2019年2月21日木曜日

(1520)  オルテガ「大衆の反逆」(4-1) / 100分de名著


      最新投稿情報
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(K0661) 「健康寿命」を歩いて延ばす(4) クアオルト健康ウォーキング <体の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/02/k06614.html
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第4回  25日放送/ 27日再放送

  タイトル:「保守」とは何か
 

【テキストの項目】
(1)   人間は、不完全で有限な存在である
(2)  「永遠の微調整」を続ける
(3)   中間共同体と民主制
(4)   マスメディアの発達が民主主義を破壊する
 
(5)   懐疑することを懐疑しない
(6)  「自民族中心」の思想こそ大衆主義の典型
(7)   数理経済学から保守思想へ
(8)   日本の「保守」と呼ばれる人たち
(9)   新たな社会的包摂をどうつくるか
(10)ボンディングとブリッング
 


【展開】

(1)   人間は、不完全で有限な存在である

 オルテガという人を理解するには、「保守思想の父」とも言われるエドマンド・バーグを見ておく必要がある。オルテガは、彼の思想の延長上に位置付けられる人だと考えるからです。
 不完全性を抱えた、間違いやすく誤謬に満ちあふれた存在であるということが、私たち有限なる人間の普遍的な姿ではないか、とバークはとらえるのです。
 バークは人間の理性による設計で世の中を進歩させるという考え方を強く批判しました。つまり、計画やイデオロギーに沿って進めばすべてうまくいく、という革命派の発想を嫌ったのです。
 

(2)  「永遠の微調整」を続ける

 バークはまた、「復古」「反動」「進歩」のいずれの主義に対しても懐疑的でした。
 範を求めるべきは、「過去」の厚みの中だという。それを踏まえ、多くの無名の人たちが積み上げた経験値に学びながら、漸進的な改革をしていこうというのが保守の思想です。
 バークは「 Reform to Conserve (保守するための改革)」という言い方をしています。大切なものを変わらず守るためには変わっていかなくてはならないという発想なのです。
 私たちが担うべき改革のための作業は、その過去から相続した歴史的財産に対する「永遠の微調整」なのです。この「微調整」をずっと続けていくというのが、バークの思想のエッセンスであり、保守思想そのものなのです。
 

(3)   中間共同体と民主制

 既に書きました。
(K0641) 「中間領域」 (1) トクビィル <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/01/k06411.html
 

(4)   マスメディアの発達が民主主義を破壊する

 マスメディア支配の時代がやってくる。大手のマスメディアが発展していくと、人々は中間領域に参加しなくなって、デモクラシーはいずれ破綻するとトクヴィルは主張しました。
 「多数者の専制」が起こる。中間領域に参加せず、扇動的で画一的なマスメディアの情報だけを受容するような人たちは、多数者の欲望をうまくすくい取って代弁する政治家が出てきたときに、その甘い言葉に飛びついてしまう。さらに、その動きがメディアを通じて増幅され、いまでいうポピュラリズムのような状況が生まれることで、デモクラシーは破綻に向かうだろうというのが彼の主張なのです。
 イギリスのEU離脱はこの典型だと私(藤波)は思います。「こんなバカげた提案が通るはずがない」と離脱推進派さえ思っていた案が勝ってしまったので、とんでもない状況に陥っている。国全体の利益を考える視点も裏付け知識も持たない「大衆」が政治を誤らせてしまった。日本にとっても、他人ごとではないと思います。
 


以下は、後に書きます。

(5)    懐疑することを懐疑しない
(6)  「自民族中心」の思想こそ大衆主義の典型
(7)    数理経済学から保守思想へ
(8)    日本の「保守」と呼ばれる人たち
(9)    新たな社会的包摂をどうつくるか
(10)ボンディングとブリッング
 


<出典>
中島岳志(2019/2)、オルテガ「大衆の反逆」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


添付写真は、以下より転載。
https://www.youtube.com/watch?v=fq3roy9ddkw


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