2020年2月16日日曜日

(1880)  ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』(3-2) / 100分de名著

 
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「並行構造」はフィクションの中に閉じこもったり、どこかに逃げたりすることではなく、「本質的に世界に開かれ、世界が担う責任」を伴なう。ヒッピームーヴメントは「ゲットーへの逃避」「孤立行為」と批判した
☆☆
 
第3回  17日放送/ 19日再放送
  タイトル: 並行文化の可能性
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
【テキストの項目】

(1)  アンダーグラウンドという導火線
(2)  芸術への攻撃は、生への攻撃
(3)  芸術、日常生活という「前-」政治的領域
 
(4)  並行構造、オルタナティヴ文化の浸透力
(5)  現代文明の凸面鏡としての全体主義
 
【展開】
(1)  アンダーグラウンドという導火線
(2)  芸術への攻撃は、生への攻撃
(3)  芸術、日常生活という「前-政治的」領域
 以上は、既に書きました。
 
(4)  並行構造、オルタナティヴ文化の浸透力
 例えば、「憲章七七」に署名した人にはさまざま制約が課せられ、作家であれば作品を公的に発表する可能性は絶たれていました。ですが、公的に発表できないのであれば、私的に、仲間だけで自分たちが望むことを表現すれば良いのではないか、という発想が生まれ、チェコスロバキア、いや当時の社会主義圏の各地で「並行構造」が生まれました。その代表的なものが、地下出版であるサミズダートです。
 … ある研究によると、地下出版された本が一部あったとしたら、およそ三百人が回し読みした可能性もあるとしています。 … 「今しか読めない」と思って読むのと、現在の私たちのように「後でまた読める」と思って読むのとでは、読書の深みが違います。
 さらに、ハヴェルをはじめとするチェコの「ディシデント」とアダム・ミフニクやヤツェック・クーロンらポーランドの「ディシデント」との会合が断続的に開かれ、文化面だけでなく外交面でも「並行構造」の試みが行われていました。
 
(5)  現代文明の凸面鏡としての全体主義
 ハヴェルは非個人的な権力がもっとも完成されているのが全体主義だと認めつつも、このような権力が依拠するもの、つまり近代科学、合理主義、科学主義、産業革命から、消費崇拝、原子爆弾にいたるすべてのものを導いたのは、とくに西ヨーロッパだと指摘します。
 全体主義的体制は、実際は何よりもまず、合理主義の当然の帰結を拡大して見せる凸面鏡である。合理主義自体が深いところでもつ志向が、グロテスクに拡大された像である。(「政治と良心」)
 
<出典>

阿部賢一(2020/2)、ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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