2019年10月15日火曜日

(1756)  ブレイブブロッサムズ(ラグビー日本代表チーム)は何故、勝てたのか?

 
      最新投稿情報
=====
(K0897)  個人Blog 10月上旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/10/k0897-blog-10.html
=====
 

☆☆
ラグビーWC対スコットランド戦は、迫力満点で、日本は素晴らしい勝利を納めた。東京大会が決まった時点では、ワールドカップ通算で1勝しかしていなかった。恥をかくのではないかとの心配は、失礼なことだった
☆☆
 
 とても感動的で、見ていて面白く、見どころのある試合でした。
 
 得点場面を効率よく編集した動画(53秒から)(全 331秒)
「予選プールA 1位で決勝Tへ ラグビーワールドカップ2019日本大会 ...
https://www.esquire.com/jp/lifestyle/sports/a29451954/japan-wins-over-scotland-rugby-world-cup-2019/
 
 試合の大まかな経緯説明は、
https://www.asahi.com/articles/ASMBF3SJBMBFUTQP00B.html
 


● ブレイブブロッサムズ(ラグビー日本代表チーム)は何故、勝てたのか?
 
 「実力があるから勝てた。そんな質問は失礼だ」と叱られるかもしれません。確かに、ティア1(ラグビーで強豪国と認められている国・地域)の2地域(アイルランド・スコットランド)をも打ち負かし、全勝で決勝リーグに進んだのだから、「実力がない」とは言えません。
 
 でも、「実力がある方が勝つ」「勝った方が、実力が上だ」と必ずしも言えないのが、勝負の世界です。日本は4勝しましたが、実力に大差があったとは思えません。どれも負けて不思議ではない試合だったと私は思います。結果的に勝つには、「実力」「プラスα」の両方が必要です。
 
 何故、勝てたのか?
 印象に残った幾つかを書きます。この中に「プラスα」があるでしょう。
 
(1)   中止プレッシャー
(2)  「ノットリリースザボール」を早々に修正できた
(3)   最初の「ペナルティゴール」を外した

(4)   スコットランドに「ハイタックル」があったのではないかとされたが、反則にはならなかった
(5)   最初の「スクラム」で押し勝った

(6)   スクラムでの、スコットランドの反則が増えた
(7)  「オフロードパス」を連続して得点した
(8)   前半終了時で14点、さらに後半早々での21点差は重かった
(9)   流石のスコットランドは後半15分までに7点差に追い上げた。その後25分間日本は追加点を与えなかった
(10) 時間と空間を支配した日本

(11) 日本の重厚な波状攻撃
(12) 奪われたが、奪い返しもした(ジャッカル)
(13) ライン攻撃に対する防御
(14) 周りをよく見ていた
(15) ペナルティが少なかった

(16) 思うようにできなかったスコットランド
(17) モールで攻め切らせなかった
(18) スコットランド7番ジェーミーリッチ選手のラフプレー
(19)「中三日」は効いた
(20) 観客の声援
 
 
【展開】
 
(1)  中止プレッシャー

 「スコットランドラグビー協会のマーク・ドッドソン氏は11日、13日に予定されているワールドカップ(W杯)日本大会1次リーグA組の日本戦が台風の影響で中止となった場合、法的措置を検討していることを明らかにした」。決めごとを勝手に反故にしようという我儘な主張です。それだけ追い詰められた気持ちでスコットランドは試合に臨みました。
https://www.afpbb.com/articles/-/3249174
https://www.sanspo.com/rugby/news/20191012/jpr19101205020003-n1.html
https://the-ans.jp/rugby-world-cup/88008/
 

(2)  「ノットリリースザボール」を早々に修正できた

 試合早々、日本は立て続けに「ノットリリースザボール」(タックルで倒された後、すぐにボールを離さない)の反則をとられました。しかし、その後、修正して減りました。見事な修正力です。
 

(3)  最初の「ペナルティゴール」を外した

 田村が「ペナルティゴール」(ペナルティを得たチームが、その地点からキックを行い、成功すると3点入る)を外しました。距離があり、角度も厳しく、逆風の悪条件でした。これ以降、ペナルティゴールを狙うかどうかの方針を決めたようです。「トライで点を取りに行こう」を共有できた瞬間だったと思います。外しても、価値ある挑戦でした。
 

(4)  スコットランドに「ハイタックル」があったのではないかとされたが、反則にはならなかった

 堀江が出血して倒れました。「ハイタックル」(相手選手の肩より上に入る危険なタックル。身長の高い選手が低い選手にタックルする際によく起こる)のように見えたが、悪意は感じられず、頭から当たっており、反則にならなかったのは妥当だと思います。しかし、この後、スコットランドはタックルしにくくなったと思います。
 

(5)  最初の「スクラム」で押し勝った

 最初の「スクラム」(反則の後のゲーム再開のセットプレー。各々8人の選手が押し合いボールを奪い合う)で押し勝ち、日本は自信を持ち、スコットランドは自信を失いました。アイルランド戦と同じパターンです。猛練習を経て、日本も互角にスクラムを組めるようになりました。
 

(6)  スクラムでの、スコットランドの反則が増えた

 スコットランドの「アーリープッシュ」(SHがボールを投入する前にスクラムを押すプレー)が何回かありました。自信がなくなり、焦りの気持ちがあったのではないでしょうか。心理的に日本が優位に立ちました。
 

(7)  「オフロードパス」を連続して得点した

 「オフロードパス」(タックルされながら行うパス・高度な技術)を連続して成功させました。これがないと、日本のトライはすごく減ると思います。相当な時間をかけて獲得した技術でしょう。
 

(8)  前半終了時での14点、さらに後半早々での21点差は重かった

 トライしてかつコンバージョンゴールを決めて合計7点。それを3セット決めると21点得るが、それでも同点引き分けになり、決勝に残るのは日本。さらに得点を加えて、さらに、ボーナスポイントも稼がないと、スコットランドは決勝に進めません。ペナルティゴール(3点)やドロップゴール(3点)では間に合わないので、スコットランドはトライを狙うしかありません。だから、日本はトライに集中して守ればよくなり、守りやすくなりました。
 

(9)  流石のスコットランドは後半15分までに7点差に追い上げた。その後25分間日本は追加点を与えなかった

 13分間で14点取られ、残り25分で逆転される可能性は十分ありました。しかし、日本は動じませんでした。勝てると信じていたのでしょう。守るべきときは守るが、スキがあれば、攻めていました。守ろうとして守り切れるものではありません。日本が攻めようとするから、その時スコットランドは守らねばなりません。それが、スコットランドを消耗させ、攻めにブレーキがかかり、日本は守り切れました。
 

(10)時間と空間を支配した日本

 前半終了時点で、日本はボール支配率74%と圧倒。スクラム、ラインアウトとも成功率100%を維持しました。数字はわかりませんが、試合全体をみても日本がボールをもっている時間が長く、敵陣で戦っている時間も多かったと思います。それを維持している限り、点は容易には取られません。
 

(11)日本の重厚な波状攻撃

 ラインでボールを回しながらの攻めは、早く、広く、多彩で、前に進みながらも、安定感がありました。途中でボールをとられることもありましたが、取ったり取られたりするのが試合だから、仕方ありません。残りの25分間の中の多くの時間が、この波状攻撃で費やされました。日本は「インターセプト」(相手のパスを途中で奪うこと(パスカット))されないよう、冒険せず、複雑なこともしませんでした。無理せず、焦らず、時間をかけて攻めました。意思統一できていました。
 

(12)奪われたが、奪い返しもした(ジャッカル)

 「ラック」(複数の選手が地面にあるボール近くで密集している状態)における「ブレイクダウン」(ラックでのボールの争奪戦)でのスコットランドの強さが印象に残りました。日本ならあきらめて守備の準備をするようなところでも、スコットランドは、しつこくボールを取りに行きました。多くの「ジャッカル」(地面に倒れた攻撃側の選手のボールを奪ったり、絡んでノットリリースの反則を得ること)を奪われました。
 ただ、日本も、数は少ないものの、大切なところで「ジャッカル」を成功させました。
 

(13)ライン攻撃に対する防御

 相手がラインを形成し、ボールを回しながら攻めてくるのですが、日本はよく守ったと思います。中央での、近距離からの攻撃には、しつこくしつこくタックルしていました。
 私が興味を覚えたのは、タッチライン近くの守りです。離れた距離から、スピードにのって突破を図ってきたとき、日本はタックルを一瞬遅くする場面が多くありました。
 これで「フェイント」(斜めに走り、寸前で逆に切替すと相手はワンテンポ遅れるため抜く事ができる)に対応することができました。また、後ろに下がりながら相手を見ていました。これで攻める側がスローダウンし、その間に援軍が来て、複数で突破を阻んでいました。
 3回中央突破のトライを許してしまいましたが、これがスコットランドの実力。仕方ありません。一方、タッチライン近く(コートの両サイド)での「ウィング」(トライを取ることが求められるポジション。11で相手をかわすステップや、スピードで抜き去る速さが必要、最も足の速い選手が担うことが多い)の攻撃は完封できました。勝因の一つだと思います。
 

(14)周りをよく見ていた

 守る時も攻める時も日本選手は常に周りを見ていました。サッカーの中田英寿選手を思い出しました。顔をしっかり動かして見ていました。当たり前のことを当たり前のようにしていました。それが凄いのです。
 

(15)ペナルティが少なかった

 日本は、ペナルティが少なかったように思います。これでリズムを崩さないですみました。慎重にプレーしたこともあるでしょうが、余裕があったのかもしれません。
 

(16)思うようにできなかったスコットランド

 スコットランドはラインアウトだけは思うようにできたが、スクラムも、モールも、ライン突破も思うようにいかず、苛立ちが多かったと思います。
 

(17)モールで攻め切らせなかった

 スクラムの基本ができている日本は、「モール」(両チームの選手が立った状態で押し合いをしている状態)でも押し込まれず持ちこたえていました。審判の「ユーズイット」(モールの前進が止まって動きが停滞(5秒)するとレフリーがコールする)で、スコットランドはモールを諦めざるを得なくなりました。スコットランドの得点パターンを封じ込められました。
 

(18)スコットランド7番ジェーミーリッチ選手のラフプレー

 大活躍のジェーミーリッチ選手(スコットランド)でしたが、悪質なラフプレーを繰り返していました。その原因はありますが、日本のプレーには悪意がなかったと思います。
https://entert.jyuusya-yoshiko.com/sutoko7/
 けりを入れられた田村選手が胸を押すと、殴りかかってきて乱闘になりそうになりました。度重なっていたラフプレーへの、日本チームとしての抗議の意図があったのでしょう。日本チームは抑制がきいて、そのおかげで、熱いけれど冷静に試合を運べました。一方的に我慢するだけでなく、時には抗議を示すことも大切だと思いました。
 

(19)「中三日」は効いた

 「スコットランドは109日(水)にロシアに61-0で快勝したが、主力は温存したため、12名のメンバーを変更した」。ただ、ラグビーではリザーブの8名を途中で交代させ、結局は15名の総力戦で戦うのがほとんどのようです。だから先発を変更しても、連戦の選手が多いはずで、やはり疲れていたでしょう。スコットランドは、よく戦ったと思います。
 4年前には、南アフリカとの死闘から「中三日」の疲れ切った日本が、初戦で元気いっぱいのスコットランドと戦い、日本が唯一負けた試合になりました。開催国が有利になる試合の組み方は、今回に限ったことではなく、お互い様です。それに抗議するスコットランドはおかしいと思います。
 

(20)観客の声援

 これも地元の利、大きかったと思います。声援の声と選手の闘志が一体となって、勝利を勝ち得たという印象が残りました。初戦では地元の大声援で、日本チームは緊張しまくりエラーが多くありましたが、今や、日本チームは声援を味方につけました。この勢いで、決勝トーナメントでも、思い切り全力を出しきって、少しでも勝ち残り締め括ってほしいと祈ります。
 

<参考>
「ラグビーのルール」初心者でもラグビーを簡単に理解できるポイント
https://rugbyhack.com/2018/12/05/rugbyrule/




0 件のコメント:

コメントを投稿