2019年3月31日日曜日

(1559)  マルクス・アウレリウス『自省録』(1-2) / 100分de名著

 
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(K0700)  介護に携わる人の意識の変化 / おいおい展 <介護>
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第1回  1日放送/ 3日再放送


  タイトル: 自分の「内」を見よ
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


語録(添付表と同じ)
 
(01)  我々を守ることができるものは何か。それはただ一つ、哲学だけだ。 (二・一七)
 
(02)  「子どもを失うことがありませんよに」という人がいる。お前はいう。「失うことを恐れないように。 (九・四
 
(03)  プラトンの国家を望むな。わずかでも前進すれば十分だと考えよ。そして、その成果を僅かなものと考えよ。 (九・二九)
 
(04)  早朝に自分に向かっていえ。私は今日もお節介で恩知らずの傲慢な欺瞞的な嫉み深い非社交的な人間に出会うだろう。 (二・一)
 
(05)  彼らは互いに軽蔑し合いながら互いにへつらい合う。そして、相手に優越しようと欲しながら互いに譲り合う。 (一一・一四)
 
(06)   皇帝化させられてしまわないように、染められないように注意せよ。それは現に起こることだから (六・三
 
(07)  お前が今いる状況ほど哲学するために適した生活はないということが、どれだけ明らかに納得されることか。 (一一・七)
 
(08)  肉体のことはすべて川であり、魂のことは夢であり、妄想である。人生は戦いであり、客人の一時の停滞である。後世の評判は忘却である。 (二・一七)
 
(09)  もはや善い人とはいかなるものかを議論するのはきっぱりやめ、実際にそのような人間であること。 (一・一六)
 
(10)  自分の自然と共通の自然とに従ってまっすぐな道を進め。これら二つの道は一つのものだ。 (五・三)
 
(11)  宇宙はいわば国家だ。 (四・四)
 
(12)  私の自然は理性的なものであり国家社会的である。アントニヌスとしての私には国家と祖国はローマで、人間としての私には宇宙がそれに当たる。 (六・四四)
 
(13)  何かを追いかけず、避けもしないで生きる。 (三・七)
 
(14)  起こることすべてを難儀なことに思えても喜んで受け入れよ。 (五・八)
 
(15)  自分に起こり織り込まれたもの(運命)を愛し、歓迎すること。 (三・一六)
 
(16)  お前が何か外にあるもののために苦しんでいるのであれば、お前を悩ますのは、その外なるものそれ自体ではなく、それについてのお前の判断なのだ。 (八・四七)
 
(17)  事物は魂に触れることなく、お前の外に静かにある。苦悩はお前の内なる判断からだけ生じる。 (四・三)
 
(18)  災いはどこにあるのか。災いについてお前の思いなす部分があるところにだ。 (四・三九)
 
(19)  お前を悩ます多くの余計なものは、すべてお前の判断の中にあるので、お前はそれを除去できる。 (九・三二)
 
(20)  虚偽のもの、明晰でない表象を承認しない。 (八・七)
 
(21)  お前の内を掘れ。掘り続ければ、そこには常にほとばしり出ることができる善の泉がある。 (七・五九)
 


<出典>
岸見一郎(2019/4)、マルクス・アウレリウス『自省録』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2019年3月30日土曜日

(1558)  マルクス・アウレリウス『自省録』(1-1) / 100分de名著

 
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(K0699)  中高年ひきこもり61万人 <定年後>
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第1回  1日放送/ 3日再放送

  タイトル: 自分の「内」を見よ
 


【テキストの項目】
(1)   運命に導かれて皇帝に
(2)   奇跡的に残った『自省録』
(3)  『自省録』から浮かび上がるアウレリウス像
(4)   自然に一致して生きる
(5)   善の泉は自分の「内」にある
 

【展開】

(1)  運命に導かれて皇帝に

 マルクス・アウレリウスは121年、ローマの名門家庭に生まれました。賢帝による治世が続き、ローマ帝国が平和と繁栄を謳歌していた時代です。ハドリアヌス皇帝は、幼いアウレリウスをかわいがり、この頃からゆくゆくは皇帝にと目していたようです。
 後継者に指名されたアントニヌス・ピウスはアウレリウスを養子にし、ハドリアヌスが亡くなり帝位を継ぐや、自分の娘であるファウスティナと婚約させ、アウレリウスを次期皇帝に指名します。この時、アウレリウスはまだ18歳でした。
 ピウス帝の死去を受け、アウレリウスは、39歳で帝位を継承します。
(注)ローマ帝国の「五賢帝」:(1)ネルウァ、(2)トラヤヌス、(3)ハドリアヌス、(4)アントニヌス・ピウス、(5)マルクス・アウレリウス。
 

(2)   奇跡的に残った『自省録』

 羊皮紙やパピルスに書かれた写本は脆弱で、物理的に残すことが極めて困難でした。残ったとしても、保存状態が悪くて解読できなかったり、火災や略奪の憂き目に遭うこともあり、今まで伝わってきたのは奇跡的です。
 何よりもこの本が後世に残り長く読み継がれているのは、本書を読んだ人が、後世に伝えるべき価値と普遍性があることを見て取ったからです。
 

(3)  『自省録』から浮かび上がるアウレリウス像

 アウレリウスは、プラトンが理想とした哲人政治を具現化した賢帝といわれます。アウレリウス自身も「哲学者が統治するか、統治者が哲学をするかなら国家は栄える」と語っていたと伝える歴史書もあります。
 国家の正義も個人の正義もすべて、真の意味での哲学からこそ見て取ることができると考えるようになり、政治的権力と哲学的精神が一体化しなければ、国家にも人類にも不幸の止むことはないという哲人王の思想に結実していきます。
 「プラトンの国家を望むな。わずかでも前進すれば十分だと考えよ。そして、その成果を僅かなものと考えよ。」(九・二九)
 

(4)   自然に一致して生きる

 「もはや善い人とはいかなるものかを議論するのはきっぱりやめ、実際にそのような人間であること。」(一○・一六)
 アウレリウスが少年時代から深く傾斜していたのは、古代ギリシャのストア哲学です。ストア哲学は実践の哲学なので、大事なことは善い人に実際になることだという意味です。
 それでは、何を実践するのか。ストアの哲学において最も大切なのは「自然に一致して生きる」ということです。ここでいう自然は、山川草木という普通の意味での自然ではなく、宇宙の秩序を示す法則(理性、ロゴス)を意味しています。
 「自分の自然と共通の自然とに従ってまっすぐ道を進め。これら二つの道は一つのものなのだ。」(五・三)
 共通の自然というのは、宇宙の自然という意味です。宇宙の裡にある人間も、そのロゴスの一片、理性を分かち持っているとアウレリウスは考えます。
 

(5)   善の泉は自分の「内」にある

 「生きることのできるところでは、善く生きることができる。 … 」(五・一六)
 「善く生きる」とは、幸福に生きるということです。「善く」を名詞化した「善」はギリシャ語では道徳的な意味はなく、自分のためになるという意味です。
 人は誰しも幸福を求めています。しかし、幸福であるための手段の選択を誤らないためには、「善の泉」を掘り当てるためには、知的な探求が必要です。
 「他人の心に何が起こっているかに注意を向けないからといって不幸である人は容易に見つからない。他方、自分の心の動きに絶えず注意を向けない人が不幸であることは必然である。」(二・八)
 自分を不幸だと思っている人は、その原因を「外」に求めがちです。自分が不幸なのは、「あの人が意地悪をするから」「家族が協力してくれないから」「上司の理解がないから」というようにです。
 

<出典>
岸見一郎(2019/4)、マルクス・アウレリウス『自省録』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2019年3月29日金曜日

(1557)  「明治の50冊」(41)~(50)のリスト / 「明治の50冊」

 
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(K0698) 「幸せをもたらす因子」は4つある <個人の発達>
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※ 予定の50冊は終わりましたが、「番外編」というのがあるようです。
 
(1498)  (41) 島崎藤村『破戒』 / 「明治の50冊」

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(1505)  (42) 田山花袋『蒲団』 / 「明治の50冊」
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(1516)  (43) 夏目漱石『三四郎』 / 「明治の50冊」
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(1521)  (44) 北原白秋『邪宗門』 / 「明治の50冊」
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(1524)  (45) 森鴎外『ヰタ・セクスアリス』 / 「明治の50冊」
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(1535)  (46) 永井荷風『ふらんす物語』 / 「明治の50冊」
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(1541)  (47) 長塚節『土』 / 「明治の50冊」
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(1543)  (48) 石川啄木『一握の砂』 / 「明治の50冊」
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(1547)  (49) 谷崎潤一郎『秘密』 / 「明治の50冊」
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(1552)  (50) 西田幾多郎『善の研究』 / 「明治の50冊」
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  前回のリストは
(1496)  「明治の50冊」(31)(40)のリスト / 「明治の50冊」
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2019年3月28日木曜日

(1556)  マルクス・アウレリウス『自省録』(0) / 100分de名著

 
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(K0697)  高齢者向け投資手引書 / 老後の資金不足防げ <高齢期の家庭経済>
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  4月の「100de名著」マルクス・アウレリウス『自省録』が、4月1日()から始まります。Eテレ。

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
講師は、岸見一郎(哲学者)
 


<全4回のシリーズ>  いずれも4月

【はじめに】  生きづらい今にこそ読まれるべき針盤の書
 

第1回  1日放送/ 3日再放送
  タイトル: 自分の「内」を見よ
 
第2回  8日放送/10日再放送
  タイトル: 「他者」と共生する
 

第3回 15日放送/17日再放送
  タイトル: 「困難」と向き合う
 

第4回 22日放送/24日再放送
  タイトル: 「今ここ」を生きる
 


【はじめに】 生きづらい今にこそ読まれるべき針盤の書
 
 『自省論』は、前後の脈絡なく、自分の思いを絞り出すように、ひたすら自分内面を見つめ、戒め、己を律する言葉が綴られた手記、個人的なノートです。
 
 書かれたのは、今かから二千年近く前。著者は第十六代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(以下、アウレリウスと略記)です。彼は絶頂期のローマ帝国を治めた名君の一人で、約二百年続いた繁栄と平和に陰りが見え始めた時期の難しい舵取りを担った賢帝です。
 
 アウレリウスは、皇帝の地位も、宮廷での華やかな暮らしも望んではいませんでした。彼の心が求めていたのは、少年時代から深く傾斜していた哲学でした。皇位に就き、学問としての哲学を探求する道は絶たれてしまいましたが、多忙な公務の合間を縫って内省し、哲学の示すところを実践するよう自分に言い聞かせていたのです。
 

 お前がこんな目に逢うのは当然だ。今日善くなるよりも、明日善くなろうとしているからだ。  (八・二二)
 
 「お前は――」とアウレリウスが自身に語りかけた言葉は、読者である「私」たちに向けられているようにも聞こえます。
 

<出典>
岸見一郎(2019/4)、マルクス・アウレリウス『自省録』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2019年3月27日水曜日

(1555) 【来月予告】:マルクス・アウレリウス『自省録』。【投稿リスト】「夏目漱石スペシャル」 / 100分de名著

 
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(K0696)  有酸素運動と筋トレ <体の健康><脳の健康>
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【来月予告】 マルクス・アウレリウス『自省録』 / 100de名著

 
 2019年4月号 (100de名著)    テキストは、3月25日発売(NHK出版)
マルクス・アウレリウス『自省録』。講師:岸見一郎(哲学者)
 悩める現代人の「処方箋」
 
 第16代ローマ皇帝によって書かれた本書は、二千年後を生きる私たちの心を震わせ、またときに戒め、励まし、安寧をもたらす言葉に満ちている――。数々の名言はどのようにして生まれ、それをどう読み解けばいいのか。アドラー心理学の泰斗が稀代の名著を懊悩する現代人に「処方」する。
 


【投稿リスト】 「夏目漱石スペシャル」

公式解説は、
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/85_souseki/index.html#box04
 

私が書いたのは、
 
(1527)  夏目漱石スペシャル(0) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/02/1527-0100de.html
 
(1529)  夏目漱石スペシャル(1-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1529-1-1100de.html
 
(1530)  夏目漱石スペシャル(1-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1530-1-2100de.html
 
(1534)  夏目漱石スペシャル(2-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1534-2-1100de.html
 
(1536)  夏目漱石スペシャル(2-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1536-2-2100de.html
 
(1538)  夏目漱石スペシャル(3-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1538-3-1100de.html
 
(1539)  夏目漱石スペシャル(3-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1539-3-2100de.html
 
(1545)  夏目漱石スペシャル(4-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1545-4-1100de.html
 
(1548)  夏目漱石スペシャル(4-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/03/1548-4-2100de.html
 


<出典>
阿部公彦(2019/3)、「夏目漱石スペシャル」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2019年3月26日火曜日

(1554)  擁護と提案 / 大阪メトロ サイト誤訳(7)

 
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(K0695)  早く死ねるワースト20 <体の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/03/k0695-20.html
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 今回の「大阪メトロ サイト誤訳」は、必ずしも単純な手抜きとはいえないようだ。
 
===== 引用はじめ
 大阪メトロは昨年9月ごろ、日本語ページの新着情報を自動翻訳し、外国語ページに掲載する仕組みを導入した。同社の広報担当者は「それまでの外国語ページは、観光情報などの限られたページのみを作り込んで掲載していた」というが、訪日観光客の増加を受け、新着情報や運行情報などもリアルタイムで提供しようと、米Microsoftの自動翻訳ソフトを導入した。
 しかし「トップページや駅構内図などのページはチェックしていたものの、日々更新されていく情報までは確認が追い付いていなかった」という。19日現在、ページ全体の見直しを進めているが、再公開のめどは立っていない。
===== 引用おわり
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/19/news072.html
 
 「新着情報をリアルタイムでお知らせするため、自動翻訳を採用しています。一部誤訳があるかもしれません。ご容赦ください」と書いておけば良かった。書かないなら、チェックすべきだった。
 


 今回の誤訳の責任をマイクロソフト自動翻訳に負わせててはいけない。また、担当者に負わせてもいけない。そんなことをしていたのでは、同じことを繰り返すだけだ。
 


 改善提案としては、次のようなものがある。

===== 引用はじめ
 大阪メトロに推奨されるのは、「やさしい英語」でサイトを構築し、それを自動翻訳にかけて中国語・韓国語・タイ語でも情報提供するという方法である。翻訳は1回しか行われないので、誤訳が積み重なることはない。
===== 引用おわり
http://agora-web.jp/archives/2037916.html
 
 賛成する。関係代名詞など使わない「やさしい英語」にすれば、誤訳が少なくなる<(1550)参照>。日本人が日本語で書くとついつい「むずかしい日本語」になるが、日本人が英語で書くと「やさしい英語」になるのではないか。単純に書いていけばよい。大きな間違いは、和訳した日本語でチェックできる。
 
 英語以外の訳のチェックは、更に難しい。少しでも誤訳を減らしたい。
 
 「大阪メトロでは中国語・韓国語・タイ語でも情報提供している。日本語からこれらの言語に直接翻訳するのではなくて英語を介して翻訳した場合には、英語化での誤訳と、他の言語化する際の誤訳が積み重なる恐れがある。」「研究者の多くは自国語と英語の間での自動翻訳について研究しており、英語以外の言語間の自動翻訳の研究は少ないので、誤訳が積み重なる可能性は高い。」
 


 この事件を面白おかしく笑ったり、馬鹿にしたりしているだけでは、何も良くなっていかない。自分の楽しみの為に他人の間違いがあるわけではない。
 
 世の中に無意味なものは、何一つない。失敗を生かそうという意欲がないとき、失敗は失敗のまま放置される。
 

 このシリーズは、終わり。

(1553)  駅名をどう訳すか / 大阪メトロ サイト誤訳(6)

 
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(K0694)  ダンス体操(USA氏) <体の健康><脳の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/03/k0694.html
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 大阪メトロの誤訳で問題視されているのは、地名・駅名の訳し方である。
 
  「堺筋」→「Sakai muscle」(堺 筋肉)
 「堺筋(さかいすじ)は、大阪府大阪市中心部の南北幹線道路」(Wikipedia『堺筋』)だから、「筋」は「筋肉」の「筋」ではない。”Sakai Road”とか“Saksi Street”なら救いがあった。
 
  駅名の「天下茶屋」 → 「World Teahouse」
 「住吉神社を参拝した関白・豊臣秀吉がこの地に立寄り、この芽木家の茶店から清泉を汲んでお伴の千利休に茶を点てさせたところ、味の良さに感激。 … 関白殿下の「殿下茶屋」、天下人の「天下茶屋」などの名が知られるようになったという」(Wikipedia『天下茶屋』)。歴史的にみると”Teahouse”は間違いとは言えないが、今更”World Teahouse”にお茶を飲みに困れても困る。
 
 
 悪くはないが、残念。
 一方、こうすれば良いなと思うのが、添付写真。
 
===== 引用はじめ
 英語での駅名は「Kokkaigi Jidomae」これだけだと良く日本にある光景ですが、この駅の場合、下部に補足「National Diet Building」と、英語の意味もきちんと記載しています。この手法、日本に合うやり方でとてもよい事例だと思います。
===== 引用おわり
http://tokyo-creator.hatenablog.com/entry/2014/11/05/164228
 

 「National Diet Building」に行きたい外国人は安心してこの駅で降りられるが、「Kokkaigi Jidomae」では、さっぱりわからないだろう。
 

 大阪地下鉄では、
 緑地公園(Ryokuchi Park または Parkland)、動物園前(Tennoji Zoo)、住之江公園(Suminoe Park)、大阪港(Osaka Port)、大阪ビジネスパーhOsaka Business Park)、ドーム前千代崎(Kyocera Dome Osaka)、コスモスクエア(Cosmo Square)、トレードセンター前(Asia & Pacific Trade Center)、フェリーターミナル(Ferry Terminal)など、ローマ字だけでなく意味の分かる英語を併記してはどうか。
 
 「大阪もますます国際都市になる。これを機に見直せた。失敗したけれど、良いこともあった」と言えるようにしてほしい。

2019年3月25日月曜日

(1552)  (50) 西田幾多郎『善の研究』 / 「明治の50冊」

 
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(K0693) 「臨床美術」 認知症予防、感性引き出す効果も <脳の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/03/k0693.html
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1.   どんな本か
1.1.  「純粋経験」「実在」「善」「宗教」の4編からなる
1.2.   西田幾多郎が40歳のとき出版。すぐ絶版になった
1.3.   しかしやがて、苦悩を抱えていた旧制高校生にとって必読の書となった
 
2.   エリート青年たちの哲学的苦悩
 
3.    純粋経験とは何か
 
4.    善とは何か
 
5.    この本の価値
5.1.   二元論的発想の呪縛からの解放
5.2.   チャレンジに値する本
 


【展開】

1.   どんな本か

1.1.  「純粋経験」「実在」「善」「宗教」の4編からなる
 『善の研究』は明治44(1911)年、弘道館という出版社から刊行された。
 
1.2.  西田幾多郎が40歳のとき出版。すぐ絶版になった
 前年に西田は京都帝大助教授となっていたものの、まだ無名の哲学徒の著作は注目されることもなく、ほどなく絶版となった。
 
1.3.  しかしやがて、苦悩を抱えていた旧制高校生にとって必読の書となった
   西田幾多郎『善の研究』
   倉田百三『愛と認識との出発』 … 『善の研究』を絶賛した
   阿部次郎『三太郎の日記』
 

2.   エリート青年たちの哲学的苦悩
 エリート青年たちの関心は国家から自分の内面へと向けられ、自分とは何者か、いかに生きるべきかといった哲学的苦悩にさいなまれるようになった。
 

3.   純粋経験とは何か
 通常は、まず私が存在し、私の意識がさまざまな経験をすると考える。
 ところが、西田は最初に経験があると考えるのだ。ここでいう経験とは、たとえば夕日を目にして「はっ」と感じた刹那の、私の判断がまだ何も働いていない、主観と客観がひとつとなった状態の経験だ。これを純粋経験という。
 これを核にして「美しい」とか「懐かしい」とか感じる私の意識が生じる。西田は愛も、私と他者がひとつになる純粋経験だという。
 純粋経験とは、客体への共感・共鳴と言い換えることができるだろう。共感・共鳴から人間の意識は生まれ発展してゆくのだ。
 

4.   善とは何か
 《善とは自己の発展完成である》。宇宙はあるひとつのものから分かれて発展し、大いなる統一に向かって変化を続けていると考える西田によれば、この法則に従うことこそが善であり、それは純粋経験(共感・共鳴)においてこそ実現されるというのである。
 

5.   この本の価値

5.1.  二元論的発想の呪縛からの解放
 主客、自他といった二元論的発想の呪縛から私たちを解き放ち、他者といかに切り結んでゆくか、という発想に導いてくれる
 
5.2.  チャレンジに値する本
 世界を見る前提や常識を問い直すと、世界や人間の新たな可能性が発見できるかもしれない。そのことを『善の研究』は思考の過程を見せながら教えてくれます。若い人にぜひチャレンジしてほしい
 


【プロフィル】西田幾多郎(にしだ・きたろう)
 明治3(1870)年、加賀国河北郡(現石川県かほく市)生まれ。第四高等中学校中退、帝国大学哲学科選科を卒業。山口高、四高、学習院の教授をへて43年に京都帝大助教授、3年後に教授。西洋の借り物ではない独自の哲学を打ち立てる。四高の同級生だった仏教哲学者の鈴木大拙とは終生交流を続け、後に哲学者となる西谷啓治、三木清、下村寅太郎らを指導。昭和20年6月死去。
 


<引用>
西田幾多郎『善の研究』 苦悩する旧制高生必読の書
【明治の50冊】 50  産経新聞(2019/03/25)
 
(50)西田幾多郎『善の研究』 苦悩する旧制高生必読の書
https://www.sankei.com/life/news/190325/lif1903250008-n1.html