2018年4月30日月曜日

(1224) 「生きがい」に出合うために/ 神谷美恵子『生きがいについて』(0) / 100分de名著

 
      最新投稿情報
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(K0365)  若年性認知症就業(1) ~ その意味するところ <脳の健康><インクルーシブ社会>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/04/k0365-1.html
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5月の「100de名著」、神谷美恵子『生きがいについて』が、5月7日()から始まる。
Eテレ。

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 

<全4回のシリーズ>  いずれも5月

はじめに  「生きがい」に出合うために

第1回  7日放送/ 9日再放送
  タイトル: 生きがいとは何か

第2回 14日放送/16日再放送
  タイトル: 無名のものたちに照らされて

第3回 21日放送/23日再放送
  タイトル: 生きがいを奪い去るもの

第4回 28日放送/30日再放送
  タイトル: 人間の根底を支えるもの




 「生きがいとは、‥‥である」といった明確な定義は示されていない。
 
1.   「生きがい」とは、生きる意味であり、将来への期待であり、今、ここで行われる挑戦であり、また、知らない間に育んできたものの現われでもある
 

2.   「生きがい」は作り上げるものではなく発見すべきものである

2.1.  「生きがい」は人間が努力して一から作り上げるものではなく、発見すべきものである
2.2.  「生きがい」の発見は、自分が何か大きなものに包まれているという実感から始まる
2.3.  その「大いなるもの」をさまざまな言葉で表現している。「大地」もその一つである。それを「自然」と書くこともある

3.   私たち一人ひとりが、自分で心の底から「生きがい」だと感じられるものに出合うことが最も重要である
 
4.   「生きがい」と呼ぶべきものは、人間が、生きようと強く感じるときよりもむしろ、生かされていると感じるところにその姿を現す
 
5.   「生きがい」は、社会や人が作り出すものであるより、もっと深い意味で「自然」が与えてくれるものである
 
6.   野に一輪の花を見るように、また、さえずる鳥の声を全身で引き受けようとするときのように、私たちが隣人の言葉と向き合うとき、眠れる「生きがい」が何ものかによって照らし出される
 
7.   「生きがい」は、悲しみや苦しみの経験の中で芽吹き、花開かせる
 
8.   人は、大地の上で生きているのではなく大地に「生かされて」いるのではないか。「生きがい」とは、大地が与えてくれているものを発見することなのではないか
 
 

 同じことを繰り返し述べているようで、微妙に違う。
 

 最も繰り返されているのは、「人間が努力して一から作り上げるものではなく」(2.1)、「社会や人が作り出すもの」(2.5)でない、ということである。では、人はどのように「生きがい」と出会うのかというと「発見すべきものである(2.1)」。つまり、「生きがい」は、どこかに既にあるのである。
 
l  発見は、自分が何か大きなものに包まれているという実感から始まる(2.2)
l  自分で心の底から「生きがい」だと感じられるものに出合う(3)
l  生かされていると感じるところにその姿を現す(4)
l  もっと深い意味で「自然」が与えてくれる(5)
l  眠れる「生きがい」が何ものかによって照らし出される(6)
l  悲しみや苦しみの経験の中で芽吹き、花開かせる(7)
l  大地が与えてくれているものを発見する(8)


 このすべてに「自然」「大地」「土」が関係してくる。
 

 「悲しみや苦しみの経験の中」が、何故「自然」に関係するのか。
詩人である志樹逸馬の「土壌」と題する作品「土壌」に「悲しみを腐敗させていく」というフレーズがある。

===== 引用はじめ
 悲しみは、落ち葉のように「土」に舞い降りる。 … 私たちは、それは「土」が新生するためになくてはならないものであることを知っています。ここでの「土」は、世界そのものを示しています。この世界は、個々の人間のそれぞれの悲しみによって支えられ、育まれるというのです。
===== 引用おわり
 


 大切なキーワード「生かされる」も、「自然」と関わっている。

l  人間が、生きようと強く感じるときよりもむしろ、生かされていると感じるところにその姿を現す
l  人は、大地の上で生きているのではなく大地に「生かされて」いるのではないか。
 


 最後に、そもそも「自然」とは何か。

===== 引用はじめ
 社会をはなれて自然にかえるとき、そのときにのみ人間は未来の人間性にかえることができるというルソーのあの主張は、根本的に正しいに違いない(神谷)

 ルソーは、悩める同時代人にむかって、自然に還れと言いました。それは、原始的な生活をすることを意味しません。自然とのつながりを感じながら生きることを指します。
 ここで見過ごしてはならないのは、ルソーと神谷が、人間もまた「自然」の一部であることをよく理解しつつ、そう述べていることです。山川草木や花鳥風月との真の関係を取り戻すとき、私たちは同時に、本来の自分も他者との関係も取り戻すことが出来る。
===== 引用おわり
 


出典
若松英輔(2018/5)、神谷美恵子『生きがいについて』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付図は、この本からの転載


 

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