2018年2月5日月曜日

(1140) 演劇的な「キャラ」たち /ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』 (1-2)


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(K0281)  「自立」と「尊厳」 <インクルーシブ社会>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/02/k0281.html
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第1回 2月5日放送/2月7日再放送
月曜日   午後 10:25~10:50

()水曜日 午前 05:30~05:55
      午後 00:00~00:25

 

 今回は、演劇的な「キャラ」たち について

(1) 4人の代表的な登場人物
(2) 神話分析
 

【各論】

(1) 4人の代表的な登場人物
 主要な登場人物を添付図に示します。そのうち4人の代表的な登場人物を簡単に紹介します。

  クロード・フロロ
 ノートル=ダム大聖堂の司教補佐。36歳。ブルジョワの出身ながら幼いときから僧職を志し、真面目に勉学に打ち込む学徒となった。ノートル=ダム大聖堂の司祭となって身を僧職に捧げる。あるとき、大聖堂で異形の捨て子を拾い、カジモドと名づけて、これを育てることにする。禁欲的に学問を追求するきわめて知的な聖職者だが、絶世の美女である踊り子エスメラルダに魅了され、叶わぬ恋と嫉妬の炎に身を焦がす。欲望の抑制を運命づけられながら、エスメラルダへの強い愛に翻弄されるという宿命を負った矛盾の塊のようなキャラである。
 

  カジモド
 ノートル=ダム大聖堂の鐘番。20歳。外見は怪物のようだが、清い心の持ち主。義父クロード・フロロに犬のように忠実に仕えるが、エスメラルダと出会い、本能的な愛を感じることにより、しだいに自我に目覚めてゆく。
 

  エスメラルダ
 ジプシーの踊り子。16歳。いつもシャリという可愛い子ヤギを連れている。官能的な見かけと反対に、清らかで純真な心をもち、エロスと少女性を兼ね備える。彼女もまた孤児で、幼い頃に生き別れた親を探している。社会的階層は低いが野性味に溢れた情熱的な美女という「掃き溜めに咲いたバラ一輪」的キャラ。
 

  フェビュス
 王室射手隊の隊長。「女という女はみんな、ついふらふらとなるタイプの美男子」だが、内容は空っぽで、虚栄心が強いだけの洒落者。名家の娘フルール=ド=リという婚約者がいる。エスメラルダに恋され、遊び半分で誘惑するが、嫉妬したフロロに殺されそうになる。

 

(2) 神話分析

 ユゴーの小説は、小説分析というよりも、むしろ神話分析の観点から、レヴィ=ストロースの文化人類学的観点から考察されなければなりません。

 神話分析では、神話を神話素(ミテーム)という最小単位にまで細分化し、この神話素の順列組み合わせが、それぞれの民族や部族の神話を構成していると見なす分析方法です。神話素はアル(+)・ナシ(-)の二項対立で処理されます。

 主役級の4人のキャラに精神分析を応用してみましょう。神話素となるのは美貌、性格、地位身分、知性、身体能力、愛情などですが、これをプラス、マイナスの二項対立でリストをつくってみると添付図のようになります。

 

出典
鹿島茂(2018/2)、ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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