2020年2月29日土曜日

(1894)  アーサー・C・クラーク スペシャル(1-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K1035)  むしろ黒字リストラ促進か / 70歳就業の法制化 <高齢期の仕事>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/02/k1035-70.html
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あと数時間のうちには命運のつきる第三惑星(=地球)の生命体を救うため、緊急で駆けつけている宇宙船。この物語は終始、異星人の視点で読む物語。SFでなければ書き得ない視点の転換が最後にある。人類はすごい
☆☆
 
第1回  2日放送/ 4日再放送
  タイトル: 知的好奇心が未来をつくる--『太陽系最後の日』
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55


 及び        午後 00:00~00:25
 
【テキストの項目】

(1)   イギリスの理科少年
(2)   知られざる文学的系譜
(3)   バナールから受けた影響
(4)   作家としての骨格形成
(5)   異星人の視点で読む物語
 
(6)  「青二才」としての人類
(7)  「センス・オブ・ワンダー」な大団円
(8)   素朴な宇宙への憧れ
(9)  「人類スゲー小説」の功罪
(10) C・S・ルイスとの論争
 
【展開】
(1)  イギリスの理科少年
(2)   知られざる文学的系譜
(3)   バナールから受けた影響
(4)   作家としての骨格形成
(5)   異星人の視点で読む物語
 以上は既に書きました。
 
(6)  「青二才」としての人類
 生命体は発見できなかったが、図書室のような場所で画布が見つかった。「二足生物で、腕は二本しかない。そういうハンディキャップを負いながらも、立派にやっていたようだ。目もふたつしかない、うしろにもついていないかぎりは」彼らのように高度に進化を遂げた異星人にとって、人類は不完全でまだ若く、青二才のような存在に見えているらしい。
 なんとか救ってやりたいという気持ちはあるが、地球は惨憺たる様子。「燃えるものが、なにひとつ残っていない」。生存者はついに見つかりませんでした。
 
(7)  「センス・オブ・ワンダー」な大団円
 かつてSFの本質を表す概念として「センス・オブ・ワンダー(驚きの感覚)」なる言葉が盛んに使われる時期がありました。本作『太陽系最後の日』はまさにセンス・オブ・ワンダーを代表する歴史的一編となりました。
 地球人は絶望かと思って帰路についた時、見事に、宇宙に向かって飛び出している地球人を発見した。地球人は、異星人たちが思っている以上にすごい種族だった――。そう暗示しながら、この短編は終わるのでした。これは、SFでなければ書き得ない視点の転換でした。ほかの知的生命体の視点から人類を見直すことで、改めて人類の持っている潜在的な可能性を際立たせているのです。
 
(8)   素朴な宇宙への憧れ
 クラークという作家は、素朴な宇宙への憧れをストレートに表明し、自身も「楽観的」だと認めるほどの啓蒙主義から出発した人だったのです。
 知的好奇心こそ人間の基本的衝動であり、それ自体が素晴らしいものである、と高らかに謳いあげる純真さがあります。
 
(9)  「人類スゲー小説」の功罪
 本作を読んだ読者は「人類ってすごいな」と感心せずにはいられません。気持ちが高揚するし、すごく励まされる。こうした効果を持つ作品をここでは仮に「人類スゲー小説」と呼ぶことにしましょう。
 「人類スゲー小説」には、全く異なる二つの面があります。第一に、未来を切り拓こうとする意志を醸成してくれる。一方、読者を無条件に肯定する「人類スゲー小説」には、麻薬的な魅力がある。これが第二の面です。
 
(10) C・S・ルイスとの論争
 ファンタジー小説の傑作『ナルニア国物語』の著者として有名な、イギリスのC・S・ルイスは、クラークに、決して無視できない影響を与えた。
 ルイスは、キリスト教的世界観のもと、金星や火星などの惑星が舞台の神秘的な小説も書いていました。当時ルイスはむやみに科学技術の名目を振りかざして宇宙へ行きたがる《英国惑星間協会》の思想に危険な匂いを嗅ぎ取り、ときに苦言を呈することもあり、クラークはそれに反発してルイスに手紙を書き、論争を挑んだことがあったのです。
 
<出典>

瀬名秀明(2020/3)、アーサー・C・クラーク スペシャル、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

 

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