2019年1月11日金曜日

(1477)  マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」(2-1) / 100分de名著

 
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第2回  14日放送/ 16日再放送

  タイトル:アメリカの光と影
 

【テキストの項目】

(1)  恐ろしい戦争、過酷な戦後
(2)  なぜスカーレットはメラニーを見捨てなかったのか
(3)  芽生え始めたメラニーとの友情
(4)  レットがスカーレットを置き去りに
(5)  レットとエレン、二人の「母」
(6)  母の喪失と真の自立

(7)  貴公子アシュリの“生き地獄”
(8)  南北戦争とその後の混乱
(9)  赭土の大地と幻の故郷
(10)ディストピア小説としての『風と共に去りぬ』
 

【展開】

(1)  恐ろしい戦争、過酷な戦後

 『風と共に去りぬ』の物語において、南北の対立は、物語の序盤から一つの大きな背景幕として存在し続けます。
 アシュリにふられた腹いせにメラニーの兄チャールズ・ハミルトンと結婚するも、夫が出征後二か月にして麻疹(ハシカ)の後に肺炎を併発して亡くなり、あっというまに子持ちの未亡人となったスカーレット。アトランタに移り、メラニー、ピティパット叔母と暮らし始めました。
 南北対立が深まり、南部連合軍は敗退を続け、アトランタにも戦火がおよびます。
 

(2)  なぜスカーレットはメラニーを見捨てなかったのか

 戦火が迫るアトランタで、体が弱いメラニーのお産が近づくなか、スカーレットに届いたのは母エレンが重病との知らせでした。葛藤の末、スカーレットはメラニーを見捨てず、アトランタに留まりました。
 

(3)  芽生え始めたメラニーとの友情

 難攻不落のはずのアトランタ市は40日の包囲戦の後陥落しました。
 略奪に押し入ったヤンキー兵をスカーレットが撃ち殺しました。自分が人殺しをしたことに唖然とし、同時に「残忍な冷たい喜び」がわきあがってきたスカーレットが目を上げると、ボロボロのねまき姿で重いサーベルを抱えたメラニーがいました。 … いつもやさしいメラニーの顔は冷酷な誇りで輝き、そのほほえみは称賛と歓喜にあふれており、それはスカーレット自身の胸に渦巻く激情に勝るとも劣らなかった。
 「まあ、驚いた――メラニーもわたしと同類なのね!」
 

(4)  レットがスカーレットを置き去りに

 燃え盛るアトランタの街から、レットはスカーレットたちを救出しました。しかし、途中で何を思ったか、突然南部連合軍に志願すると言い出して、スカーレットたちを置き去りにしてしまいます。その後、死にもの狂いで<タラ>にたどり着いたら母が亡くなっていて、父もショックで廃人同然となり、スカーレットが一家と<タラ>を守る重荷をその細い肩に背負う決意をします。
 

(5)  レットとエレン、二人の「母」

 作者ミッチェルは小学生だったころ、実母から「ひとつの世界が終わりを迎えたら、あとはそれぞれが持てる才智と腕前だけでやっていくしかないんです」と学校に行くよう説教されました。小説の中でレットは「ひっくり返ったいまの世の中では、 …。全員がふりだしにもどって、何もないところから再スタートだ。そう才智と腕っぷしだけで勝負するんだ」と語ります。実母の教えが、この大小説の“起源”になっています。
 レットは、スカーレットにとってもう一人の母のような存在です。
 

(6)  母の喪失と真の自立

 二人の母、エレンとレットに去られることで、スカーレットの子ども時代は終わり、自立の道を歩み出します。
 「…、 もう二度とひもじい思いはしない。<タラ>のみんなも飢えさせない。ものを盗み、人を殺めることになろうと――神に誓って、もう決してひもじい思いはしない。」
 


以後は、次回

(7)  貴公子アシュリの“生き地獄”
(8)  南北戦争とその後の混乱
(9)  赭土の大地と幻の故郷
(10)ディストピア小説としての『風と共に去りぬ』
 


<出典>
鴻巣友季子(2019/1)、マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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