2020年2月22日土曜日

(1887)  ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(4-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K1028)  70歳までの雇用延長、努力義務として企業に示された7つの選択肢 <高齢期の仕事>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/02/k1028-707.html
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「反政治」と思われるものが「政治」となりうること、「力なき者」にも「力」があること、言葉に新たな光を当て新たな文脈を付与することで、言葉を通して「力」をもたらしている。「力」は意識した瞬間に生まれる
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第4回  24日放送/ 26日再放送
  タイトル: 言葉の力
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
【テキストの項目】

(1)  「言葉の力」を考え続けた人、ハヴェル
(2)   視覚詩で言葉の本質を射抜く
(3)   上滑りする言葉の不条理を描く戯曲
(4)   演劇が社会を変えていく
 
(5)   言葉――両面的価値のある、いつわり多き現象
(6)   大統領としての言葉
(7)   倫理の力
(8)  「力」を想起させる言葉
 
【展開】
(1)  「言葉の力」を考え続けた人、ハヴェル
(2)   視覚詩で言葉の本質を射抜く
(3)   上滑りする言葉の不条理を描く戯曲
(4)   演劇が社会を変えていく
 以上については、既に書きました。
 
(5)   言葉――両面的価値のある、いつわり多き現象
 言語が奇蹟となりうるような力をもたらす一方、偽りともなるという二面性を有していることをハヴェルは強調し、「言語とは神秘的な、多義性をもつ、両面的価値のある、いつわり多き現象である」と鋭い警告を発します。
  あらゆるものの初めに言葉があります。
  それは奇蹟で、我々が人間であるのはそのおかげです
  しかしそれは、同時に、わな、試練、まやかし、そして試金石でもあります。
 この演説原稿はまだ社会主義体制下で書かれたものですが、その後まもなく、ハヴェルは一国の大統領になります。
 
(6)   大統領としての言葉
 「我が国土は繁栄していません」。ハヴェルが大統領になって最初にしたことは、嘘をつかないことでした。
 美辞警句で彩られた過去の大統領の演説とは異なり、ハヴェルは大統領になって初めての公的な演説で、国の厳しい現状を訴えました。それは、チェコスロヴァキアの人々にとって、目を背けたくなるような過酷な現実です。しかし、大統領という重い責任を負う立場から、かれはその現実を冷静に訴えようとしました。
 
(7)   倫理の力
 君は、ある重要な決断に迫られている。Aを選ぶほうが自分にとって都合がいいのはわかっている、でも、同時に、Bをやった方が正しいと何かの声が語りかける。

 自分より上に、あるいは自分の外に何らかの基準があるのを感じずに、善をどうやって見分ける? いや、できない、自分たちの中にある善は、自分たちがその源ではない! それは、我々以前にあった何かとの共鳴、そして我々のあとに続く何かとの共鳴なんだ。
 
(8)  「力」を想起させる言葉
 自分たちがいかに無力であったとしても、世界を変えることができるのだと理解する可能性を我々誰もが秘めているのです。

 動き出すのは、まず個々人それぞれにおいてなのです。誰かを待っていても、誰もやってこないでしょう。できやしない、というのは真実ではありません。自身の性格、出自、教育の程度、自意識という点で問題があろうとも、自分にある力は、もっとも無力な人たちでさえ、持っている唯一のものであり、同時に、他の誰かが奪うことのできない唯一のものなのです。
 
<出典>

阿部賢一(2020/2)、ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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