2020年4月4日土曜日

(1927)  コッローディ『ピノッキオの冒険』(1-1) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K1068)  高齢者なるべく歩いて 新型コロナ外出自粛 「生活不活発化」の恐れ <体の健康>
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ただのまるたん棒が自分の意志を伝えることができる。ひとりの人間の一生が閉じ込められているのでしょう。手斧で削れて痛みを感じる。生れ落ちることの痛みでしょう。ジェッピットは、はなから父親として振る舞う
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第1回  6日放送/ 8日再放送
  タイトル: 統一国家とあやつり人形
 
【テキストの項目】
(1)   イタリア統一と公教育の始まり
(2)  『ピノッキオの冒険』の誕生秘話
(3)   ライバル『クオーレ』との売り上げ比較
(4)   書き出しの魅力
(5)   まるたん棒が意志を持つ不思議
 
(6)   物言うコオロギと衝撃のシーン
(7)   貧しさのなかでの優先順位――教育か、娯楽か
(8)   火喰い親方のくしゃみ
(9)   キツネとネコに騙される
(10)ディズニーとピノッキオ
 
 
【展開】

(1)   イタリア統一と公教育の始まり
 『ピノッキオの冒険』の作者カルロ・コッローディは1826年、フィレンチェに生まれました。
 中世のイタリア半島は、複数の都市国家や大国・公国に分裂し、イタリアという国家は存在しておらず、オーストリアなどからの介入を受けていましたが、フランス革命(1789-99)を機に、独立の機運が高まりました。コッローディはイタリア統一を願う熱心な愛国者でした。
 国家統一後にコッローディが熱心に取り組んだのが、児童向けの教科書の執筆でした。コッローディが出版した『ジャンネッティーノ 子どものための本』は、十歳ほどの少年ジャンネッティーノの成長物語で、好評を博し、学校の副読本に採用されました。
 
(2)  『ピノッキオの冒険』の誕生秘話
 コッローディは、一方で国や教育の高邁な理想を掲げながら、他方では、現代で言うところのギャンブル依存症でした。膨らんでしまったギャンブルの借金を手っ取り早く返すために書き始めたのが、『ピノッキオの冒険』だったのです。
 十数回連載したところで借金を返し終えたコッローディは、連載を終えるため、樫の木に首を括られてピノッキオが死ぬという結末を用意しました。ところが読者たちからの抗議が殺到し、連載は再開され、今日に残る形の『ピノッキオの冒険』が完成しました。
 
(3)   ライバル『クオーレ』との売り上げ比較
 『ピノッキオの冒険』は、単行本の初版が出てから第二版が出るまでに3年の期間を要しています。この3年のあいだに出版されたのが『クオーレ』で、こちらは爆発的な人気を獲得し、刊行からわずか2カ月半で41もの版を重ねました。
 『ピノッキオの冒険』が発刊後ただちに多くの読者を獲得することができなかった大きな要因は、二つあります。一つは、『ピノッキオの冒険』は大人がすんなり納得できる道徳的な物語ではないということ。二つは、専ら労働力として大人と同じように働かされていた子どもたちの過酷な状況を読者に鮮明に届けてしまったことです。
 
(4)   書き出しの魅力
昔むかしあるところに・・・
「ひとりの王さまがいたんだ!」わたしのちいさな読者たちはきっとすぐに言うにちがいない。
「いいえ、みなさん、それはまちがいです。昔むかしあるところに、まるたん棒が一本あったのです。」
 冒頭の書き出しです。予定調和的な物語の行く末はここでは保障されませんよ、と読者はあらかじめ宣告されてしまう。読者としては、「あれ、わたしたちはどこに連れていかれるの?」となります。見事な書き出しです。
 テーブルの脚に使おうと手に取ったまるたん棒がしゃべりました。気持ち悪くなった大工のさくらんぼ親方は、木彫りのあやつり人形を作りたいと訪ねてきたジェッペットに、そのまるたん棒を譲ります。
 
(5)   まるたん棒が意志を持つ不思議
 ジェッペットは人形作りに取り掛かります。名前はピノッキオに決めました。顔を作っていると、目玉がきょろりと動いてこちらを見つめます。次に鼻を作ると、なんと鼻がどんどん伸び始めました。
 ピノッキオは、作られてすぐジェッペットにいたずらし放題です。言葉でからかう。ジェッペットのかつらを取り上げる。足ができたとたんにジェッペットの鼻を蹴飛ばす。
 「この悪がきめ! まだできあがってもいないうちから、もう父親を敬うってことを忘れるなんて! だめだぞ、息子よ、それはいかん!」ジェッペットは涙をぬぐいました。
 
 以下は、後日書きます。
(6)   物言うコオロギと衝撃のシーン
(7)   貧しさのなかでの優先順位――教育か、娯楽か
(8)   火喰い親方のくしゃみ
(9)   キツネとネコに騙される
(10) ディズニーとピノッキオ
 
<出典>
和田忠彦(2020/4)、コッローディ『ピノッキオの冒険』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


 


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