2017年3月31日金曜日

(829) 理想には現実を変える力がある/人生論ノート(1-1)


~ 『100分で名著』 4月3日() 22:25 22:50 Eテレ 放映 ~
※ すみません。放送日を間違えていたので訂正しました。「4月3日(月)放映」が正しい。
   なお、4月5日 05:30-05:55,12:00-12:25 に再放送があります。

(1)    人生論ノート
(2)    理想

 
<各論>

(1)    人生論ノート

三木が『人生論ノート』で取り上げたテーマを掲載順に追うと、次のようになる

1938年 「死」「幸福」「懐疑」

1939年 「習慣」「虚栄」「名誉心」「怒」「人間の条件」

1940年 「孤独」「嫉妬」「成功」「瞑想」

1941年 「噂」「利己主義」「健康」「秩序」「感傷」「仮説」「偽善」「娯楽」「希望」

 
 なお、創元社からの単行本では「仮説」の後ろに「旅」「個性」の2題と後記が加えられていた。戦後に編まれた新潮文庫版には、「偽善」「娯楽」「希望」の3題が追加されていた。
 
 「人生とは何か」「人はいかに生きるべきか」考えるとき、人生の中で誰もが一度は突き当たる問題が並んでいる。

 
 
(2)    理想

===== 引用 はじめ ( P.19

 世間には「夢のようなことばかり言っていないで」と諭す人もいますが、夢は人生を拓く原動力です。「それは理想論だよ」と鼻白む人もありますが、理想には現実を変える力があります。現状を観察・分析し、それを追認するだけの哲学が少なくありませんが、理想を掲げることで哲学は初めて現実を変える力を持つのです。三木は『人生論ノート』で、そうした理想を私たちに示してくれています。

===== 引用 おわり

 私自身は、理想を追うことが多く、その時には周囲と歩調が合わなくなる。

 思うに、「60%の合格点」で(が)よいと考えている人にとっては、理想は要らないし、むしろ邪魔だろう。なぜなら。理想は、負担を増やし、時間を取り、効率を下げるから。

 「ギリギリの合格点より更に質を高めたい」「今の枠組みにこだわらず、よりよいものを目指したい」と志すなら、どうしても理想が必要になる。ここを追い求めるから、私は理想にこだわり、効率が悪くなり、余分に時間を取られ、余分な労力を費やす。それでもかまわないと本人は思っている。そういう生き方もあってよいだろう。

 
引用:
岸見一郎(2017/4)、三木清『人生論ノート』、100de名著、NHKテキスト
写真:三木清

2017年3月30日木曜日

(828)  著者のリスト / 「あらすじ名作劇劇場」まとめ(4)


「紹介した本」(BS朝日『あらすじ名作劇劇場』で紹介された本のうち、私がFacebookBlogで紹介した本)の著者のリストを示す。

どこで紹介されたかは、下記参照
https://drive.google.com/file/d/0B6rbwweneswVTXRRaXlSSlowNVE/view?usp=sharing

参照するときには、Blogが便利

 

著者のリスト  五十音順

    相田みつを、芥川龍之介、安倍公房、有島武郎、アンデルセン、泉鏡花、イソップ、ジーン・ウェブスター、ジュール・ヴェルヌ、江戸川乱歩、太安万侶、小川未明、尾崎紅葉

    貝原益軒、カフカ、川端康成、グリム、ゲーテ、ゴーリキイ

    西條八十、シェイクスピア、鈴木三重吉、スタンダール、清少納言

    太宰治、谷崎潤一郎、アントン・チェーホフ、近松門左衛門、マーク・トウェイン、フョードル・ドストエフスキー、レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ

    夏目漱石

    フランシス・ホジソン・バーネット、浜田廣介、バルザック、樋口一葉、二葉亭四迷、マーシャ・ブラウン、エミリー・ブロンテ、ルドウィッヒ・ベーメルマンス、ヘルマン・ヘッセ、エドガー・アラン・ポー、ライマン・フランク・ボーム

    松尾芭蕉、宮沢賢治、紫式部、メルヴィル、ギ・ド・モーパッサン、森鴎外

    山岡荘八、ユーゴ、吉田兼好

    モーリス・ルブラン、レオ・レオニ

    (世界昔話)、(日本昔話)、(落語)

(827)  紹介した本のリスト / 「あらすじ名作劇劇場」まとめ(3)


「紹介した本」とは、「BS朝日『あらすじ名作劇劇場』で紹介された本のうち、私がFacebookBlogで紹介した本」である。

どこで紹介されたかは、下記参照

参照するときには、Blogが便利

 

紹介した本のリスト  五十音順


l  赤い靴、赤い蝋燭と人魚、赤と黒、あくび指南、あしながおじさん、雨ニモマケズ、嵐が丘、アリとキリギリス、アンナ・カレーニナ、一寸法師、犬を連れた奥さん、イワンのばか、浮雲、浦島太郎、落窪物語、おくのほそ道、オズの魔法使い、オツベルと象、女の一生

l  怪人20面相、海底二万マイル、鍵、かずひとのたんじょうのうた、風の又三郎、かなりや、カラマーゾフの兄弟、奇巌城(怪盗ルパン)、銀河鉄道の夜、金太郎、草枕、蜘蛛の糸、げんきなマドレーヌ、源氏物語、高野聖、こころ、古事記、ゴリオ爺さん、子別れ、金色夜叉

l  猿蟹合戦、山椒大夫、三四郎、死神の名付け親、自分の番いのちのバトン、車輪の下、小公女、 少年の日の思い出、城、スイミー、スーホの白い馬、砂の女、曽根崎心中、其面影

l  高瀬舟、たけくらべ、竹取物語、ちいさいおうち、小さき者へ、ちいさなヒッポ、徒然草、徳川家康、トム・ソーヤの冒険、とりかへばや物語、どん底

l  泣いた赤鬼、人魚姫、猫の皿、眠れる美女、野ばら

l  灰かぶり姫、白鯨、走れメロス、鼻、ハムレット、ひぐらし、フレデリック、文七元結、坊ちゃん

l  舞姫、枕草子、桃太郎、モルグ街の殺人、

l  屋根裏の散歩者、養生訓、

l  羅生門、リア王、レ・ミゼラブル

l  若きウェルテルの悩み、吾輩は猫である、わらしべ長者

l  (*)赤い鳥、(*)アンデルセン物語、(*)イソップ物語、(*)ギリシャ神話、(*)グリム童話

2017年3月28日火曜日

(826) タイトルのリスト / 「あらすじ名作劇劇場」まとめ(2)


 BS朝日の「あらすじ名作劇劇場」が、この3月22日に終了した。合計41回の番組に関連して、私が書いたものの番組リストを提供する。

以下、各々「通し番号(このブログ記事の最初に付与)」「放映年月日」「タイトル」の順に書いてある。新しいものを上にしている。

 

(824) 2017322日(水)、 むかしむかしあるところに。本当の桃太郎・浦島太郎・金太郎SP

(817)  2017315日(水)、 つれづれなるままに吉田兼好「徒然草」 心に刺さる辛口エッセイ

(803)  201731日(水)、 思わず納得!勉強になるイソップ物語、 「北風と太陽」「ウサギとカメ」ほか

(796)  2017222日(水)、歌を忘れたカナリヤは…” 日本の童謡 鈴木三重吉と「赤い鳥」運動

(782)  201728日(水)、 芥川龍之介SP 早世の作家、波乱の人生をたどる 代表作「羅生門」「鼻」を紹介

(775)  201721日(水)、 落語の世界へ「あくび指南」「文七元結」

(768)  2017125日(水)、 ドロシーと不思議な仲間の大冒険!朗読 「オズの魔法使い」

(761)  2017118日(水)、 日本のアンデルセン 小川未明 朗読「赤い蝋燭と人魚」ほか

(754)  2017111日(水)、 春はあけぼの平安エッセイ 清少納言『枕草子』

(734)  20161221日(水)、 夏目漱石没後ちょうど100年スペシャル 人間・漱石と名作~漱石ゆかりの地・熊本の復興を願って~

(726)  20161214日(水)、 銀河の詩人・宮沢賢治「風の又三郎」「雨ニモマケズ」

(712)  20161130日(水)、 和洋のお姫様「落窪物語」「シンデレラ」

(706)  20161123日(水)、 江戸の大ベストセラー!健康な暮らしの指南書「養生訓」

(691)  2016119日(水)、 森鴎外「高瀬舟」ほか

(684)  2016112日(水)、 アンデルセン童話  「人魚姫」「赤い靴」

(679)  20161026日(水)、 語り継がれる古典  「わらしべ長者」「鼻(芥川龍之介)」「猿蟹合戦」

(671)  20161019日(水)、 語り継がれる古典  「とりかへばや物語」「一寸法師」

(825)  20161012日(水)、 落語の世界へ 「猫の皿」「子別れ」「死神の名付け親」

(651)  2016928日(水)、 本のスペシャリストが選ぶ 未来に遺したい名作スペシャル

(635)  2016914日(水)、 近松門左衛門「曽根崎心中」

(642)  2016914日(水)、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、宮沢賢治『オツベルと象』

(622)  2016831日(水)、 ヘッセ「車輪の下」

(612)  2016824日(水)、 怪盗ルパン「奇巌城」

(607,608)  2016817日(水)、 ゴーリキイ「どん底」

(600)  2016810日(水)、 二葉亭四迷「浮雲」

(593,594)  201683日(水)、 日本最古の物語「竹取物語」ほか

(587)  2016727日(水)、 2時間スペシャル 没後100年 日本人として知っておきたい 夏目漱石10のスゴいところ

(579)  2016720日(水)、 「犬を連れた奥さん」ほか

(570)  2016713日(水)、 森鷗外「舞姫」ほか

(559)  2016629日(水)、 「若きウェルテルの悩み」

(551)  2016622日(水)、 「女の一生」ほか

(547)  2016615日(水)、 「たけくらべ」

(538)  201668日(水)、 「走れメロス」「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」

(825)  201661日(水)、 「小公女」ほか

(520)  2016525日(水)、 「赤と黒」ほか

(517)  2016518日(水)、 「怪人二十面相」「モルグ街の殺人」

(507)  2016511日(水)、 「こころ」「蜘蛛の糸」

(825)  201654日(水)、 「トム・ソーヤの冒険」「銀河鉄道の夜」

(493)  2016427日(水)、 「金色夜叉」「カラマーゾフの兄弟」

(489,490)  2016420日(水)、 「スイミー」「イワンのばか」

(479)  2016413日(水)、 2時間スペシャル 「ハムレット」「吾輩は猫である」  「あしながおじさん」「海底二万マイル」
 
 
写真は、あらすじ名作劇場_HPより(番組は終了しています)
 
 

(825) 紹介漏れ / 「あらすじ名作劇劇場」まとめ(1)


「あらすじ名作劇劇場」はBS朝日で、昨年の4月13日に放映を開始し、この3月22日に終了した。合計41回の内3回、録画できずに紹介できなかった。以下、番組のホームページ/バックナンバーから引用する。

 

(1)  201654日(水)「トム・ソーヤの冒険」「銀河鉄道の夜」

(2)  201661日(水)「小公女」ほか

(3)  20161012日(水)落語の世界へ 「猫の皿」「子別れ」「死神の名付け親」

 

===== 引用 はじめ

「トム・ソーヤの冒険」「銀河鉄道の夜」

今回は、子供が主役の名作特集。

まずは、マーク・トウェイン作「トム・ソーヤの冒険」。タイトルは誰もが耳にしたことのある作品ですが、そういえばどういうお話だったか…。いたずら盛りの腕白少年・トムが仲間たちとさまざまな冒険を繰り広げます。ドラマでは舞台を日本に置き換えてありますが、あの印象的な“ペンキ塗りのシーン”も描きます。

 2作目は、詩人・童話作家である宮沢賢治の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」。孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラと旅する物語です。作者の死後、遺されていた未定稿が他人の手によって再構築されました。美しく、切ない星空の物語を、実写とアニメーションで夢いっぱいに描きます。

 友情の素晴らしさと、子供のころの純粋な気持ちを思い出すことができる2作品をお届けします。

===== 引用 おわり

 

===== 引用 はじめ

「小公女」ほか

今夜の名作は、幼心に母が読み聞かせてくれたあの作品。アメリカの小説家フランシス・ホジソン・バーネットが書いた「小公女」です。

 主人公は裕福な家庭に生まれた少女・セーラ。優しく聡明で、人気者のセーラだったが、資産家の父の訃報と事業の失敗を機に、思いもよらない転落の人生を送ることに!それまでとは一転、使用人として見る世界。一瞬で全てを失ったセーラだったが、それでも心清く、くじけず、力強く生きていきます。そんな少女の波乱万丈の半生を、舞台を日本に置き換えた超訳ドラマで紹介!

===== 引用 おわり

 

===== 引用 はじめ

落語の世界へ

「猫の皿」「子別れ」「死神の名付け親」

10月から「あらすじ名作劇場」が生まれ変わります!文学だけに限らず、落語・歌舞伎・童話・古典作品など、多彩なラインナップでお届けします。リニューアル初回の今夜は「落語」の世界へご案内します。数々の人気演目の中から「猫の皿」「子別れ」をピックアップ、超訳ドラマで紹介します。また、落語「死神」と縁の深い童話「死神の名付け親」を、ストーリーテラー・平泉成の朗読でお届けします。

▼「猫の皿」

 古美術商が旅の途中で立ち寄った茶店。ふと目に留まった猫のエサ用の皿が、貴重な骨董品であることに気付きます。茶店の主人にはその事実を告げずに、その皿を安く買い叩く作戦を立てる商人でしたが。茶店の主人と、その道のプロである商人。はたしてどちらがウワテ!?

▼「子別れ」

  大酒飲みで遊び人の大工・熊五郎。ついに堪忍袋の緒が切れた妻は子を連れて出ていってしまいます。清々した!とばかりに、熊五郎はなじみの女性と暮らしたりもしますが、やがて一人ぼっちに。心機一転、真面目に働き始めますが寂しさはつのるばかり熊五郎と家族の行く末は?

▼「死神の名付け親」

  死神と契約した男。死神に「私が病人の枕元に立ったらその病人は快方に向かい、足元に立ったら死ぬ」と教えられ、それを利用して名医となる。しかし、国王や王女の命を救うため死神をだましたために怒りを買い

===== 引用 おわり

2017年3月27日月曜日

(824) 本当の桃太郎・浦島太郎・金太郎SP


2017322日(水) BS朝日 放映済み

むかしむかしあるところに。
本当の桃太郎・浦島太郎・金太郎SP

 (添付写真は、TV画面より)

 

このところ、三太郎 CMを毎日のようにテレビで見ている。
その三太郎を2時間のスペシャル番組で紹介していた。

 
3つの物語に位置づけの違いがある

モデルの有無。番組では、浦島太郎と金太郎はモデルがあるので「伝説」だが、桃太郎にはモデルがないので「昔話」だという解説があった。ただ、桃太郎のモデルとしていくつもの説があり(40?)、確定できないのが実態のようである。

 
桃太郎・浦島太郎・金太郎については、ほとんどの日本人がほぼ共通の理解をもっていると思うので、あらすじは示さない。これらの話は、いずれも、教科書にダイジェスト版や唱歌が紹介されているので、共通理解が形成されているのだろう。

先ずは元の話があって、そこからバリエーションが広がり様々な物語が伝えられたが、巌谷小波の「日本昔噺」叢書に集約され、それが教科書に収録されて一本化されたという経緯のようだ。

 

異説が色々ある。そちらの方が興味深い。

桃太郎は桃から生まれたのではないという話もあるらしい。桃を食べた老夫婦が若返って、子どもを授かった。希望のある話だ。

浦島太郎は、おじいさんにならなかったという話もあるらしい。鶴になって天に昇った。「鶴は千年亀は万年」、めでたい話だ。そもそも亀を助けたのに最後はおじいさんになってしまうのは、後味が悪い。

金太郎は「金時豆(きんときまめ)」の名前の由来でもあり、更に息子の坂田金平は「きんぴらゴボウ」の名の由来で知られる。金太郎飴もある。何故か、食べ物ばかりだ。

 
 今回が、最終回

2017年3月26日日曜日

(823)  「ほんとう」を問い続けて / 宮沢賢治スペシャル(4-2)

 
「学者アラムハラドの見た着物」「ポラーノの広場」「マリブロンと少女」「銀河鉄道の夜」
~ 『100分で名著』 227() 22:25 22:50 Eテレ 放映 ~

 
前回からの続き。今回は、内容。

(1)    人が何としてもさうしないではゐられないこと~「学者アラムハラドの見た着物( P.84

(2)    ほんとうの場所を探し求めて~「ポラーノの広場」( P.85

(3)    「まこと」を希求する芸術~「マリブロンと少女」( P.92 – P.93

(4)    未完の最高傑作が秘めているもの~「銀河鉄道の夜」( P.94

(5)    お戒壇巡り( P.98

(6)    永遠の未完成これ完成である( P.103

 
<各論>

(1)    人が何としてもさうしないではゐられないこと~「学者アラムハラドの見た着物( P.84

人はまことを求める。真理を求める。ほんたうの道を求めるのだ。人が追い求めないでゐられないことはちゃうど鳥の飛ばないでゐられないとおんなじだ。おまへたちはよくおぼえていなければならない。人は善を愛し道を求めないでゐられない。それが人の性質だ。

 
(2)    ほんとうの場所を探し求めて~「ポラーノの広場」( P.85

「ポラーノの広場」とは、昔話に語り継がれている幻の場所。野原のつめくさの花に書かれた番号を数えていくとたどり着けるとされている場所です。…ところが、番号を数えて行きついたのは、見栄っ張りの大人たちによる酒盛りの場でした。…「ぼくらはぼくらの手でこれからそれを拵(コサ)へようではないか。」と、…誓いを立てます。

 
(3)    「まこと」を希求する芸術~「マリブロンと少女」( P.92 - P.93

マリブロンは「いゝえ私はどこへも行きません。いつでもあなたが考へるそこに居ります。すべてまことのひかりのなかに、いっしょにすんでいっしょにすゝむ人人は、いつでもいっしょにゐるのです。」と言います。「まことのひかり」とは真理探究への道という意味でしょうか。

 
(4)    未完の最高傑作が秘めているもの~「銀河鉄道の夜」( P. 94

「ほんたう」を求め続けた賢治の集大成であり最高傑作、それが「銀河鉄道の夜」です。
 
===== あらすじ はじめ

一、 午后の授業

銀河系の仕組みについての授業。天の川について先生に質問されたジョバンニは、答えを知りつつ気もそぞろに答えることができない。…

二、 活版所

放課後、ジョバンニは活版所で活字拾いのアルバイトをする。仕事を終えたジョバンニは、パンと角砂糖を買って家へ急ぐ。…

三、 家、

家に帰ると牛乳が未だ配達されていない。病気の母親と、ラッコ漁に出たきり帰ってこない父のことやカムパネルラのことなどを話す。…

四、 ケンタウル祭の夜

牛乳屋(牧場)に行くが、出てきた老婆は要領を得ず、牛乳をもらえない。途中で、同級生のザネリたちに会い、からかわれる。…

五、 天気輪の柱

 天気輪の柱の丘でジョバンニは一人寂しく孤独を噛み締め、星空へ思いを馳せる。

六、 銀河ステーション

 突然、耳に「銀河ステーション」というアナウンスが響き、目の前が強い光に包まれ、気がつくと銀河鉄道に乗っている。見るとカムパネルラも乗っていた。

七、 北十字とプリオシン海岸

 北十字の前を通った後、白鳥の停車場で20分停車する。二人はその間にプリオシン海岸へ行き、クルミの化石を拾う。…

八、 鳥を捕る人

 気のいい鳥捕りが乗車してくる。彼は、鳥を捕まえて売る商売をしている。…

九、 ジョバンニの切符(以下、全体のおよそ半分にわたり章立てはない)

    アルビレオの観測所の近くで検札があり、ジョバンニは自分の切符だけが天上でもどこまででも行ける特別の切符であると知る。

    鷲の停車場のあたりで、鳥捕りが消え、青年と姉弟が現れる。彼らは、乗っていた客船が氷山に衝突して沈み、気がつくとここへ来ていたのだという。…

    (さそり)の火を眺めながら、かおる子は「やけて死んださそりの火」のエピソードを話しはじめ、ジョバンニたちは、黙ってそれを聞く。…

    天上と言われるサウザンクロス(南十字)で、大半の乗客たちは降りてゆき、ジョバンニとカムパネルラが残される。… カムパネルラは…「あすこにいるの僕のお母さんだよ」といい残し、いつの間にかいなくなってしまう。

    一人丘の上で目覚めたジョバンニは町へ向かう。今度は牧場で牛乳をもらい、川の方へ向かうと「こどもが水へ落ちた」と知る。…ジョバンニは胸がいっぱいになって、牛乳と父の知らせを持って母の元に帰る。

===== あらすじ はじめ
Wikipedia 『銀河鉄道の夜』より作成

 
(5)    お戒壇巡り( P.98

本堂の地下にある真っ暗な回廊を歩き、途中にある「極楽の錠前」に触ってまた地上に戻ってくるという長野県善光寺のお戒壇巡り。人は、まったく光のない暗闇を歩く中で、自分の心に押しとどめてきたことや、亡くなった人の声を聞いたりするといいます。ここに、現実の世界から母の胎内に回帰し、闇を経験することでまた新たに生まれる、という意味合いを見ることもできるでしょう。銀河鉄道に乗って宇宙の闇を旅し、カムパネルラは亡くなり、ジョバンニは再び生の世界に戻ってくる。「銀河鉄道の夜」は、闇を経験することで救われるとするこの「行」と共通の構造を持っているのです。

 
(6)    永遠の未完成これ完成である( P.103

 詩人は苦痛をも享楽する。
 永遠の未完成これ完成である

 理解を了へばわれらは斯る論をも捨つる
 畢竟ここには宮沢賢治1926年のその考えがあるのみである

(賢治の芸術に関する理論書「農民芸術概論綱要」の終わり)

 

引用:
山下聖美(2017/3)、『宮沢賢治スペシャル』、100de名著、NHKテキスト

 
 


4月は、
三木清『人生論ノート』 理想こそが現実を変える
講師:岸見一郎

2017年3月24日金曜日

(822) 「学者アラムハラドの見た着物」「ポラーノの広場」「マリブロンと少女」「銀河鉄道の夜」 / 宮沢賢治スペシャル(4-1)


「ほんとう」を問い続けて
~ 『100分で名著』 327() 22:25 22:50 Eテレ 放映 ~
 
 
今回は、本文のみ
説明は、次回。

 
(1)    「学者アラムハラドの見た着物」

===== 本文 はじめ

学者がくしゃのアラムハラドはある年十一人の子を教えておりました。
みんな立派りっぱなうちの子どもらばかりでした。
王さまのすぐ下の裁判官さいばんかんの子もありましたし農商のうしょうの大臣だいじんの子も居いました。また毎年じぶんの土地から十石こくの香油こうゆさえ穫とる長者ちょうじゃのいちばん目の子も居たのです。

  以降は、下記サイトを参照してください
===== 本文 おわり

 

(2)    「ポラーノの広場」

===== 本文 はじめ

そのころわたくしは、モリーオ市の博物局に勤めて居りました。
十八等官でしたから役所のなかでも、ずうっと下の方でしたし俸給ほうきゅうもほんのわずかでしたが、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでしたから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

  以降は、下記サイトを参照してください
===== 本文 おわり

 

(3)    「マリブロンと少女」

===== 本文 はじめ

城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花は枯かれて焦茶色こげちゃいろになって、畑の粟あわは刈かりとられ、畑のすみから一寸ちょっと顔を出した野鼠のねずみはびっくりしたように又また急いで穴の中へひっこむ。
崖がけやほりには、まばゆい銀のすすきの穂ほが、いちめん風に波立っている。
 
  以降は、下記サイトを参照してください
===== 本文 おわり

 
 
(4)    「銀河鉄道の夜」

===== 本文 はじめ

一、午后ごごの授業
 「ではみなさんは、そういうふうに川だと云いわれたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊つるした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指さしながら、みんなに問といをかけました。

  以降は、下記サイトを参照してください
===== 本文 おわり


 
引用:
山下聖美(2017/3)、『宮沢賢治スペシャル』、100de名著、NHKテキスト
写真:作品群(4)

 
4月は、
三木清『人生論ノート』
講師:岸見一郎