2019年7月7日日曜日

(1656)  世論調査の弊害

 
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(K0797)  理想の最期(山折哲雄) <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/07/k0797.html
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 昔はそれほど多くなかったが、今は世論調査がやたら多くなっています。私は、二つの理由で不信感をもっています。
 一つは、新聞社による世論調査は、いつも傾向が決まっています。つまり、○○新聞社らしい結果になっています。これは、世論調査は、質問の表現やら順番を工夫すれば、ある程度、結果を誘導できるからです。
 もう一つは、結構、結果が振れるということです。ある政策を進めようとすると、継続的な取り組みが必要なのですが、それを支持したり、それに反対したり、コロコロと変わっていきます。大規模な投資や外交方針は、よく考えて一度方向を決めたら、十分な吟味がなされない限り変えてはいけません。新聞社の世論調査をそのまま政治に取り入れると、脈絡のない変更が絶えず行われ、迷走してしまいます。


 何故このようなおかしな世論調査になってしまったのでしょうか。
===== 引用はじめ
 明治初期にはエリート向けの政論新聞が多かったのですが、大衆感情を反映して読者獲得を目指す新聞に淘汰されていきました。現在の新聞はその系譜にある。
 新聞社が行う世論調査がよい例です。突然の電話で、ある事柄について知っているかどうかも考慮せず、賛成か反対かをたずねる。感情分析調査以外の何ものでもないのですが、自社の調査結果について、新聞社が疑念を表明した例があったでしょうか。
===== 引用おわり
 
 
 「たとえば憲法改正問題でも戦力不保持を定めた9条2項を正しく説明できる人は社会調査から推測すれば、2、3割もいないかもしれない」。そういう状況で、政治の方向を世論調査で決めて良いのでしょうか。
 

 これまで書いてきた二つの記事と、同じ根をもっていると思います。
 (1648)  視聴率の弊害
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/06/1648.html
 (1652)  いいねの弊害
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1652.html
 

===== 引用はじめ
 19世紀後半以降、ドイツの哲学者ニーチェや米国の政治評論家リップマンらは大衆に政治的決定を委ねるリスクを表明してきました。ファシズムが大衆の政治参加から生まれたことも強調しておくべきでしょう。
===== 引用おわり
 

 そうは言っても、民主主義は民意を重視します。世論調査は民意の現れです。世論調査に反しても政策を進めるなら、それがよいという根拠を示さねばなりません。世論はどのように問題があり、どのよう対処すべきかを示さねばなりません。
 
 続く。
 
<出典>
佐藤卓己、「輿論主義」の復興を
【ニュースを疑え】産経新聞(2019/06/22 夕)
https://special.sankei.com/a/column/article/20190129/0001.html
(有料会員記事)
 
添付図は、以下から転載
https://www.sankei.com/politics/news/170603/plt1706030011-n1.html


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