかにしている
    自分の好き嫌いで人材を登用している
    節操なく、狩猟などの娯楽に興じている
    臣下への礼節をなくし、臣下に接するときの態度がいいかげんになっている
    威張ったり、傲慢になっている。自分の欲望を自制できなくなっている
    天才・謀反への備えがおろそかになっている
 
(7)  『貞観政要』が読み継がれてきた理由
 『貞観政要』には、「リーダーはどのようにしてフォロワーを動かせばいいのか」というリーダー側の視点と、「フォロワーはどのようにしてリーダーに直言すればいいのか」というフォロワー側の視点の双方が描かれています。
 判断に迷うような難しい問題に直面したときには、太宗だったら、魏徴だったら、どう判断するだろう」と考えてみよう。
 
<出典>
出口治明(2020/1)、呉兢『貞観政要』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2020年1月24日金曜日

(1858)  「タニンゴト」と「ジブンゴト」との狭間で / イッテンイチナナカラ(3)

 
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(K0999) 「オタク老人」 <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k0999.html
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☆☆
他人の中にあったタニンゴトが、自分の中に入り込んだ時、ジブンゴトに移行する。「自然発生・侵入型」「意図的・取込み型」の二つのパターンがある。感受性と関係性が、相互に作用しながら、移行が進んでいく
☆☆
 
 (1856)からの続きです。
(1856) 「失われた街」模型復元プロジェクト / イッテンイチナナカラ(2)
http://kagayaki56.blogspot.com/2020/01/18562.html
 
 イベント名『1.17→イッテンイチナナカラ』を決めるのに6時間かかったとのことです。ポストイットに書いた私の質問が取り上げられ、他の候補を教えてもらいました。『 』だけという案もあったのだがそれは却下(私も良いと思うが、それでは仲間内で結束しにくく、方向性も合わせにくい)。「ジブンゴト」というのも有力だったようです。発表を聞いていると、確かに「タニンゴト」から「ジブンゴト」へ、というところに問題意識があったようです。
 
 これは、「阪神・淡路大震災は経験していない世代」特有の問題意識でしょう。自身で震災を体験した人は、そもそも「ジブンゴト」なので、ここには関心がありません。
 
 私の考えを添付図に示します。「タニンゴト」は最初、他人の中にあります。それが私の境界線を突破して、私の中にまで入ると「ジブンゴト」になります。最初「タニンゴト」だったものが「ジブンゴト」に移行します。一方、ずっと「ジブンゴト」に留まることがあり、むしろこちらの方が普通でしょう。
 
 「タニンゴト」が「ジブンゴト」になるというのは、外(他人の中)にあったものが、自分の中に入り込んできたということであり、二つのパターンがあると思います。
(A1) 自然発生・侵入型
(B1) 意図的・取込み型
 
 では、どういう条件が整えば、移行が起こるのでしょうか。移行が起きるのは何故か、移行が起きないのは何故か。
 
 人によって問題意識のありかが違うと思います。典型的には、二つあるでしょう。
(A2) 私は、震災をジブンゴトと感じて活動しています。しかし、周りを見ると、タニンゴトの人が多いようです。どうすれば、(他人に)ジブンゴトと感じてもらえるのでしょうか
(B2) 私は、誘われて震災ボランティアに関わりました。しかし、どうもタニンゴトと感じてしまうのです。どうすれば、(私にとって)ジブンゴトになれるのでしょうか
 
 移行が起こる要因として、(A0)感受性と(B0)関係性との二つあり、その二つの間には相互作用があるように見えます。
(A3) 感受性が強まると、関係性が深まる
(B3) 関係性が深まると、感受性が強まる
 
 この活動に参加するきっかけとして、感受性から入る人と、関係性から入る人がいます。
(A4) 被災された方を見ていると、居ても立っても居られない。活動に参加しよう
(B4) 震災支援活動に、私も参加したい
 
 そして、先ほどの感受性と関係性が相互作用し、強化のスパイラルに入った人々は、活動を継続します。その一方、相互作用が働かない人々は、離脱していきます。
(A5) 活動に参加したものの、しっくりこない。被災された方とうまくコンタクトできない
(B5) 活動に参加したものの、「ジブンゴト」にならない。「タニンゴト」のままだ
 
続く(連続でなく)
 
<イベント>
https://www.city.kobe.lg.jp/a31423/kisyashiryo/570824139498_2.html

2020年1月23日木曜日

(1857)  呉兢『貞観政要』(4-1) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K0998) 「相乗り(ライドシェア)」 <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/01/k0998.html
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☆☆
「君主は舟であり、人民は水である」という。舟は水の上に浮かぶものだが、台風が来て海が荒れたら舟は沈没してしまう。君主と人民、あるいはリーダーとフォロワーの関係も、それと同じ。「人民は恐るべきもの」
☆☆
 
第4回  27日放送/ 29日再放送
  タイトル: 組織をどう継続させるか
 
【テキストの項目】

(1)   六十歳での起業経験
(2)  「創業」と「守成」はどちらが難しいか
(3)   舟を浮かべるも転覆させるも水しだい
(4)   意見が言えない組織は衰亡する
 
(5)   後継者選びという困難
(6)   有終の美を飾れなくなる十の理由
(7)  『貞観政要』が読み継がれてきた理由
 
【展開】
(1)  六十歳での起業経験
 新しい王朝の始祖に、大きな国をつくるという目標を立てて周到に準備した人は皆無です。みんな偶然なのです。たまたま何かのご縁があって一歩を踏み出してみると、あれよあれよという間に反乱軍の大将になって国を建てた。そんな人ばかりです。
 
(2)  「創業」と「守成」はどちらが難しいか
 国を興すという大事業と、それを受け継いで事業の基礎を固めることは、どちらが大変か。房玄齢は創業が、魏徴は守成が難しいと言いました。太宗はどちらの意見も尊重した上で、今は守成の時期だから、これにとくに力を入れようと言い、続いて、臣下全員に対して、ともに努力しようと呼びかけました。時代を読んだ上で、部下に対して公平な態度を示しました。
 
(3)  舟を浮かべるも転覆させるも水しだい
 「君主は舟であり、人民は水である」。舟は水の上に浮かぶものですが、台風が来て海が荒れたら舟は沈没してしまいます。君主と人民、あるいはリーダーとフォロワーの関係も、それと同じです。「人民は恐るべきもの」。
 
(4)  意見が言えない組織は衰亡する
 相手の意見があきらかに間違っているのに、それを指摘すると相手が怒って意固地になったり、相手の面目を潰してしまったりするため、指摘せずに黙ってしまう。こんな状態が続くと、ついには国が滅亡する。


 以下については、後日、書きます。
(5)  後継者選びという困難
(6)  有終の美を飾れなくなる十の理由
(7)  『貞観政要』が読み継がれてきた理由
 
<出典>
出口治明(2020/1)、呉兢『貞観政要』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)