2020年7月31日金曜日

(2047)  無駄なことの中の面白さ(谷川 俊太郎・和田 誠 絵本「あな」)



◆ 最新投稿情報
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(K1188)  賃貸契約・入院・入所拒否 / 漂流する「高齢おひとりさま」(1) <高齢者独居>
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仕事の領域のルールが、そうでない領域に入り込む。仕事の領域では、合理性を求められ成功を求められる。「そんなことをして何になる?」ということはなかなかできない。何の役にも立たないことができるのは贅沢だ
☆☆

===== 引用はじめ
 日曜日の朝、何もすることがなかったので、ひろしはあなを掘り始めました。
おかあさんが来て、妹のゆきこが来て、となりのしゅうじくんが来て、おとうさんが来ました。
ひろしは深く、深くあなを掘り続けました。
あなの中に座り込むと、静かで、土はいいにおいがしました。
「これは ぼくのあなだ。」
と、ひろしは思いました。
みんなが来ましたが、ひろしはあなの中に座っていました。
上を見上げると、空はいつもよりももっと青く、高く思えました。その空を、一匹の蝶がひらひらと横切っていきます・・・。
===== 引用おわり


===== 引用はじめ
 大人は「何のために?」と、行為の意図や目的を探しますが、子供はただそこに砂があるから関わっていく。砂と対話しながら挑んでいく。それが遊びです。大人から見るとよく分からない、答えのない無駄なことの中に面白さがあふれているのでしよう。
 そして、子供時代に、時を忘れて夢中になる、そんな経験を積み重ねてきた人が、やがて物事に意味を見いだし、何かを創り出す人になっていくのではないでしようか。
===== 引用おわり
国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子
無駄なことの中の面白さ
【子どもとともに絵本を味わう】 産経新聞(2020/07/31)

<元本>
あな 絵本
作: 谷川 俊太郎
絵: 和田 誠
出版社: 福音館書店



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